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AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益

配信日時:2025/12/02 12:31 配信元:FISCO
*12:31JST AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益 ■要約

AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業務を手掛けている。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業はラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業、3PL事業はEC常温3PL事業と低温食品3PL事業及び医薬・医療3PL事業のドメインに分かれている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有しており(2026年3月期中間期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。会社設立以来M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは直近で2024年に(株)ルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。顧客は、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、アマゾンジャパン(同)、ヤマト運輸(株)など、大口顧客の基盤を有する。

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面では、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益を見込んでいる。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込み。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。

3. 中長期の取り組み
同社は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。目標達成に向けて、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げ、推進している。

■Key Points
・2026年3月期中間期は計画を上回る着地、主力のEC常温3PL事業がけん引
・2026年3月期は新設センターの稼働寄与などで増収増益の見通し
・中期経営計画において、環境変化に強い高収益企業づくりの実現を掲げ推進中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)

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