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セレコーポレーション Research Memo(7):賃貸開発と賃貸経営の高付加価値戦略で収益力を強化
配信日時:2025/12/02 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST セレコーポレーション Research Memo(7):賃貸開発と賃貸経営の高付加価値戦略で収益力を強化
■セレコーポレーション<5078>の今後の見通し
(2) 賃貸開発事業
売上高は6,731百万円(前期比44.4%増)、セグメント利益は995百万円(同40.8%増)、物件の販売・引き渡しが下期に集中する見通しであり、通期では計画達成を見込む。2026年2月期中間期のセグメント利益率は16.3%と前年同期比で上昇しており、高付加価値戦略の成果が顕著である。賃貸開発事業では、用地選定基準の厳格な遵守と取引先との連携強化という二軸の方針を採っている。特に「駅徒歩6分以内」「角地」「城南・城西エリア」「200m2以上」といった厳選された基準に基づく用地選定がなされており、2026年2月期は供給7物件のすべてが駅徒歩6分以内の角地であり、角地割合は2025年2月期の100%を継続している。これにより、セグメント利益率は2025年2月期の15.2%から2026年2月期中間期は16.3%へと上昇しており、高収益性を維持しつつ供給数を拡大する戦略が奏功している。また、仕入先との連携では情報入手からの回答スピード向上や組成基準の浸透が進み、販売業者とは完成現場の見学会を通じて商品の理解を深めることで、販売体制の一体運営が実現されつつある。
(3) 賃貸経営事業
売上高は10,418百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益は1,113百万円(同2.0%減)を見込んでいる。2026年2月期中間期では計画を上回るセグメント利益を計上しており、通期も順調な進捗が見込まれる。自社管理受託率の向上を目的に、賃貸住宅事業・賃貸開発事業との同行営業を強化し、オーナーとの関係深化を図っている。セレリーシングパートナーズとの協業では、AI査定を活用した賃料改定や市場データに基づくリーシングを推進している。さらに、セレメンテナンスパートナーズとの協業強化により、修繕対応のスピード向上と適正利益率の確保を目指している。長期延長保証の受注実績は前年同期比179.0%、売上総利益は同201.4%と大幅増を記録し、オーナー資産の長寿化に貢献している。太陽光発電+蓄電池設置工事実績は計画を若干下回ったが、オーナー収益の改善に着実に寄与している。下期にはリノベーション事業への本格参入を予定しており、専有部・共用部双方の価値向上を狙う。同社の賃貸経営事業が高収益体質をさらに強化し、資産管理から再生までを包括する統合モデルへ進化しつつあると弊社では見ている。カンパニー別の重点施策については以下のとおりである。
a) プロパティコミュニティカンパニー
プロパティコミュニティカンパニーにおいては、建築受注と管理受託の一体的な提案によって、顧客との初期接点から管理への導線を確保しており、受託件数の着実な積み上げを実現している。また、リテナント(再入居)時における賃料アップ相当額をオーナーに還元することで、顧客ロイヤルティを高めると同時に、リピート受注を促進する仕組みを確立している点は、同社のオーナー中心主義を象徴する施策である。
リーシング面では、「セレ リーシングパートナーズ」との協業が強化されており、物件の特性を的確に把握したうえでの定期的な研修体制を構築している。また、AI査定システムの活用により、タイムリーかつ適正な賃料設定が可能となり、市場動向を反映した差別化が実現されている。一方、修繕分野では、「セレ メンテナンスパートナーズ」との協業強化によって、業務フローと業者体制の見直しが進められ、対応スピードの向上に寄与している。原価高騰への対応としては、販売単価や仕入れルートの最適化によって、収益性の確保も並行して進められている点が特徴である。
b) リフォームカンパニー
リフォームカンパニーにおいては、オーナー資産の長寿化を軸とした取り組みが拡大されている。特に20年目再延長保証工事の実施や、10年目延長保証工事の受注率向上といった施策は、管理資産のライフサイクル全体を見据えたものであり、オーナーにとっての資産保全メリットが明確である。
さらに、原価削減策として、一括発注から分離施工発注への切り替えによる施工単価の低減を促進するため、施工体制の見直しを進めている。また、太陽光発電+蓄電池の設置提案も開始されており、余剰売電期間が終了した物件や住居併用建物に対して自己使用による光熱費削減の訴求が進んでいる。
リノベーション事業では、構造体や築年数に応じた最適なメニュー化が図られており、施工体制の強化と併せて、今後の受注増加が期待される。これら一連の取り組みは、単なる原状回復にとどまらず、資産価値向上と収益力強化を目指した高付加価値型のリフォーム戦略として評価できる。
■成長戦略
長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定。中長期的な企業価値の向上を目指す
1. 「ビジョン2030」の策定
同社では、2025年2月期を始期として長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定し、2030年に向けて「ありたい姿」を定め、今後のさらなる持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上の達成に向けた方針や戦略を明確にした。同計画は、次世代の経営者へのバトンタッチを視野に入れ、さらに長期の経営ビジョンである「CEL未来戦略」の実現に向けた通過点の位置付けである。「ありたい姿」を「企業価値の極大化と物心両面の『しあわせ』の実現」としており、アパート専門メーカーのニッチトップとして高付加価値追求による粗利益率の向上を推進する。また、同社では、企業価値の向上において人的資本は経営の根幹であると捉えている。計画においても「ありたい姿」をいかに実現するかという観点から人財戦略を策定・実行し、持続的な企業価値向上を目指す。
定量目標に関しては、2030年2月期に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%、ROE10.0%、PBR1.0倍を掲げている。収益構造については、ストック事業の比率を2023年2月期と同様に40.0%で維持し、全社コストをストック事業の利益で賄う方針だ。数字ありきではなく、理念・戦略ありきの計画であり、計数目標の達成と社員の物心両面の「しあわせ」の実現を両輪で推進することで、中長期的な企業価値の向上やステークホルダーのより深い満足につながると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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(2) 賃貸開発事業
売上高は6,731百万円(前期比44.4%増)、セグメント利益は995百万円(同40.8%増)、物件の販売・引き渡しが下期に集中する見通しであり、通期では計画達成を見込む。2026年2月期中間期のセグメント利益率は16.3%と前年同期比で上昇しており、高付加価値戦略の成果が顕著である。賃貸開発事業では、用地選定基準の厳格な遵守と取引先との連携強化という二軸の方針を採っている。特に「駅徒歩6分以内」「角地」「城南・城西エリア」「200m2以上」といった厳選された基準に基づく用地選定がなされており、2026年2月期は供給7物件のすべてが駅徒歩6分以内の角地であり、角地割合は2025年2月期の100%を継続している。これにより、セグメント利益率は2025年2月期の15.2%から2026年2月期中間期は16.3%へと上昇しており、高収益性を維持しつつ供給数を拡大する戦略が奏功している。また、仕入先との連携では情報入手からの回答スピード向上や組成基準の浸透が進み、販売業者とは完成現場の見学会を通じて商品の理解を深めることで、販売体制の一体運営が実現されつつある。
(3) 賃貸経営事業
売上高は10,418百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益は1,113百万円(同2.0%減)を見込んでいる。2026年2月期中間期では計画を上回るセグメント利益を計上しており、通期も順調な進捗が見込まれる。自社管理受託率の向上を目的に、賃貸住宅事業・賃貸開発事業との同行営業を強化し、オーナーとの関係深化を図っている。セレリーシングパートナーズとの協業では、AI査定を活用した賃料改定や市場データに基づくリーシングを推進している。さらに、セレメンテナンスパートナーズとの協業強化により、修繕対応のスピード向上と適正利益率の確保を目指している。長期延長保証の受注実績は前年同期比179.0%、売上総利益は同201.4%と大幅増を記録し、オーナー資産の長寿化に貢献している。太陽光発電+蓄電池設置工事実績は計画を若干下回ったが、オーナー収益の改善に着実に寄与している。下期にはリノベーション事業への本格参入を予定しており、専有部・共用部双方の価値向上を狙う。同社の賃貸経営事業が高収益体質をさらに強化し、資産管理から再生までを包括する統合モデルへ進化しつつあると弊社では見ている。カンパニー別の重点施策については以下のとおりである。
a) プロパティコミュニティカンパニー
プロパティコミュニティカンパニーにおいては、建築受注と管理受託の一体的な提案によって、顧客との初期接点から管理への導線を確保しており、受託件数の着実な積み上げを実現している。また、リテナント(再入居)時における賃料アップ相当額をオーナーに還元することで、顧客ロイヤルティを高めると同時に、リピート受注を促進する仕組みを確立している点は、同社のオーナー中心主義を象徴する施策である。
リーシング面では、「セレ リーシングパートナーズ」との協業が強化されており、物件の特性を的確に把握したうえでの定期的な研修体制を構築している。また、AI査定システムの活用により、タイムリーかつ適正な賃料設定が可能となり、市場動向を反映した差別化が実現されている。一方、修繕分野では、「セレ メンテナンスパートナーズ」との協業強化によって、業務フローと業者体制の見直しが進められ、対応スピードの向上に寄与している。原価高騰への対応としては、販売単価や仕入れルートの最適化によって、収益性の確保も並行して進められている点が特徴である。
b) リフォームカンパニー
リフォームカンパニーにおいては、オーナー資産の長寿化を軸とした取り組みが拡大されている。特に20年目再延長保証工事の実施や、10年目延長保証工事の受注率向上といった施策は、管理資産のライフサイクル全体を見据えたものであり、オーナーにとっての資産保全メリットが明確である。
さらに、原価削減策として、一括発注から分離施工発注への切り替えによる施工単価の低減を促進するため、施工体制の見直しを進めている。また、太陽光発電+蓄電池の設置提案も開始されており、余剰売電期間が終了した物件や住居併用建物に対して自己使用による光熱費削減の訴求が進んでいる。
リノベーション事業では、構造体や築年数に応じた最適なメニュー化が図られており、施工体制の強化と併せて、今後の受注増加が期待される。これら一連の取り組みは、単なる原状回復にとどまらず、資産価値向上と収益力強化を目指した高付加価値型のリフォーム戦略として評価できる。
■成長戦略
長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定。中長期的な企業価値の向上を目指す
1. 「ビジョン2030」の策定
同社では、2025年2月期を始期として長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定し、2030年に向けて「ありたい姿」を定め、今後のさらなる持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上の達成に向けた方針や戦略を明確にした。同計画は、次世代の経営者へのバトンタッチを視野に入れ、さらに長期の経営ビジョンである「CEL未来戦略」の実現に向けた通過点の位置付けである。「ありたい姿」を「企業価値の極大化と物心両面の『しあわせ』の実現」としており、アパート専門メーカーのニッチトップとして高付加価値追求による粗利益率の向上を推進する。また、同社では、企業価値の向上において人的資本は経営の根幹であると捉えている。計画においても「ありたい姿」をいかに実現するかという観点から人財戦略を策定・実行し、持続的な企業価値向上を目指す。
定量目標に関しては、2030年2月期に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%、ROE10.0%、PBR1.0倍を掲げている。収益構造については、ストック事業の比率を2023年2月期と同様に40.0%で維持し、全社コストをストック事業の利益で賄う方針だ。数字ありきではなく、理念・戦略ありきの計画であり、計数目標の達成と社員の物心両面の「しあわせ」の実現を両輪で推進することで、中長期的な企業価値の向上やステークホルダーのより深い満足につながると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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