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セレコーポレーション Research Memo(5):通期予想は据え置き、下期での挽回を見込む
配信日時:2025/12/02 11:05
配信元:FISCO
*11:05JST セレコーポレーション Research Memo(5):通期予想は据え置き、下期での挽回を見込む
■セレコーポレーション<5078>の業績動向
1. 2026年2月期中間期の業績概要
2026年2月期中間期の連結業績は、売上高10,799百万円(前年同期比6.8%減)、営業利益1,047百万円(同5.6%減)、経常利益1,050百万円(同7.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益685百万円(同12.9%減)となった。
賃貸開発事業における物件の販売及び引き渡しがずれ込んだ影響を受け、売上高及び経常利益ともに前年同期比で減収減益となった。一方、賃貸経営事業では売上高・セグメント利益ともに増加しており、ストック型ビジネスの安定性が確認される。また、売上総利益率は2.6ポイント改善しており、収益構造そのものは着実に好転している。売上総利益率向上の背景としては、建築コスト上昇への適切な転嫁や原価管理の徹底などが奏功したことが挙げられる。一方で、人財への戦略的投資を積極的に進めた結果、販売費及び一般管理費は前年同期比で184百万円増加しており、短期的には利益を圧迫したものの、中長期的には生産性向上及び営業力強化に資する布石と評価できる。利益構造の改善を継続するなかで、原価高騰は依然として高水準で推移しており、同社では当面はこの傾向が続くものとして織り込み済みである。上期の売上高・経常利益はいずれも期初予想を下回ったが、通期予想は据え置かれており、下期での挽回を見込む。
主要指標では、建築実績が堅調に推移し、管理戸数は12,000戸を突破後も順調に増加している。入居率は98.3%と高水準を維持しており、同社の安定した収益基盤を裏付ける結果となった。賃貸住宅事業を主軸としつつ、開発・経営の各事業セグメントが有機的に連携しており、収益モデルとしての強靭さがうかがえる。また、ESG対応やDX推進、産学連携による商品開発といった将来に向けた布石も着実に打たれており、短期的な成長だけでなく、中長期の企業価値向上に対する視座も明確である。上期の数値上の落ち込みは一時的なタイミング要因に過ぎず、事業ポートフォリオ全体では堅実な成長トレンドが維持されていると弊社では見ている。
2. セグメント別の業績概要
(1) 賃貸住宅事業
売上高は4,914百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント利益は632百万円(同0.4%減)となった。賃貸住宅事業では、販売商品の戦略的な絞り込みを進めており、旗艦ブランドである「My Style vintage」の提案を中心に推進している。同ブランドは外観や空間設計に独自性を持ち、オーナーと入居者の双方に満足度の高い付加価値を提供できる商品である。家賃設定をやや高めにできる点もオーナーのメリットとなっており、同社にとっても1棟当たりの単価上昇や管理受託件数の増加に結び付いている。これにより、売上高は、販売商品の戦略的絞り込みにより引き渡し棟数が減少した一方で、セグメント利益は、販売価格の見直しによる売上総利益率の改善が奏功し、売上高の減少に比べセグメント利益の落ち込みは僅少である。
主要KPIである建築累計実績が前期末比で38棟増加し、堅調な成長を示した。原価高騰への対応策が功を奏し、利益率が改善した点は特筆に値する。ただし、営業活動先の遷移や着工までのスピード低下の影響により稼働棟数が減少し、売上高は計画比で90.7%と減収となった。一方で、適正な価格転嫁とコスト管理の徹底により、計画比で113.9%の増益を達成しており、利益面では極めて高い成果を上げた。建築費上昇分に対する価格転嫁については、付加価値の高い商品設計に注力し、商品単価の上昇と価格転嫁を進めてきた。現状ではおおむね転嫁が進んでおり、問題なく対応できている。加えて、販売効率の改善やアフターサポート体制の強化が奏功しており、同社が強みとする収益性重視の事業運営が定着していることが読み取れる。
営業活動では、管理受託数の拡大につながる金融機関や士業等の紹介先の開拓に注力した。また、「東京ゼロエミ住宅」仕様の積極的な提案により、一棟単価の向上につなげた。生産活動では、原価高騰への対策として、建設カンパニーにおいて原価抑制や工期短縮・施工品質向上に取り組み、現場管理の効率化を目的とした顔認証システムやWebカメラの運用を開始した。研究開発では、技術開発室を新設し、新構法「セレZ」の構造強化や住宅性能向上に取り組んだほか、産学連携による共同研究を継続した。外部要因である原価高騰に対して効率改善の取り組みが成果を挙げており、リスク管理が適切に行われていると弊社では見ている。2025年3月に発足した千葉工場カンパニーでは、生産性向上と原価抑制を目指し、工場内作業の洗い出しと標準化を推進した。また、標準化による作業効率の改善を図るとともに、幅広い経験を持つ人材の育成やジョブローテーションを継続的に実施している。
(2) 賃貸開発事業
売上高は1,332百万円(前年同期比42.8%減)、セグメント利益は217百万円(同33.9%減)となった。上期に予定していた物件の販売及び引き渡し契約がずれ込んだため、売上高・セグメント利益ともに減収減益となった。この主な要因は、販売活動の遅れによるものであり、上期中に契約から引き渡しまでを完了させる計画であったが、案件ごとにばらつきがあり、一部の引き渡しが後ろ倒しとなった。しかし、2026年2月期の供給物件はすべてが駅近・角地であることから、富裕層から高い評価を得ており、利益率は改善傾向にある。下期に販売予定の物件は計画どおりに完成しており、通期での収益回復が見込まれる。
販売面では、中間期に完成現場見学会を実施するなど商品理解を深める活動を行い、購入検討者及び紹介会社の来場促進を実施し、来場した購入検討者からの新規販売契約獲得や、紹介会社からの新規顧客紹介を取得するなど、取引先との連携強化に取り組んだ。仕入面では、富裕層ニーズにマッチする希少性の高い角地を重視した用地取得を進め、全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を標準採用することで、脱炭素社会への貢献と差別化を実現している。また、条件を満たした物件であれば、「住宅性能表示制度」の耐震等級3(最高)までを実現可能とすることで、資産価値向上やゲストの安全性向上といったオーナー層からのニーズに応える選択肢を増やした。足元の仕入状況についてはおおむね順調に推移しているものの、引き続き市場環境を楽観視できる状況ではないと慎重に見ている。最上位グレード商品「vintage-Gran(グラン)」については、2026年2月期下期中の供給を予定している。
(3) 賃貸経営事業
売上高は5,259百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は675百万円(同16.0%増)となった。賃貸住宅事業や賃貸開発事業と一体となった同行営業を強化し、管理物件の受託営業活動に注力した結果、増収増益を達成した。利益率の向上要因としては、入居者の入れ替え時に実施する賃料増額提案や更新料の増加などが挙げられる。建物長期延長保証の拡充施策によりリフォーム受注が前年同期比で大幅に増加しており、付帯収益が拡大している。営業活動の強化とパートナーズ業者との協業も奏功し、前年同期比で増収増益を実現した点は注目に値する。
賃料増額分相当額のオーナーへの還元提案や、突発的な修繕費用の負担軽減パッケージ商品の提案など、オーナーに寄り添った取り組みを推進した。その結果、2025年8月末時点の管理戸数は12,620戸となり、前期末から145戸増加した。賃料動向の把握にAI査定システムを活用した賃料増額提案や、迅速な退去リフォーム工事の完了促進により、高水準の入居率98.3%(2025年8月末現在)を維持した。AI査定システムの導入により、従来よりも市場実勢に即した賃料設定が可能となり、オーナー・入居者双方にとって納得感のある賃料提案が実現し、賃料増額と高水準の入居率という好循環が生まれている。リフォーム・メンテナンスにおいては、再延長保証制度の活用や、施工原価低減のため分離施工発注への切替え促進に取り組んだ。
賃貸経営事業は引き続き堅調な成長を続けており、管理物件数の着実な増加と高い入居率が事業の安定基盤を形成している。メンテナンス業者との連携体制も強化され、迅速かつ効率的なサービス提供を実現している点が、オーナー及びゲスト双方から高く評価されている。また、リフォームカンパニーの設立により、長期的な資産保全の仕組みが確立されたことも、今後の事業拡大を後押しする要因になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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1. 2026年2月期中間期の業績概要
2026年2月期中間期の連結業績は、売上高10,799百万円(前年同期比6.8%減)、営業利益1,047百万円(同5.6%減)、経常利益1,050百万円(同7.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益685百万円(同12.9%減)となった。
賃貸開発事業における物件の販売及び引き渡しがずれ込んだ影響を受け、売上高及び経常利益ともに前年同期比で減収減益となった。一方、賃貸経営事業では売上高・セグメント利益ともに増加しており、ストック型ビジネスの安定性が確認される。また、売上総利益率は2.6ポイント改善しており、収益構造そのものは着実に好転している。売上総利益率向上の背景としては、建築コスト上昇への適切な転嫁や原価管理の徹底などが奏功したことが挙げられる。一方で、人財への戦略的投資を積極的に進めた結果、販売費及び一般管理費は前年同期比で184百万円増加しており、短期的には利益を圧迫したものの、中長期的には生産性向上及び営業力強化に資する布石と評価できる。利益構造の改善を継続するなかで、原価高騰は依然として高水準で推移しており、同社では当面はこの傾向が続くものとして織り込み済みである。上期の売上高・経常利益はいずれも期初予想を下回ったが、通期予想は据え置かれており、下期での挽回を見込む。
主要指標では、建築実績が堅調に推移し、管理戸数は12,000戸を突破後も順調に増加している。入居率は98.3%と高水準を維持しており、同社の安定した収益基盤を裏付ける結果となった。賃貸住宅事業を主軸としつつ、開発・経営の各事業セグメントが有機的に連携しており、収益モデルとしての強靭さがうかがえる。また、ESG対応やDX推進、産学連携による商品開発といった将来に向けた布石も着実に打たれており、短期的な成長だけでなく、中長期の企業価値向上に対する視座も明確である。上期の数値上の落ち込みは一時的なタイミング要因に過ぎず、事業ポートフォリオ全体では堅実な成長トレンドが維持されていると弊社では見ている。
2. セグメント別の業績概要
(1) 賃貸住宅事業
売上高は4,914百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント利益は632百万円(同0.4%減)となった。賃貸住宅事業では、販売商品の戦略的な絞り込みを進めており、旗艦ブランドである「My Style vintage」の提案を中心に推進している。同ブランドは外観や空間設計に独自性を持ち、オーナーと入居者の双方に満足度の高い付加価値を提供できる商品である。家賃設定をやや高めにできる点もオーナーのメリットとなっており、同社にとっても1棟当たりの単価上昇や管理受託件数の増加に結び付いている。これにより、売上高は、販売商品の戦略的絞り込みにより引き渡し棟数が減少した一方で、セグメント利益は、販売価格の見直しによる売上総利益率の改善が奏功し、売上高の減少に比べセグメント利益の落ち込みは僅少である。
主要KPIである建築累計実績が前期末比で38棟増加し、堅調な成長を示した。原価高騰への対応策が功を奏し、利益率が改善した点は特筆に値する。ただし、営業活動先の遷移や着工までのスピード低下の影響により稼働棟数が減少し、売上高は計画比で90.7%と減収となった。一方で、適正な価格転嫁とコスト管理の徹底により、計画比で113.9%の増益を達成しており、利益面では極めて高い成果を上げた。建築費上昇分に対する価格転嫁については、付加価値の高い商品設計に注力し、商品単価の上昇と価格転嫁を進めてきた。現状ではおおむね転嫁が進んでおり、問題なく対応できている。加えて、販売効率の改善やアフターサポート体制の強化が奏功しており、同社が強みとする収益性重視の事業運営が定着していることが読み取れる。
営業活動では、管理受託数の拡大につながる金融機関や士業等の紹介先の開拓に注力した。また、「東京ゼロエミ住宅」仕様の積極的な提案により、一棟単価の向上につなげた。生産活動では、原価高騰への対策として、建設カンパニーにおいて原価抑制や工期短縮・施工品質向上に取り組み、現場管理の効率化を目的とした顔認証システムやWebカメラの運用を開始した。研究開発では、技術開発室を新設し、新構法「セレZ」の構造強化や住宅性能向上に取り組んだほか、産学連携による共同研究を継続した。外部要因である原価高騰に対して効率改善の取り組みが成果を挙げており、リスク管理が適切に行われていると弊社では見ている。2025年3月に発足した千葉工場カンパニーでは、生産性向上と原価抑制を目指し、工場内作業の洗い出しと標準化を推進した。また、標準化による作業効率の改善を図るとともに、幅広い経験を持つ人材の育成やジョブローテーションを継続的に実施している。
(2) 賃貸開発事業
売上高は1,332百万円(前年同期比42.8%減)、セグメント利益は217百万円(同33.9%減)となった。上期に予定していた物件の販売及び引き渡し契約がずれ込んだため、売上高・セグメント利益ともに減収減益となった。この主な要因は、販売活動の遅れによるものであり、上期中に契約から引き渡しまでを完了させる計画であったが、案件ごとにばらつきがあり、一部の引き渡しが後ろ倒しとなった。しかし、2026年2月期の供給物件はすべてが駅近・角地であることから、富裕層から高い評価を得ており、利益率は改善傾向にある。下期に販売予定の物件は計画どおりに完成しており、通期での収益回復が見込まれる。
販売面では、中間期に完成現場見学会を実施するなど商品理解を深める活動を行い、購入検討者及び紹介会社の来場促進を実施し、来場した購入検討者からの新規販売契約獲得や、紹介会社からの新規顧客紹介を取得するなど、取引先との連携強化に取り組んだ。仕入面では、富裕層ニーズにマッチする希少性の高い角地を重視した用地取得を進め、全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を標準採用することで、脱炭素社会への貢献と差別化を実現している。また、条件を満たした物件であれば、「住宅性能表示制度」の耐震等級3(最高)までを実現可能とすることで、資産価値向上やゲストの安全性向上といったオーナー層からのニーズに応える選択肢を増やした。足元の仕入状況についてはおおむね順調に推移しているものの、引き続き市場環境を楽観視できる状況ではないと慎重に見ている。最上位グレード商品「vintage-Gran(グラン)」については、2026年2月期下期中の供給を予定している。
(3) 賃貸経営事業
売上高は5,259百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は675百万円(同16.0%増)となった。賃貸住宅事業や賃貸開発事業と一体となった同行営業を強化し、管理物件の受託営業活動に注力した結果、増収増益を達成した。利益率の向上要因としては、入居者の入れ替え時に実施する賃料増額提案や更新料の増加などが挙げられる。建物長期延長保証の拡充施策によりリフォーム受注が前年同期比で大幅に増加しており、付帯収益が拡大している。営業活動の強化とパートナーズ業者との協業も奏功し、前年同期比で増収増益を実現した点は注目に値する。
賃料増額分相当額のオーナーへの還元提案や、突発的な修繕費用の負担軽減パッケージ商品の提案など、オーナーに寄り添った取り組みを推進した。その結果、2025年8月末時点の管理戸数は12,620戸となり、前期末から145戸増加した。賃料動向の把握にAI査定システムを活用した賃料増額提案や、迅速な退去リフォーム工事の完了促進により、高水準の入居率98.3%(2025年8月末現在)を維持した。AI査定システムの導入により、従来よりも市場実勢に即した賃料設定が可能となり、オーナー・入居者双方にとって納得感のある賃料提案が実現し、賃料増額と高水準の入居率という好循環が生まれている。リフォーム・メンテナンスにおいては、再延長保証制度の活用や、施工原価低減のため分離施工発注への切替え促進に取り組んだ。
賃貸経営事業は引き続き堅調な成長を続けており、管理物件数の着実な増加と高い入居率が事業の安定基盤を形成している。メンテナンス業者との連携体制も強化され、迅速かつ効率的なサービス提供を実現している点が、オーナー及びゲスト双方から高く評価されている。また、リフォームカンパニーの設立により、長期的な資産保全の仕組みが確立されたことも、今後の事業拡大を後押しする要因になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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