注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:FOMC後の短期的な出尽くし感には警戒
配信日時:2025/12/06 14:29
配信元:FISCO
*14:29JST 国内株式市場見通し:FOMC後の短期的な出尽くし感には警戒
■日経平均は週央にかけ切り返し、ロボット関連株などが牽引
今週の日経平均は週間で237.96円高(+0.5%)の50491.87円で取引を終了。月替わりとなった週明けは急速に伸び悩む展開となった。米国株が時間外取引で下落したほか、植田日銀総裁の講演を受けて12月の利上げ観測が高まったことなどが大幅安の背景。週央にかけては下げ渋った。暗号資産市場の回復でリスク許容度が増したほか、トランプ米大統領が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長候補を来年初旬に指名するとし、積極的な利下げが続くなどの期待感が高まったもよう。
4日には1100円超の大幅上昇。米国の利下げ期待が継続したほか、ドル高・円安もフォローとなった。また、米政府がロボティクス分野に関する大統領令を発出検討と伝わったことから、産業用ロボット関連銘柄が一段高となり、全体相場の上昇を牽引した。ただ、週末は国内長期金利の上昇が警戒視されて、短期的な利益確定売りが優勢となり、反落で取引を終えている。
なお、11月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1388億円売り越した一方、先物は2133億円買い越し、合計745億円の買い越しとなった。3週連続の買い越しとなっている。個人投資家は現物を4270億円売り越すなど、合計で4043億円の売り越しだった。ほか、都地銀が511億円の買い越し、投信も466億円の買い越しだった。
■FOMCで利下げは確実視も出尽くし感につながる公算
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比104.05ドル高の47954.99ドル、ナスダックは同72.99ポイント高の23578.13で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比170円高の50650円。個人消費支出(PCE)価格コア指数は前年比2.8%の上昇、前月分や市場予想の2.9%上昇を下回ったことで、12月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しが維持される形となった。ただ、週末要因によるポジション調整の売り圧力から、上値は限定的にとどまっている。
来週は9日から10日にかけて開催される米FOMCが注目イベントとなる。ウィリアムズNY連銀総裁の利下げ支持以降は市場の金融政策に対する見方が変化、現状では0.25%の利下げがほぼ確実視されている。焦点となるのは、パウエル議長の会見、最新の経済見通しにおけるドットチャートなどを受けて、26年の利下げペースに対する見方が変化するかどうか。パウエル議長会見では、政策判断は会合ごとにデータを確認して判断とする従来の見解を繰り返す可能性が高く、ややタカ派的と捉えられる可能性があろう。前回9月時点でのドットチャートは、0.25%の利下げ回数について、26年は1回、27年は1回、28年は0回となっていたが、これも今回は変化がないとみる。総じて短期的な出尽くし感を強めさせるものとなる公算が大きい。次期FRB議長と想定されるハセット米国家経済会議委員長は利下げを推し進めると期待されているが、パウエル議長の任期は5月まであり、少なくともそこまでは、利下げ打ち止めとの見方が有力になっていくことになろう。
12月1日に行われた植田日銀総裁の会見では、次回の金融政策決定会合において、「利上げの是非について適切に判断する」と語られている。これによって、12月18-19日に開催される日銀金融政策決定会合では利上げがメインシナリオとなってきている。市場でサプライズを起こさせないという観点から考えると、15日の日銀短観の結果などにかかわらず、利上げが決定される可能性は高い。セクター別の動きでは、銀行などのプラスセクターとマイナスセクターの明暗が進む余地は残っているとみられよう。なお、米国利下げ、日本利上げという両極端の動きから、為替市場のドル安円高反転、並びに、相対的な日本株の敬遠ムードが強まる可能性もあるとみる。
■設備投資関連銘柄の存在感が高まる方向に
来週は、週末にメジャーSQ算出日を迎えるなか、週央にかけては、米FOMCを控えていることもありロールオーバーを中心とした模様眺めムードの強い展開となりそうだ。11日には米半導体のブロードコムが決算発表を予定しており、翌日の東京市場の半導体関連株に何らかのインパクトを与えるものとみられる。ほか、経済指標では、8日に7-9月期国内総生産(GDP)改定値が発表されるが、先の法人企業統計調査の結果が反映され、それなりの下振れには注意が必要となる。
法人企業統計調査では、設備投資の伸び率鈍化が確認されているが、設備投資関連に関しては、将来的なフィジカルAI市場の成長期待が高まる方向となっている。今後、産業用ロボットのみならず、工作機械や建設機械などにも、こうしたフィジカルAI市場の広がりが想定されることになろう。
■9-10日に米FOMCが開催
来週、国内では、8日に7-9月期GDP(改定値)、10月毎月勤労統計調査、11月景気ウォッチャー調査、10月経常収支、9日に11月マネーストック、11月工作機械受注、10日に11月国内企業物価指数、11日に10-12月期法人企業景気予測調査などが公表される。なお、12日はメジャーSQの算出日。
海外では、8日に中・11月貿易収支、独・10月鉱工業生産、9日に米・10月JOLTS求人件数、10日に中・11月生産者物価指数、11月消費者物価指数、米・11月財政収支、11日に米・9月貿易収支、新規失業保険申請件数などが発表予定。なお、米国では9日から10日にかけてFOMCが開催され、10日にパウエルFRB議長の会見が予定されている。
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今週の日経平均は週間で237.96円高(+0.5%)の50491.87円で取引を終了。月替わりとなった週明けは急速に伸び悩む展開となった。米国株が時間外取引で下落したほか、植田日銀総裁の講演を受けて12月の利上げ観測が高まったことなどが大幅安の背景。週央にかけては下げ渋った。暗号資産市場の回復でリスク許容度が増したほか、トランプ米大統領が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長候補を来年初旬に指名するとし、積極的な利下げが続くなどの期待感が高まったもよう。
4日には1100円超の大幅上昇。米国の利下げ期待が継続したほか、ドル高・円安もフォローとなった。また、米政府がロボティクス分野に関する大統領令を発出検討と伝わったことから、産業用ロボット関連銘柄が一段高となり、全体相場の上昇を牽引した。ただ、週末は国内長期金利の上昇が警戒視されて、短期的な利益確定売りが優勢となり、反落で取引を終えている。
なお、11月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1388億円売り越した一方、先物は2133億円買い越し、合計745億円の買い越しとなった。3週連続の買い越しとなっている。個人投資家は現物を4270億円売り越すなど、合計で4043億円の売り越しだった。ほか、都地銀が511億円の買い越し、投信も466億円の買い越しだった。
■FOMCで利下げは確実視も出尽くし感につながる公算
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比104.05ドル高の47954.99ドル、ナスダックは同72.99ポイント高の23578.13で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比170円高の50650円。個人消費支出(PCE)価格コア指数は前年比2.8%の上昇、前月分や市場予想の2.9%上昇を下回ったことで、12月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しが維持される形となった。ただ、週末要因によるポジション調整の売り圧力から、上値は限定的にとどまっている。
来週は9日から10日にかけて開催される米FOMCが注目イベントとなる。ウィリアムズNY連銀総裁の利下げ支持以降は市場の金融政策に対する見方が変化、現状では0.25%の利下げがほぼ確実視されている。焦点となるのは、パウエル議長の会見、最新の経済見通しにおけるドットチャートなどを受けて、26年の利下げペースに対する見方が変化するかどうか。パウエル議長会見では、政策判断は会合ごとにデータを確認して判断とする従来の見解を繰り返す可能性が高く、ややタカ派的と捉えられる可能性があろう。前回9月時点でのドットチャートは、0.25%の利下げ回数について、26年は1回、27年は1回、28年は0回となっていたが、これも今回は変化がないとみる。総じて短期的な出尽くし感を強めさせるものとなる公算が大きい。次期FRB議長と想定されるハセット米国家経済会議委員長は利下げを推し進めると期待されているが、パウエル議長の任期は5月まであり、少なくともそこまでは、利下げ打ち止めとの見方が有力になっていくことになろう。
12月1日に行われた植田日銀総裁の会見では、次回の金融政策決定会合において、「利上げの是非について適切に判断する」と語られている。これによって、12月18-19日に開催される日銀金融政策決定会合では利上げがメインシナリオとなってきている。市場でサプライズを起こさせないという観点から考えると、15日の日銀短観の結果などにかかわらず、利上げが決定される可能性は高い。セクター別の動きでは、銀行などのプラスセクターとマイナスセクターの明暗が進む余地は残っているとみられよう。なお、米国利下げ、日本利上げという両極端の動きから、為替市場のドル安円高反転、並びに、相対的な日本株の敬遠ムードが強まる可能性もあるとみる。
■設備投資関連銘柄の存在感が高まる方向に
来週は、週末にメジャーSQ算出日を迎えるなか、週央にかけては、米FOMCを控えていることもありロールオーバーを中心とした模様眺めムードの強い展開となりそうだ。11日には米半導体のブロードコムが決算発表を予定しており、翌日の東京市場の半導体関連株に何らかのインパクトを与えるものとみられる。ほか、経済指標では、8日に7-9月期国内総生産(GDP)改定値が発表されるが、先の法人企業統計調査の結果が反映され、それなりの下振れには注意が必要となる。
法人企業統計調査では、設備投資の伸び率鈍化が確認されているが、設備投資関連に関しては、将来的なフィジカルAI市場の成長期待が高まる方向となっている。今後、産業用ロボットのみならず、工作機械や建設機械などにも、こうしたフィジカルAI市場の広がりが想定されることになろう。
■9-10日に米FOMCが開催
来週、国内では、8日に7-9月期GDP(改定値)、10月毎月勤労統計調査、11月景気ウォッチャー調査、10月経常収支、9日に11月マネーストック、11月工作機械受注、10日に11月国内企業物価指数、11日に10-12月期法人企業景気予測調査などが公表される。なお、12日はメジャーSQの算出日。
海外では、8日に中・11月貿易収支、独・10月鉱工業生産、9日に米・10月JOLTS求人件数、10日に中・11月生産者物価指数、11月消費者物価指数、米・11月財政収支、11日に米・9月貿易収支、新規失業保険申請件数などが発表予定。なお、米国では9日から10日にかけてFOMCが開催され、10日にパウエルFRB議長の会見が予定されている。
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