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ケーズホールディングス:家電特化と資本効率改善で価値再構築を目指す、業界シェア10%
配信日時:2025/12/04 16:11
配信元:FISCO
*16:11JST ケーズホールディングス:家電特化と資本効率改善で価値再構築を目指す、業界シェア10%
ケーズホールディングス<8282>は、家電量販チェーン「ケーズデンキ」を中核とする小売グループであり、全国に550店舗以上を展開、業界規模およそ7兆円(家電量販店)における同社業界シェアは約10%となっている。家電などを主力商品とし、「本当の親切」を掲げ、顧客の日常生活に不可欠な家電製品を提供する。同社は家電に特化し、余計な混在事業を避けることで利益の安定と収益性確保を志向。高付加価値家電や生活必需家電を取り扱うことで、消費者のライフスタイル変化や省エネニーズに対応している。また、オンラインと実店舗を併用したオムニチャネル戦略も志向しており、利便性と顧客接点の拡充を図っている。
出店形態は「郊外型」と「都市型」に分かれており、「郊外型」が主力。「郊外型」は、対象商圏5万人-15万人程度の車で15分ほどの国道などの幹線道路沿いに出店。「都市型」は、対象商圏15万人以上の駅近に出店、他業態との共同出店等も実施している。そのほか、同社グループのECでは、巨大なEC専用倉庫は持たず、全国550以上ある店舗が倉庫の代わりになっている。ECの注文データは本社に集約され、顧客自宅からの最寄店で梱包して発送。近くに店舗があることで、ECで購入した商品でも、店頭で購入した場合と同等に、迅速にアフターサービスが受けられるようだ。
同社の強みは、「がんばらない経営」のもと家電に特化している点にあるが、従業員の専門性が高められ、コストの抑制が図られて多くの利益を生み出すことにつながっている。家電量販店業界ではポイント制度を導入している会社が多いが、同社はポイント制度を採用せず現金値引にこだわっている。また、指定機種で一定の購入金額以上の商品について、メーカーの1年保証に、独自の保証(メーカー保証に準拠)を加えた10、5、3 年間の長期無料保証を行っている。家電は製品ごとに買い替えサイクルが存在するが、買い替えのタイミングで同社が選ばれるように親切を実行し、アフターサービスの充実化を図っている。同社は、「がんばらない経営」を指向しており、経営は終わりのない駅伝競走のようなものであり短期的に無理をしても意味がなく、できもしないことを負荷することでかえってひずみが出てしまうと考えていることから、従業員に販売ノルマを課していない。顧客に選ばれるためにはまず第一に従業員を大切にしなければならず、従業員が楽しく活き活きと働ける環境を整えることで顧客に寄り添った接客ができると考えている。家電特化になっているため、他社よりも比較的景気変動に左右されにくい特徴にもなる。また、家電アドバイザー資格取得促進やオンライン研修によって従業員の販売スキルと専門性を高め、高付加価値商品の販売を拡大している。
2026年3月期第2四半期決算では、売上高376,656百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益13,026百万円(同9.9%増)で着地した。2025年10月にWindows10のサポート終了を迎えるパソコンと、約2年前に本格普及した残価設定型契約からの買い替えのサイクルが到来している携帯電話が好調に推移。また、記録的な暑さに加え、東京都の省エネ家電の購入補助制度「東京ゼロエミポイント」の補助拡充もあり、エアコンをはじめとする季節商品が堅調に販売された。
そのほか、他社比較で同社は北海道・東北でのシェアが高い。北海道は従来の気候からエアコンの世帯普及率が低い(1家に1台ない)。ただ、近年の異常気象・記録的な高温からエアコンを購入する顧客が増えており、おのずとシェアが高い同社の追い風となっているようだ。そのほか、競争環境は変わっておらず、高付加価値商品の販売促進の取り組みが奏功している。通期計画は売上高755,000百万円(前期比2.3%増)、営業利益23,000百万円(同5.6%増)を見込んでいる。前期の巣ごもり需要の反動などによって一時的に落ち込んだ家電市場が底堅い買い替え需要ならびに高付加価値商品の伸長を通じて回復傾向にあることを示唆している。
同社は2024年5月に「中期経営計画 2027」を策定し、2025-2027年を既存店効率の再点検及び接客力強化により中長期的な成長につなげる地盤固め期と位置づけた。数値目標としては、中計最終年度に売上高7,700億円、営業利益270億円、ROE8.0%を掲げている。その基本方針は、家電に特化した既存店の効率再点検・接客強化、DXを通じた業務効率化・売上拡大、資本効率の改善による企業価値向上である。具体策として、3年間で新規出店20店舗、年間改装30店舗のスクラップ&ビルドを通じたドミナント戦略、高付加価値商品の拡販、人的資本への投資、オンラインショップおよびアプリの機能強化、POSや業務端末の刷新、バックオフィスの効率化などに取り組む。
同社は中期経営計画の中で、総還元性向80%、配当性向40%を目標と設定し、さらに「年間1株あたり配当額46円を下限」とする方針を明示している。また、機動的な自社株買いも併用する方針であり、中計期間中には既に自己株式取得を実施(2024年5月〜12月に200億円、2025年5〜10月に追加で100億円取得)。PBRは1倍に接近している。
総じて、ケーズホールディングスは、家電の底堅い買い替え需要、省エネ・高付加価値家電へのニーズ拡大、オンラインと店舗のオムニチャネル化など、今後の成長と収益基盤の安定が期待される。また、「がんばらない経営」を核に従業員そして、顧客を最重要視する同社は、PBも免税も実施していない。それぞれしっかりと考えられたうえでの同社の戦略で、家電を売るということに集中して利益を上げていく意思を、取材を通してしっかりと確認できた。同社が中計の目標を着実に実現する過程に注目しつつ、応援していきたい。
<HM>
出店形態は「郊外型」と「都市型」に分かれており、「郊外型」が主力。「郊外型」は、対象商圏5万人-15万人程度の車で15分ほどの国道などの幹線道路沿いに出店。「都市型」は、対象商圏15万人以上の駅近に出店、他業態との共同出店等も実施している。そのほか、同社グループのECでは、巨大なEC専用倉庫は持たず、全国550以上ある店舗が倉庫の代わりになっている。ECの注文データは本社に集約され、顧客自宅からの最寄店で梱包して発送。近くに店舗があることで、ECで購入した商品でも、店頭で購入した場合と同等に、迅速にアフターサービスが受けられるようだ。
同社の強みは、「がんばらない経営」のもと家電に特化している点にあるが、従業員の専門性が高められ、コストの抑制が図られて多くの利益を生み出すことにつながっている。家電量販店業界ではポイント制度を導入している会社が多いが、同社はポイント制度を採用せず現金値引にこだわっている。また、指定機種で一定の購入金額以上の商品について、メーカーの1年保証に、独自の保証(メーカー保証に準拠)を加えた10、5、3 年間の長期無料保証を行っている。家電は製品ごとに買い替えサイクルが存在するが、買い替えのタイミングで同社が選ばれるように親切を実行し、アフターサービスの充実化を図っている。同社は、「がんばらない経営」を指向しており、経営は終わりのない駅伝競走のようなものであり短期的に無理をしても意味がなく、できもしないことを負荷することでかえってひずみが出てしまうと考えていることから、従業員に販売ノルマを課していない。顧客に選ばれるためにはまず第一に従業員を大切にしなければならず、従業員が楽しく活き活きと働ける環境を整えることで顧客に寄り添った接客ができると考えている。家電特化になっているため、他社よりも比較的景気変動に左右されにくい特徴にもなる。また、家電アドバイザー資格取得促進やオンライン研修によって従業員の販売スキルと専門性を高め、高付加価値商品の販売を拡大している。
2026年3月期第2四半期決算では、売上高376,656百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益13,026百万円(同9.9%増)で着地した。2025年10月にWindows10のサポート終了を迎えるパソコンと、約2年前に本格普及した残価設定型契約からの買い替えのサイクルが到来している携帯電話が好調に推移。また、記録的な暑さに加え、東京都の省エネ家電の購入補助制度「東京ゼロエミポイント」の補助拡充もあり、エアコンをはじめとする季節商品が堅調に販売された。
そのほか、他社比較で同社は北海道・東北でのシェアが高い。北海道は従来の気候からエアコンの世帯普及率が低い(1家に1台ない)。ただ、近年の異常気象・記録的な高温からエアコンを購入する顧客が増えており、おのずとシェアが高い同社の追い風となっているようだ。そのほか、競争環境は変わっておらず、高付加価値商品の販売促進の取り組みが奏功している。通期計画は売上高755,000百万円(前期比2.3%増)、営業利益23,000百万円(同5.6%増)を見込んでいる。前期の巣ごもり需要の反動などによって一時的に落ち込んだ家電市場が底堅い買い替え需要ならびに高付加価値商品の伸長を通じて回復傾向にあることを示唆している。
同社は2024年5月に「中期経営計画 2027」を策定し、2025-2027年を既存店効率の再点検及び接客力強化により中長期的な成長につなげる地盤固め期と位置づけた。数値目標としては、中計最終年度に売上高7,700億円、営業利益270億円、ROE8.0%を掲げている。その基本方針は、家電に特化した既存店の効率再点検・接客強化、DXを通じた業務効率化・売上拡大、資本効率の改善による企業価値向上である。具体策として、3年間で新規出店20店舗、年間改装30店舗のスクラップ&ビルドを通じたドミナント戦略、高付加価値商品の拡販、人的資本への投資、オンラインショップおよびアプリの機能強化、POSや業務端末の刷新、バックオフィスの効率化などに取り組む。
同社は中期経営計画の中で、総還元性向80%、配当性向40%を目標と設定し、さらに「年間1株あたり配当額46円を下限」とする方針を明示している。また、機動的な自社株買いも併用する方針であり、中計期間中には既に自己株式取得を実施(2024年5月〜12月に200億円、2025年5〜10月に追加で100億円取得)。PBRは1倍に接近している。
総じて、ケーズホールディングスは、家電の底堅い買い替え需要、省エネ・高付加価値家電へのニーズ拡大、オンラインと店舗のオムニチャネル化など、今後の成長と収益基盤の安定が期待される。また、「がんばらない経営」を核に従業員そして、顧客を最重要視する同社は、PBも免税も実施していない。それぞれしっかりと考えられたうえでの同社の戦略で、家電を売るということに集中して利益を上げていく意思を、取材を通してしっかりと確認できた。同社が中計の目標を着実に実現する過程に注目しつつ、応援していきたい。
<HM>
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