注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(4):中期経営計画では、重点施策により売上高の年平均成長率10%超を目指す
配信日時:2025/12/02 12:34
配信元:FISCO
*12:34JST AZ丸和HD Research Memo(4):中期経営計画では、重点施策により売上高の年平均成長率10%超を目指す
■中長期の成長戦略
AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。売上高の年平均成長率(CAGR)は10.4%、経常利益は同19.9%である。数値目標の達成に向けては、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げた。
具体的には、人件費だけではなく、コスト全般が上昇しているなか、高い付加価値と効率性、コスト管理を追求することで、ROE15%以上を達成し、業界トップクラスの高収益企業づくりに挑戦する。グループ機能の強化としては、営業所単位でアナログ管理していたものを、TMS(輸配送プラットフォーム)を導入して可視化・効率化を実現するほか、AZ-COM丸和グループ/パートナー企業の小型車を活用する物流プラットフォームの開発・運用を進める。オペレーションの進化(標準化・DX)については、専用センターごとに業務手順やマネジメント手法が異なることを課題として認識しており、DXを推進して、KPIマネジメントを確立し、省人化・省力化の実現を目指す。新規事業(顧客)開発と既存事業再成長については、2026年3月期に稼働開始したBCP機能を兼ね備えた新拠点AZ-COM Matsubushi EASTの稼働率100%を中期経営計画中に目指す。
ドメインの重点施策としては、幹線需要の対応(EC常温輸配送)とEC関連を中心としたセンターの稼働(EC常温3PL)にて業容を拡大するほか、AZ-COM Matsubushiの本格稼働と各センターの生産性向上に努める方針である。
ラストワンマイル事業は、軽自動車以外の輸送手段の確立とライドシェアの仕組みを活用するほか、計画的にSD(店舗配送)を確保し、首都圏を中心に営業を強化することで年平均成長率3.8%、2028年3月期の売上高44,000百万円(2025年3月期売上高は39,350百万円)を目指す。
EC常温輸配送事業は、幹線便事業については新規センター開設による運行数の増加や、確立したネットワークの地方都市への展開を進める。さらに、ドライバーの働き方の多様化とDX投資による合理化で車両稼働の生産性を改善させ、年平均成長率22.9%で2028年3月期の売上高99,000百万円(2025年3月期売上高は53,371百万円)を目指す。
EC常温3PL事業は、EC関連の専用センター業務を中心に業容を拡大するほか、グループ内での「丸和スタンダード構築」を目的とした作業の標準化と現場マネジメントを確立することで、年平均成長率17.7%で2028年3月期の売上高105,000百万円(2025年3月期売上高は64,486百万円)を目指す。
低温食品3PL事業は、「AZ-COM Matsubushi」を本格稼働させるうえ、従来の食品SM以外の「食」に関わる事業を拡張させ、産直の強化と多彩な輸送の連携でブランド価値の向上をねらい、年平均成長率12.0%で2028年3月期の売上高34,000百万円(2025年3月期売上高は24,239百万円)を目指す。
医薬・医療3PL事業は、新センターの開設に向けたフィジカルインターネットを確立するほか、業務標準化によって品質を担保したうえで、年平均成長率3.9%で2028年3月期の売上高27,000百万円(2025年3月期売上高は24,151百万円)を目指す。
■株主還元策
累進配当の方針の下、2026年3月期の1株当たり配当金は32.0円を予定
同社は、2025年3月期より、原則として減配せず、配当の維持もしくは増配する政策である累進配当を導入している。導入の背景は、2014年に株式公開して以来、増配を継続するなど株主還元を強化してきたが、引き続き、企業価値向上を目指す株主資本コストを意識し、株主に対する利益還元の一層の充実と資本効率の向上に取り組むためである。2025年3月期の1株当たり配当金は32.0円(配当性向59.2%)と前期比2.0円増配し、2026年3月期においては32.0円(配当性向59.0%)を予定している。2026年3月期中間期は16.0円と前期と同額の配当金だった。持続的成長のために先行投資を実行し、収益力と資本効率を向上させつつ、株主に安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、「中期経営計画2028」期間(2028年3月期まで)は、配当性向40%を目安としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
<HN>
AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。売上高の年平均成長率(CAGR)は10.4%、経常利益は同19.9%である。数値目標の達成に向けては、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げた。
具体的には、人件費だけではなく、コスト全般が上昇しているなか、高い付加価値と効率性、コスト管理を追求することで、ROE15%以上を達成し、業界トップクラスの高収益企業づくりに挑戦する。グループ機能の強化としては、営業所単位でアナログ管理していたものを、TMS(輸配送プラットフォーム)を導入して可視化・効率化を実現するほか、AZ-COM丸和グループ/パートナー企業の小型車を活用する物流プラットフォームの開発・運用を進める。オペレーションの進化(標準化・DX)については、専用センターごとに業務手順やマネジメント手法が異なることを課題として認識しており、DXを推進して、KPIマネジメントを確立し、省人化・省力化の実現を目指す。新規事業(顧客)開発と既存事業再成長については、2026年3月期に稼働開始したBCP機能を兼ね備えた新拠点AZ-COM Matsubushi EASTの稼働率100%を中期経営計画中に目指す。
ドメインの重点施策としては、幹線需要の対応(EC常温輸配送)とEC関連を中心としたセンターの稼働(EC常温3PL)にて業容を拡大するほか、AZ-COM Matsubushiの本格稼働と各センターの生産性向上に努める方針である。
ラストワンマイル事業は、軽自動車以外の輸送手段の確立とライドシェアの仕組みを活用するほか、計画的にSD(店舗配送)を確保し、首都圏を中心に営業を強化することで年平均成長率3.8%、2028年3月期の売上高44,000百万円(2025年3月期売上高は39,350百万円)を目指す。
EC常温輸配送事業は、幹線便事業については新規センター開設による運行数の増加や、確立したネットワークの地方都市への展開を進める。さらに、ドライバーの働き方の多様化とDX投資による合理化で車両稼働の生産性を改善させ、年平均成長率22.9%で2028年3月期の売上高99,000百万円(2025年3月期売上高は53,371百万円)を目指す。
EC常温3PL事業は、EC関連の専用センター業務を中心に業容を拡大するほか、グループ内での「丸和スタンダード構築」を目的とした作業の標準化と現場マネジメントを確立することで、年平均成長率17.7%で2028年3月期の売上高105,000百万円(2025年3月期売上高は64,486百万円)を目指す。
低温食品3PL事業は、「AZ-COM Matsubushi」を本格稼働させるうえ、従来の食品SM以外の「食」に関わる事業を拡張させ、産直の強化と多彩な輸送の連携でブランド価値の向上をねらい、年平均成長率12.0%で2028年3月期の売上高34,000百万円(2025年3月期売上高は24,239百万円)を目指す。
医薬・医療3PL事業は、新センターの開設に向けたフィジカルインターネットを確立するほか、業務標準化によって品質を担保したうえで、年平均成長率3.9%で2028年3月期の売上高27,000百万円(2025年3月期売上高は24,151百万円)を目指す。
■株主還元策
累進配当の方針の下、2026年3月期の1株当たり配当金は32.0円を予定
同社は、2025年3月期より、原則として減配せず、配当の維持もしくは増配する政策である累進配当を導入している。導入の背景は、2014年に株式公開して以来、増配を継続するなど株主還元を強化してきたが、引き続き、企業価値向上を目指す株主資本コストを意識し、株主に対する利益還元の一層の充実と資本効率の向上に取り組むためである。2025年3月期の1株当たり配当金は32.0円(配当性向59.2%)と前期比2.0円増配し、2026年3月期においては32.0円(配当性向59.0%)を予定している。2026年3月期中間期は16.0円と前期と同額の配当金だった。持続的成長のために先行投資を実行し、収益力と資本効率を向上させつつ、株主に安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、「中期経営計画2028」期間(2028年3月期まで)は、配当性向40%を目安としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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京セラ:構造改革と資本効率改善を推進、新成長戦略を今期末までに発表予定
*13:12JST 京セラ:構造改革と資本効率改善を推進、新成長戦略を今期末までに発表予定
京セラ<6971>は1959年、稲盛和夫氏により京都セラミックとして創業された電子部品・機器のグローバルメーカー。アメーバ経営による徹底した部門別採算制度を基盤に、ファインセラミック技術を核として部品から完成品、サービスまで多角化を推進してきた。素材技術に立脚した垂直統合型モデルと、強固な財務体質が伝統的な特徴だが、近年は保有するKDDI株式等の資産の有効活用やROE(自己資本利益率)向上に注力するなど、構造改革を推進している。同社の事業は3つのセグメントで構成される。主力のコアコンポーネントは、売上高の3割程度を占め、半導体製造装置用ファインセラミック部品や有機パッケージ、車載カメラ用部品などを扱い、AI・デジタル社会のインフラを支える最も収益性の高い部門である。電子部品は、売上高の2割程度を占め、コンデンサやコネクタ、水晶デバイス等を展開し、通信・車載市場に強みを持つ。米国子会社Kyocera AVX Components Corporation(以下、KAVX)もここに含まれる。ソリューションは売上高の5割程度を占め、一般向けから各種産業用の工具、ドキュメント機器(複合機・プリンタ)、通信機器、情報通信サービス等を扱っている。同社の強みとしては、祖業であるセラミック分野における高い技術・市場占有率、長年の実績に基づく顧客との関係性がある。また、ドキュメントソリューションにおいては、国内外で様々な顧客接点があり、幅広い同社製品をクロスセルすることが可能になっている。事業環境については、生成AI普及に伴うデータセンター投資の拡大が商機になりうる。半導体製造装置向け部品事業やセラミックパッケージ事業など、同社が事業拡大できる余地は大きいだろう。ソリューションにおいては、ペーパーレスが進展する中、中長期的にはプリンター、インクジェット関連などは需要減が見込まれるものの、データ管理や産業用プリンターなどの新規事業を開発することで対応を急いでいる。2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高は前期比3.2%減の1,950,000百万円、営業利益は同156.4%増の70,000百万円、税引前利益は同83.9%増の117,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同294.2%増の95,000百万円へと上方修正されている。第2四半期累計実績では、売上高は為替の円高進行(主に対米ドル)の影響等で微減となったものの、税引前利益は前年同期比31.1%の大幅増益で着地した。課題であった半導体部品有機材料事業や子会社KAVXの収益性が改善し、構造改革の成果が数字として表れ始めている。2026年3月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高2.5兆円、ROE7%以上などの目標を掲げているが、足元の進捗を踏まえると目標達成には距離感がある。一方、経営陣は戦略の見直しや構造改革を優先しており、課題事業の黒字化や売上高2,000億円程度の事業見直しを断行している。なお、当期末までには新たな将来ビジョン、成長戦略などが発表される予定であり、成長路線への再回帰に対する期待が高まろう。同社は構造改革を進める中、株主還元の強化を打ち出している。保有するKDDI株式の一部売却を実行し、約2,100億円の資金を確保する一方、上限2,000億円という過去最大規模の自己株式取得枠を設定し、買付を実施している。配当については、配当性向50%程度を目安とし、今期は年間50円を維持する方針である。政策保有株の縮減と積極的な還元姿勢は、PBR1倍割れに対する強いコミットメントと言えよう。投資の視点では、KDDI株売却による資本効率の改善、事業見直しによる収益性の向上、そしてAI関連需要の取り込みが見込まれるなど、成長路線への再回帰が期待される。構造改革の更なる進展や新たな成長戦略を確認する必要はあるが、足元の株価バリエーション(PBR0.88倍、予想配当利回り2.42%)を踏まえると投資妙味があると考える。
<HM>
2025/12/02 13:12
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DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター
*12:49JST DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター
DCMホールディングス<3050>は、北海道のホーマック、東海、北陸のカーマ、四国、関西のダイキなど複数の地域ホームセンターが統合して誕生した国内最大級のホームセンターグループ。グループ店舗数は全国で900店舗超と圧倒的な規模を持ち、ホームセンター市場約4兆円の中で5,000〜6,000億円の売上規模を有しトップシェアを占める。生活用品、DIY、園芸、ペット用品などを幅広く扱い、地域に密着した店舗運営が特徴だ。同社の事業構造はホームセンター事業が中心で、収益の柱は生活密着型の商品群とプライベートブランド(PB)商品である。PB「DCMブランド」はナショナルブランドより粗利利率が高く、2025年度上期の構成比30%から2030年度に50%まで引き上げる方針だ。規模の経済を活かした仕入れ効率化や物流最適化に取り組み、統合オペレーションによるローコスト運営が強みとなる。また、ホームテックのM&Aによりリフォーム事業を本格拡大し、「生活快適化総合企業」への進化を図っている。2026年2月期第2四半期(中間期)の業績は、営業収益2,803億円(前年同期比2.6%減)、営業利益208億円(同1.1%減)と減収減益で着地した。北海道・東北地域で3〜5月の気温が低く春商戦が出遅れたほか、前期の南海トラフ特需の反動減、夏季の猛暑影響など、天候要因が売上に逆風となった。販管費についてはコスト抑制を進めたことによって、オペレーション効率化の成果が表れている。一方、当期純利益はシンジケートローン手数料削減により121億円(前年同期比3.6%増)と微増を確保した。部門別では全体的に伸び悩みが見られたものの、PB商品は利益貢献が大きく、既存店売上の弱含みを補完した。さらに、グループインしたケーヨーが営業利益率で6〜7%改善し、統合効果が顕在化している。粗利利改善(商品統一)とオペレーション改善によるコスト削減が進んでおり、9月にグループインしたエンチョーでも同様の効果が期待される。仕入れ、物流コストの上昇にも、適正価格販売と商品MDの工夫により吸収する姿勢を貫いている。今期の通期見通しは、営業収益5,536億円(前期比1.7%増)、営業利益350億円(同5.3%増)と増収増益を計画し、現時点で計画の据え置きを発表している。上期は営業利益が想定を約10億円下回ったが、PB強化とコスト見直しにより通期ベースでの利益確保を見込む。下期からエンチョーの5カ月分を取り込む予定で、売上押し上げ要因となる。市場としてはホームセンター全体の成長は鈍化しているが、DIY需要、生活必需品の底堅さ、住環境改善ニーズは継続しており、中期的には安定した需要環境が続くと見る。競合他社との比較では、全国900店規模の店舗網を持つDCMは購買力・物流網・PB開発力で優位性が高い。カインズ、コメリ、コーナン商事など大手がPBを強化する中でも、規模メリットを活かした統合オペレーションは容易に模倣できない強みだ。さらに、M&A後のPMI(統合プロセス)を短期で成果につなげる実行力はケーヨーの改善により実証されており、今後の再編局面でも競争力を持つと評価できる。同社は「第3次中期経営計画(2023-2025年度)」の最終年度を迎えているが、円安による原価上昇や人件費の増加で利益計画は下方見直しとなった。一方で、PB商品の強化、店舗オペレーションの統一・効率化が着実に進み、収益基盤はむしろ強化されてきた。店舗戦略では、大型店においてレジャー、DIY、ペット関連など専門店化を進め、中型・小型店は改装と効率化を実験的に推進。地域特性を踏まえた多様な店舗フォーマットを再構築している。M&Aは今後も積極的に推進する方針で、ホームセンターを中心とした事業統合でスケールメリットを最大化しつつ、リフォーム事業を全国に広げることで住生活関連のサービスプラットフォームとしての価値向上を図る。リフォーム市場は人口減少下でも一定の需要が見込める分野であり、長期的な成長領域として位置づけられる。株主還元方針は、配当性向35%を基本とした利益成長に応じた増配を目指す。2026年2月期は年間46円の配当を計画。さらに将来的には配当性向40%を視野に入れ、自己株式の取得も機動的に検討、総還元性向70%をターゲットとする。現状PBRは0.7倍と割安水準にあるが、次期中計で資本効率の改善が期待される。PB比率引き上げや店舗統合効果が進む中、収益性改善による株価のリバリュー余地は大きい。総じて、DCMホールディングスは国内トップクラスのスケールと高い統合能力を武器に、PB強化とM&A、店舗改革を通じて収益基盤を再構築している。ホームセンター市場が成熟局面にある中で、リフォーム事業とPB戦略という成長エンジンを持ち、ROE改善とPBR1倍回復に向けた着実な成長が期待できる。中長期的な利益成長と還元両面で注目したい。
<HM>
2025/12/02 12:49
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は反発、ファーストリテが1銘柄で約64円分押し上げ
*12:47JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は反発、ファーストリテが1銘柄で約64円分押し上げ
2日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり128銘柄、値下がり91銘柄、変わらず6銘柄となった。日経平均は反発。195.78円高の49499.06円(出来高概算10億2372万株)で前場の取引を終えている。前日1日の米国株式市場は大幅反落。ダウ平均は427.09ドル安の47289.33ドル、ナスダックは89.77ポイント安の23275.92で取引を終了した。暗号資産相場の下落や円キャリートレードの巻き戻しなどのリスクが警戒され、寄り付き後、下落。さらに、ISM製造業景況指数が予想外に悪化し、経済の成長減速懸念も重しとなった。その後も、ベネズエラを巡る地政学的リスクの上昇や、長期金利の上昇も嫌気され、相場は下落。終盤にかけても売りが続き終了した。セクター別ではテクノロジー・ハード・機器、エネルギーが上昇した一方、資本財・公益事業が下落した。米株式市場の動向を横目に、2日の日経平均は191.30円高の49494.58円と反発して取引を開始した。東京市場では買い先行の展開となり、輸出関連や為替感応銘柄に対して円安・ドル高の進行が支えとなった。あわせて、国内外の需給バランスがやや引き締まり気味との見方もあり、前場序盤から全般にしっかりした売買が観測された。個別では、ファーストリテ<9983>、ファナック<6954>、アドバンテスト<6857>、コナミG<9766>、レーザーテク<6920>、フジクラ<5803>、住友電<5802>、KDDI<9433>、信越化<4063>、TDK<6762>、HOYA<7741>、セコム<9735>、ニトリHD<9843>、ガイシ<5333>、安川電<6506>などの銘柄が上昇。一方、ソフトバンクG<9984>、第一三共<4568>、リクルートHD<6098>、トヨタ<7203>、豊田通商<8015>、ベイカレント<6532>、三越伊勢丹<3099>、オリンパス<7733>、エーザイ<4523>、デンソー<6902>、ホンダ<7267>、三井不<8801>、住友ファーマ<4506>、キーエンス<6861>、SUBARU<7270>などの銘柄が下落。業種別では、非鉄金属、石油・石炭製品、ゴム製品、化学、電気機器、精密機器、食料品、銀行業などが買われるなか、医薬品、機械、情報・通信業、輸送用機器、不動産業などが軟調だった。特に非鉄金属と石油・石炭製品セクターの堅調さが目立った。値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約64円押し上げた。同2位はファナック<6954>となり、アドバンテスト<6857>、コナミG<9766>、レーザーテック<6920>、フジクラ<5803>、住友電工<5802>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約67円押し下げた。同2位は第一三共<4568>となり、リクルートHD<6098>、東エレク<8035>、ベイカレント<6532>、豊田通商<8015>、トヨタ<7203>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 49499.06(+195.78)値上がり銘柄数 128(寄与度+371.07)値下がり銘柄数 91(寄与度-175.29)変わらず銘柄数 6○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 56750 800 64.18<6954> ファナック 5410 372 62.17<6857> アドバンテ 19875 175 46.80<9766> コナミG 23555 465 15.54<6920> レーザーテック 28695 940 12.57<5803> フジクラ 16680 335 11.20<5802> 住友電気工業 6612 282 9.43<7741> HOYA 23485 415 6.94<9433> KDDI 2667 17 6.82<9735> セコム 5429 92 6.15<9843> ニトリHD 2732.5 71.5 5.97<5333> 日本碍子 3241 171 5.72<4063> 信越化 4688 32 5.35<4519> 中外製薬 8125 53 5.31<6762> TDK 2486.5 9 4.51<6506> 安川電機 4157 133 4.45<2801> キッコーマン 1425.5 25 4.18<4062> イビデン 11440 120 4.01<6146> ディスコ 43040 590 3.94<7751> キヤノン 4595 70 3.51○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG 16200 -335 -67.19<4568> 第一三共 3687 -131 -13.14<6098> リクルートHD 7864 -113 -11.33<8035> 東エレク 31580 -50 -5.01<6532> ベイカレント 6514 -143 -4.78<8015> 豊田通商 4934 -47 -4.71<7203> トヨタ自動車 3055 -27 -4.51<3099> 三越伊勢丹HD 2351 -110 -3.68<7733> オリンパス 2038 -27 -3.61<4523> エーザイ 4693 -97 -3.24<7267> ホンダ 1520.5 -14.5 -2.91<6902> デンソー 2023.5 -19.5 -2.61<7270> SUBARU 3370 -68 -2.27<8801> 三井不動産 1743 -22.5 -2.26<6861> キーエンス 51770 -670 -2.24<4506> 住友ファーマ 2503.5 -66.5 -2.22<7832> バンナムHD 4429 -21 -2.11<6526> ソシオネクスト 2172 -58 -1.94<6367> ダイキン工業 19890 -55 -1.84<4502> 武田薬品工業 4455 -54 -1.80
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2025/12/02 12:47
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引
*12:33JST AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引
■AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の業績動向1. 2026年3月期中間期の業績概要2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。計画(売上高105,000百万円、営業利益4,500百万円、経常利益4,650百万円、親会社株主に帰属する中間純利益2,850百万円)に対しては、売上高は7.7%超過、営業利益は34.8%超過、経常利益は34.8%超過、親会社株主に帰属する中間純利益は40.0%超過となった。売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面での経常利益の主な増減要因は、社員賃金ベースアップ影響による450百万円、撤退・業務縮小による429百万円、既存物量減による304百万円、新規開設準備、業務安定化などの一時費用295百万円が減益要因となった一方、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。2. 事業セグメント別動向物流事業の売上高は前期比11.5%増の111,514百万円、営業利益は同24.1%増の5,914百万円となり、その他事業の売上高は同10.5%増の1,540百万円、営業利益は同10.6%増の213百万円となった。物流事業セグメントにおける各事業の売上動向は以下のとおりである。ラストワンマイル事業の売上高は前期比4.6%減の19,036百万円となった。ネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や、既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった。EC常温輸配送事業の売上高は前期比10.8%増の29,557百万円となった。新たな取引先の輸配送案件の獲得に加えて、センター間をつなぐ幹線輸送数が堅調に拡大したこと、また、既存取引先との新たな輸配送サービスの稼働開始が寄与した。EC常温3PL事業の売上高は前期比22.5%増の36,729百万円となった。前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働及び取扱物量の増加に加え、新たな物流センターの開設が寄与した結果、2ケタ成長を維持した。低温食品3PL事業の売上高は前期比9.6%増の12,964百万円となった。前期開設したスーパーマーケット向け物流センターの通期稼働に加え、商品単価の上昇や取扱物量の増加が寄与した結果、堅調な成長を示した。医薬・医療3PL事業の売上高は前期比14.1%増の13,226百万円となった。主要取引先であるドラッグストアの業容拡大に対応する新たな物流センターの全面稼働に加え、季節商品をはじめとする好調な取扱物量の増加が寄与した。3. 財務状況と経営指標2026年3月期中間期末の資産合計は前年度末比20,000百万円増加の158,551百万円となった。主な増減要因は、現金及び預金が4,886百万円減少したことにより流動資産が3,408百万円減少し63,165百万円となったが、有形固定資産のうち新規物流センターの建設に係る建設仮勘定が13,920百万円の増加、機械装置及び運搬具(純額)が3,077百万円の増加、建物及び構築物(純額)が1,174百万円の増加、投資有価証券が3,592百万円の増加となり、固定資産は23,408百万円増加し95,386百万円となったことによる。負債合計は前年度末比16,136百万円増加の94,255百万円となった。主な増減要因は、流動負債は1年内償還予定の転換社債が20,146百万円減少したことにより、13,353百万円減少の37,328百万円となった。固定負債は転換社債が22,000百万円増加、長期借入金が6,172百万円増加したことにより、29,490百万円増加の56,926百万円となった。純資産合計は同3,864百万円増加の64,296百万円となった。利益剰余金は1,827百万円増加し、その他有価証券評価差額金は1,938百万円増加した。また、経営指標については、自己資本比率が38.8%となり、前年度末の41.7%と比べ2.9ポイント低下したが、財務の健全性は良好であると評価できる。4. キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは7,035百万円の収入(前期は3,458百万円の収入)となった。これは主に、税金等調整前中間純利益6,346百万円、減価償却費1,734百万円、のれん償却額254百万円、賞与引当金の増加44百万円、仕入債務の増加895百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、18,665百万円の支出(前期は4,892百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出17,120百万円、無形固定資産の取得による支出208百万円、敷金及び保証金の差入による支出155百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、6,771百万円の収入(前期は1,627百万円の支出)となった。これは主に、転換社債の発行による収入22,000百万円、長期借入れによる収入10,100百万円があった一方で、転換社債の償還による支出20,000百万円、長期借入金の返済による支出2,892百万円、配当金の支払額2,163百万円があったことによる。現金及び現金同等物の減少額は4,858百万円(前期は3,061百万円の減少)となり、期末における現金及び現金同等物の残高は36,278百万円で、期首の41,136百万円から減少した。■今後の見通し2026年3月期は新拠点の取扱物量の増加により増収増益の見通し2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益の見通しだ。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込みだ。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。利益項目は、投資案件や経費増、撤退・業務縮小などの圧迫要因があるが、新規顧客獲得、既存事業拡大、料金改定、生産性向上などにより増益を見込む。2026年3月期中間期において計画を大幅に上回る着地であったが、期初の会社計画に織り込んでいなかった生産性向上に向けた投資負担に加え、新拠点の業務安定化を目的とした一時費用が下期も発生する見込みのため、通期の会社計画は据え置きとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:33
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
*12:32JST AZ丸和HD Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
■AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の会社概要1. 会社概要同社グループは、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務を手掛けている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有し(2026年3月期中間期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業では、一般貨物運送、軽貨物運送(当日お届けサービス、ネットスーパーなど)、特別積合せ貨物運送、鉄道利用運送、産業廃棄物の収集運搬など、多様な輸送手段を提供している。また3PL事業では、顧客の販売拠点や輸配送ルートを考慮した物流センター候補地の選定、センター設計、商品の調達・入荷から保管、流通加工、ピッキング、梱包、仕分け、出荷検品までの一連の作業管理手法、輸配送のダイヤグラム設定及びリバースロジスティクス(返品物流)の提案と受託を行っている。2. 沿革同社は、1973年に埼玉県北葛飾郡吉川町(現 埼玉県吉川市)に一般区域貨物自動車運送事業を事業目的に設立された。設立以来、M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは、直近で2024年にルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。事業の多角化については、1995年に医薬・医療物流を全国に拡大、2013年に低温食品物流事業を開始、2019年にはBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)物流を本格稼働させた。顧客は、(株)イトーヨーカ堂、ダスキン<4665>、マツキヨココカラ&カンパニー、アマゾンジャパンなど順次、大口顧客との取り引きを開始した。株式については、2014年に東京証券取引所(以下、東証)市場第2部に上場し、2015年に東証市場第1部銘柄に指定(現 東証プライム市場)された。2022年に純粋持株会社体制へ移行し、AZ-COM丸和ホールディングスに商号を変更した。3. 事業内容同社の事業セグメントは、物流事業、その他事業の2つで開示している。2026年3月期中間期の事業別売上高構成比では、物流事業が売上高の98.6%を占める主力事業となっている。(1) 物流事業物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれている。輸配送事業には、ラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業があり、3PL事業には、EC常温3PL事業、低温食品3PL事業、医薬・医療3PL事業のドメインがある。1) 輸配送事業a) ラストワンマイル事業軽車両、小型車両を活用した配送、生協の個別配送、ネットスーパーの配送、電化製品などの宅配設置などを行っている。アマゾンジャパン、ヤマト運輸、生活協同組合コープみらいが主要取引先である。2017年から開始したアマゾンジャパンとの取り引き拡大を追い風に高成長を遂げてきた事業である。b) EC常温輸配送事業EC常温輸配送事業は、中型~大型車両及び鉄道を活用した拠点間配送・店舗間配送などを行っており、ヤマト運輸、アマゾンジャパンが主要取引先である。同事業は同社の売上高のうち、EC常温3PL事業に次ぐ第2位のシェアを占めており、M&Aによる事業拡大も行っている。2) 3PL事業a) EC常温3PL事業EC常温3PL事業では、大手ECサイトやネット通販会社の専用センター業務、小売業の常温品向けセンター業務を手掛けている。アマゾンジャパン、ダスキンが主要取引先である。同事業は同社の売上高に占める最大シェアの事業であり、2ケタ成長を続けるトップラインのけん引役となっている。b) 低温食品3PL事業低温食品3PL事業では、スーパーマーケット向けのセンター業務、メーカーや卸センターからの調達物流を手掛けている。ベルク<9974>、(株)マルアイ、ヤマザワ<9993>、(株)ベイシア、コープ東北サンネット事業連合が主要取引先である。新たなセンターがオープンするなど安定した成長が続く事業である。c) 医薬・医療3PL事業医薬・医療3PL事業では、ドラッグストア向けのセンター業務、メーカーや卸向けの返品物流を手掛けている。マツキヨココカラ&カンパニーが主要取引先である。主要取引先の経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれている事業である。(2) その他事業その他事業として、各種申込書や契約書など重要書類の原本保管や輸配送などの原本管理、Webアプリケーションを利用したリアルタイムな書類検索や電子データ閲覧、IT技術を活用したドキュメントの電子データ化など、ドキュメントの発生から廃棄までを総合的にサポートし、最適なドキュメント総合管理サービスを提供する「文書保管」と、首都圏を中心として、ビル・駐車場等の賃貸管理業務を行う「不動産賃貸」を手掛けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:32
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益
*12:31JST AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益
■要約AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業務を手掛けている。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業はラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業、3PL事業はEC常温3PL事業と低温食品3PL事業及び医薬・医療3PL事業のドメインに分かれている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有しており(2026年3月期中間期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。会社設立以来M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは直近で2024年に(株)ルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。顧客は、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、アマゾンジャパン(同)、ヤマト運輸(株)など、大口顧客の基盤を有する。1. 2026年3月期中間期の業績概要2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面では、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益を見込んでいる。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込み。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。3. 中長期の取り組み同社は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。目標達成に向けて、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げ、推進している。■Key Points・2026年3月期中間期は計画を上回る着地、主力のEC常温3PL事業がけん引・2026年3月期は新設センターの稼働寄与などで増収増益の見通し・中期経営計画において、環境変化に強い高収益企業づくりの実現を掲げ推進中(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:31
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(5):2026年9月期通期は営業利益で前期比40.9%増を予想
*12:05JST リアルゲイト Research Memo(5):2026年9月期通期は営業利益で前期比40.9%増を予想
■リアルゲイト<5532>の今後の見通し2026年9月期通期の業績予想は、売上高で前期比7.2%増の10,500百万円、営業利益で同40.9%増の1,470百万円、経常利益で同35.1%増の1,117百万円、当期純利益で同29.6%増の725百万円と高い利益成長が続く見込みである。成長戦略では、物件の高稼働によるストック型収入を着実に増やしながら、収益性の高い自社保有物件を中心に新規獲得を積極的に進めることで、業績拡大及び収益性向上を目指す。売上高の内訳としては、ストック型売上高6,404百万円(同4.7%増)、ストック型粗利2,149百万円(同5.3%増)と堅調な伸びを予想する。既存物件の好調な稼働率を維持しながら、テナント賃料改定を実施し、収益性を向上させる計画である。進行期には「THESTEPS/SHIFT HOTEL(渋谷区、ML)」「FURAM SANGUBASHI(渋谷区、保有)」などを含めて9件が開業予定である。9件中6件は収益性的に有利な保有物件である。フロー型では、2件(上期1件、下期1件)の売却、2件(上期1件、下期1件)の設計・施工を請負予定である。フロー型売上高4,096百万円(同11.5%増)、フロー型粗利1,097百万円(同72.5%増)と特に粗利が大きく伸びる予想である。将来の成長のポイントとなる物件の仕入は、保有物件を中心に約8件の新規獲得を目指す。営業利益に関しては、これまでの中期経営計画の利益成長目標(30%以上)を上回る前期比40.9%増を予想する。売上高営業利益率では14.0%(前期は10.7%)に達する予想である。新規開業する物件のリーシングを進め早期に黒字化させることや、既存物件の稼働率を維持しつつ、賃料適正化の取り組みを進めることが収益性向上のカギとなる。第1四半期に予定していた売却が既に完了しており、営業利益の進捗率は約60%となっており、進捗は順調である。弊社では、ストック型の収入モデルが安定的に積み上がっているため、物件の売却を年2件程度に抑えることができており、安定した利益成長ができる好循環に入っていると評価している。リーシングに注力する物件は、保有物件が多くなっており、いずれも同社が得意とする渋谷エリアが中心であり早期のリースアップ・高稼働の維持が期待できる。物件の売却環境も良好なため、売却益もしっかり期待できる。これまでの同社の業績予想精度は非常に高く、進行期も業績予想の達成可能性は高いと考えている。■中長期の成長戦略・トピック新中期経営計画は営業利益計画を上方修正。省人型「SHIFT HOTEL」を本格展開1. 新中期経営計画(ローリング)では利益目標を上方修正同社では、2026年9月期を初年度とし、2028年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画が進行中である。前中期経営計画(2025年9月期~2027年9月期)をローリングさせたもので、利益の計画値が上方修正された点に特徴がある。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率30%以上だったのに対し、新中計では初年度(2026年9月期)年率40.9%に引き上げられた。この背景には、外部要因として不動産再生需要の増加という市況環境の追い風に加え、2023年9月期以降に保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。最終年度の営業利益計画は25億円、営業利益率は19.2%である。営業利益率が高まる主な要因は、ポートフォリオにおける保有物件比率の上昇である。2025年9月期末の保有物件は11件だったのに対し、2028年9月期末には22件~26件と倍以上を計画する。一方で、PM件数は減少(同18件→同14~15件)、ML件数は緩やかな増加(同42件→同49~51件)にとどまる。同社の経営計画の精度の高さは、将来の売上高につながる物件に先行して獲得するビジネスモデルに起因する。一例として、2026年9月期開始時点で、既存獲得済物件による売上寄与は2026年9月期で100%、2027年9月期は85%、2028年9月期は70%となる。2. ホテルへの本格進出:地域とのつながりを楽しむ省人型ホテル「SHIFT HOTEL」を展開同社は、中期経営計画の新規事業の一環として「REALGATE Hotel Project」を始動し、ホテル事業への本格進出を行う。これまでの築古ビル再生ノウハウを生かし、建物の再生の選択肢に新たに「ホテル」の機能を加えることで、街に多様な価値と交流をもたらし、物件の収益性向上をねらう。プロジェクトの第1弾として、2026年1月、渋谷区幡ヶ谷1丁目に「SHIFT HOTEL/シフトホテル」をオープン予定である。築53年のオフィスビルをコンバージョンし、渋谷区幡ヶ谷の文化や空気感を、その街で暮らすように五感で体感できるホテルへと再生する。施設のインテリアデザインはBaNANA OFFICE(株)が担当し、普遍的な素材に、人が手を加えながらデザインを継ぎ足し、長く経年変化を味わうことができる空間とした。客室を彩るアートは幡ヶ谷にギャラリーを構えるgallery communeが担当し、ロビーや客室の音楽は、幡ヶ谷の街に寄り添うようにELLA RECORDS((株)CARASCO)が選曲した。ホテル運営については、AIとテクノロジーでホテル・宿泊業界の仕組みを変えるAXカンパニー、SQUEEZEと協業する。SQUEEZEは、自社アパートメントホテルブランド「Minn」やエスコンフィールドHOKKAIDOの球場内ホテル「tower eleven hotel / onsen & sauna」など全国約40施設を運営しながら、自社開発の「suitebook」をはじめ、KIOSK端末やクラウドレセプションなど多様なホテルソリューションを展開し、ホテル運営の省人化やDXの活用に定評がある。進出初年度である2026年9月期に「SHIFT HOTEL」3件の展開を計画している。■株主還元策当面は高い利益成長を背景にキャピタルゲインが期待できる同社は、成長のための投資を優先するため、2026年9月期の配当は行わない予定である。利益及び調達した資金は、短期的には物件の確保に活用される。同社は、渋谷区や港区におけるスモールオフィス・シェアオフィス等を一気通貫で提供する独自のビジネスを展開し、右肩上がりの業績成長を続けているため、当面の投資スタンスはキャピタルゲインが主目的になる。ただし、一定の利益水準に達した時点での配当開始や、その先の東証プライム市場への昇格も期待したい。配当開始は、“当期純利益10億円超え”を目途とすると表明しており、現在の見通しでは、早ければ2027年9月期に到達することになるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:05
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(4):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(2)
*12:04JST リアルゲイト Research Memo(4):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(2)
■リアルゲイト<5532>の事業概要5. 業務プロセス:企画・設計から運営まで一気通貫で内製化同社では、物件ごとにプロジェクトが組成され、プロジェクトリーダーの下に、企画営業(宅建士)、一級建築士、1級建築施工管理技士、デザイナー、営業事務などのメンバーが協力して業務にあたる。プロジェクトでは、企画・デザイン、設計・建設、リーシング、運営を一気通貫で行う。特に、同社では「運営」業務を重視している。入退去理由やクレーム内容等入居者の意見を分析することが良い企画の源泉となるため、早期リースアップと高単価の実現にも寄与している。優秀な人材の確保・定着のため継続的なベースアップを行っている。6. 収益構造:先行投資・費用をリーシング稼働率の向上により回収していく主体となるビジネスモデルであるMLでは、契約当初からビルオーナーへの賃料の支払いが発生するものの、入居企業が決まるまでには時間がかかるため空室時の損失が発生する。典型例(渋谷区延床面積400坪の築古ビル、以下同様)では、竣工から6ヶ月で損益分岐点に達し、8ヶ月でリースアップする。リースアップ後は毎月の粗利は250万円(エンド賃料の25%)が得られる。初期(6ヶ月)の損失は先行投資と考えられ、月次黒字化後は投資を回収し、10年~20年をかけて収益を得ていくという形である。「保有」に関しては、先行投資がさらに大きくなり、物件価格を除いても、物件取得費用(税金、仲介料など)が3,000万円かかる。また、リノベーション関連の工事・設備費が自己負担になる。一方で、リースアップした際の月額の粗利は月650万円(エンド賃料の65%)と相対的に大きくなる。「保有」は収益性が高いビジネスモデルではあるが、築古ビルでも数億円から数十億円の価格となり、自己資本比率を低下させるため、一時期に取り組める棟数には限界がある。同社では、資金効率を最大化するために、リースアップ後一定期間保有をした物件は売却してML・PMの受託につなげている。PMは、先行投資・費用が発生しないのが特徴である。竣工前には企画・設計・施工を担当でき、リースアップまでの各種支援も収入になる。一方、リースアップ後は月80万円(エンド賃料の8%)と粗利は相対的に低い。7. 強み:技術力、企画・運営力により適正価格を実現同社の強みは、「技術力、企画・運営力により、適正価格でのサービスを実現する力」である。「技術力」は、検査済証取得をはじめ、耐震補強、エレベーター新設、用途変更、増築、耐久性の向上など築古ビル特有の問題を解決し、安心・安全な物件への再生を可能にする。築古ビルには旧耐震基準の時代のものがあり、検査済証未取得のケースが多い。同社では、検査済証取得のための技術力とノウハウがあるため、他社が断念する物件にも取り組める。また「企画力」により、外観デザインの変更、屋上のスカイテラス設置、ラウンジ設置、館内アート導入などヴィンテージ物件を作り上げる多彩な共用部と洗練されたデザインのノウハウを蓄積し、活用する。「運営力」は、創業以来、PM業務やML業務を内製化し、入居テナントとのコミュニケーションを直接行ってきたことが、顧客満足度の高いサービスの源泉になっている。“適正なエンド価格を間違えないこと”も同社の強みの重要な要素である。同社では坪単価で3万円前後のエンド価格を想定し、その金額から逆算して建築・運営コスト、仕入単価を設定する。適正なエンド価格、建築コスト、減価償却費、運営諸経費などをスピーディかつ正確に見積もることで、仕入れの判断も早くなる。築古建築の古くなった部分をそのまま活用したり、敢えてコンクリートをむき出しにするなど、建築工事費低減の工夫によって適正価格での提供を実現している。■業績動向2025年9月期通期は営業利益目標の10億円を突破。運営物件の高稼働によりストック売上・粗利が堅調1. 2025年9月期通期の業績概要2025年9月期通期は、売上高が前期比23.2%増の9,791百万円、営業利益が同36.0%増の1,043百万円、経常利益が同31.3%増の827百万円、当期純利益が同47.0%増の559百万円で大幅な増収増益となった。売上高に関しては、ストック型・フロー型ともに順調に推移した。ストック型売上高は、同10.8%増の6,118百万円となった。既存運営物件は、一部で賃料の適正化・値上げも行っているなかで、2025年9月の稼働率で98.1%と安定した稼働を維持した。下期には「NEUK shirokanetakanawa(港区)」「ANYZ(港区)」が開業し事業規模が拡大した。運営中物件は65件(前期末は62件)、運営面積は104,253m2(同98,923m2)といずれも前期を上回る。フロー型売上高は、同51.3%増の3,673百万円と伸長した。これは、上期に売却が完了した2件によるものであり、これらフロー関連の物件は引渡・売却後もML・PM契約を締結しストック型売上につなげている。売上総利益率は同0.8ポイント増の17.1%となった。売上総利益は同29.8%増の1,677百万円と伸長した。内訳としては、共通経費配賦前のストック粗利で2,040百万円、フロー粗利で636百万円である。同社では固定費(1,464百万円)をストック粗利でカバーすることで、余裕を持った経営ができている。販管費は、管理部門の人件費や本社家賃等であり、人件費の増加を主因として同20.6%増の633百万円となった。結果として、営業利益は同36.0%増の1,043百万円となり、通期計画1,000百万円を上回った。2. 財務状況と経営指標2025年9月期末の資産合計は前期末比5,370百万円増の21,264百万円と資産規模が拡大した。流動資産は同1,054百万円減の4,472百万円であり、販売用不動産が926百万円減少したことが主な要因である。固定資産は同6,424百万円増の16,792百万円であり、これは主に「(仮称)中目黒1丁目再生PJ」、「OMB北参道」、「OMB東麻布」、「(仮称)港区芝5丁目再生PJ」及び「(仮称)千駄ヶ谷1丁目再生PJ」の取得等による土地・建物(有形固定資産)が増加したことによる。負債合計は同4,730百万円増の17,913百万円となった。そのうち流動負債は同1,936百万円減の3,901百万円あり、これは主に、借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が2,480百万円減少したこと等による。固定負債は同6,666百万円増の14,011百万円であり、これは主に、不動産取得のための新規借入により長期借入金が6,711百万円増加したこと等による。純資産合計は同639百万円増の3,351百万円であり、これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が559百万円増加したこと等による。安全性に関する経営指標では、2026年9月期以降に向けた物件の取得を反映して、流動比率114.6%、固定長期適合率95.6%、自己資本比率は15.5%(前期末16.9%)とややレバレッジを強く効かせた数値ではあるが、適正にコントロールされた水準である。上場を契機に物件を取得するビジネスモデルに移行したが、健全な財務基盤を維持できていると言えるだろう。なお、自己資本比率に関しては2026年9月期第1四半期の物件売却で回復見込みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<HN>
2025/12/02 12:04
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(1)
*12:03JST リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(1)
■リアルゲイト<5532>の事業概要1. 市場の動向:業界平均を上回る高稼働率東京都心のオフィスの稼働率は、コロナ禍でやや低下した時期はあったものの2022年以降は回復基調にある。同社が物件を展開する渋谷区及び港区の大型オフィス(100坪以上)の調査では、渋谷区平均で94.4%(2022年3月)から97.9%(2025年9月)に、港区平均で91.7%(2022年3月)から96.9%(2025年9月)になり、緩やかな上昇基調にある。同社の既存物件稼働率は、渋谷区、港区の市場稼働率との比較において継続的に高い水準にある。稼働率の差異要因としては、大規模オフィス(100坪以上)と同社が注力する小規模オフィス(6坪~15坪)の需要の差もあるが、同社が技術力や企画力・運営力を駆使して、特化したエリアのニーズを満たしてきたことの証左と言える。同社は高稼働率を維持しつつも、賃料の適正化に取り組んできた。その成果として、2025年9月の平均賃料は前年同期比で1坪当たり540円(2.1%)上昇した。2. 物件の特徴:築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生同社は、FWP事業の単一セグメントを展開している。定義としては、主に競争力を失った築古ビルに対して耐震補強や用途変更等の抜本的な改良を行い、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルなワークプレイスを提供することで不動産に付加価値を付け、収益性を向上させる事業である。シェアオフィス業界は多くの企業が参入している業界ではあるが、同社では様々な側面で優位性を構築しており、ユニークなポジションを確立している。仕入れ対象は、都心部(特に渋谷区・港区・目黒区)に立地する築30年前後で延床面積300~600坪程度のコンパクトなビルである。築古ビルは、エレベーターがない、検査済証がない、耐震補強が必要、など様々な課題があるものの、価格競争力のある仕入れが可能となる。再生にあたっては、需要の多い20m2~50m2を中心とした個室(スモールオフィス)が中心となる。全物件の区画契約1,028件のうち83%は事務所契約であり、その他に店舗・住居などとして賃貸されている(数値は2025年10月1日時点)。不動産再生を行う同業他社においては、なるべく時間をかけずに軽微な修繕を行ったうえで稼働率を上げ、転売するといったビジネスモデルがよく見受けられる。一方、同社の不動産再生は、1~2年かけて抜本的なリノベーションを行う点に特徴がある。過去の事例では、ホテルや共同住宅、倉庫や地下駐車場などをFWPに変更した実績がある。ビルごとの個性も重視しており、敢えてシリーズ化をしていない。一例を挙げると、中目黒駅徒歩13分の築45年、エレベーター無しの5階建ての倉庫兼事務所を、シェアオフィスと店舗等の複合施設にリノベーションした。このプロジェクトでは、エレベーター新設、用途変更、スカイテラス新設など経験豊富な一級建築士を擁する技術力と企画力で抜本的な改良を実施した。結果として、再生前の月額の賃料収入は780万円だったものが再生後は1,930万円と約2.5倍の収入となり、収益性が大幅に向上した。3. 社会課題・顧客ニーズ:競争力を失った遊休資産の有効活用同社の顧客は、ビルオーナーとテナント企業である。同社の事業の対象となるビルオーナーは、競争力を失った築古ビルを所有しており、空室の増加や有効活用に課題をかかえている。一昔前であれば、築古ビルを解体し、新築開発することで採算が見込めたが、近年の建築費の高騰により、新築開発投資に躊躇するビルオーナーも増加してきた。同社の2023年5月時点での試算(典型例:渋谷区延床面積400坪の物件を想定、物件価格20億円)では、新築開発の建築費は5.6億円、竣工までの工期は22ヶ月であった。この数値も、建築費の高騰や、建設業の4週8休といった働き方改革などの影響で工期が伸びることになったため、建築費は10億円、竣工までの工期は26ヶ月に延びる傾向にある(2024年9月時点)。一方で、同社の手掛ける不動産再生では、建築費は1.8億円、竣工までの工期は7ヶ月に抑制されるため、投資が5分の1以下、工期も3分の1以下で済む。築古再生物件であってもテナントニーズを的確に捉えていれば、新築開発物件と遜色ない入居テナントへの賃料設定が可能であることは、同社の実績が示すところである。また、竣工が早い分だけ先行して賃料を収受できるのもオーナーのメリットになる。不動産業界では、近年の建築費高騰により、新築開発を断念するケースが増加している。そのため、既存のビルを抜本的なリノベーションにより蘇らせて収益性を高めるといった、不動産再生ソリューション需要が急増した。さらには、昨今の環境配慮への意識の高まりから、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存のビルを可能な限り長く使おうという動きも存在する。このような背景から、同社にとって市場環境は追い風であると言える。テナント企業では、コロナ禍で進んだ働き方改革を背景に、自宅やシェアオフィス、カフェやリゾートなどワークプレイスは分散化の傾向にある。そのなかで、同社では、個性的でフレキシブルなオフィスを適正価格で借りたいというニーズに着目し、そのニーズを的確に満たすオフィスを企画・開発してきた。入居テナント業種では、情報サービス業が24.8%、広告業が11.4%、経営コンサルタント業・士業事務所が11.0%、デザイン業・映像・音楽・文字情報サービス業が6.5%と上位にきており、情報感度の高い企業がメインの顧客層であると言える(数値は2025年10月1日時点)。4. 対象エリア:渋谷区・港区・目黒区エリアを中心とした都心部にドミナント展開同社のドミナント展開は、渋谷区、港区、目黒区に集中している。獲得済みプロジェクト75件中、渋谷区が33件(44%)、港区が17件(23%)、目黒区が15件(20%)であり、上記3区で87%を占める。さらに、エリア別では池尻大橋駅から中目黒駅までのエリア、原宿から千駄ヶ谷周辺のエリアなどに集中している。また、賃料相場の見極めが容易な点もドミナント展開の利点である。近隣の既存プロジェクトのリーシングや運営の実績は大きな参考になる。ドミナント展開においては、収益性の高い物件獲得を目指し、確実にマーケットを捉えたエリアを中心に展開を強化している。渋谷駅に近い中心部では、100年に一度といわれる再開発が行われ大規模オフィスビルの建築が進行しており、中心部のオフィス(シェアオフィスも含む)の賃料は高止まりしている。一方で、同社の手掛ける再生ビルは、池尻大橋や千駄ヶ谷など中心部からは少し距離がある立地であり、中価格帯であることから差別化が図れている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<HN>
2025/12/02 12:03
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