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IDOM Research Memo(5):日本の中古車市場の展望
配信日時:2025/11/14 15:38
配信元:FISCO
*15:38JST IDOM Research Memo(5):日本の中古車市場の展望
・欧米各国と比較して成長余地の大きい日本の中古車市場
日本の中古車小売市場は約260.1万台と推計されており(2023年)*1、同期間の新車販売台数477.9万台*2との比較において35%が中古車であった。
中古車市場が6割以上を占める欧米市場と比較して、日本の中古車市場は成長余地があることが指摘されることが多いが、フィスコでも同様の見解を持っている。ただし、その条件としてはAA(オートオークション)制度の効果的な活用や同社のような大手中古車販売業社の企業努力による中古車品質の信頼性をこれまで以上に高めることと考えられる。
日本の中古車市場では旧ビッグモーター事件(後述)、それに端を発した中古車ディーラー、メーカー系ディーラーへの金融庁の検査など、消費者からすると広い意味での信頼性に疑問を持たざるを得ない事象が続いており、販売店としては如何に顧客からの信頼感を維持、強化していくかが重要な事業戦略になっていると考えられる。この観点からは、現在同社が実践している大型店舗の増設と補修整備も含めたサービス強化は、非常に有効な施作と考えられ、当面はシェアアップが期待できる状況にあると考える。
・多数業者がひしめく中古車流通 同社シェアの拡大余地大
日本の中古車流通経路は正確な統計は存在しないが、現在は概ね半分がメーカー系ディーラー、2割程度が同社を含む大手中古車ディーラー3社(同社、ネクステージ、ウィーカーズ(元ビッグモーター))、残り3割程度が小規模の整備工場、板金工場、販売専門店と言われている。元々中古車市場は同社のような大手中古車ディーラーが業績を拡大させる前は、メーカー系ディーラーは新車を売るために下取りした中古車の一部を中古車併売のディーラー店で扱っていたに過ぎず、主に小規模の整備工場、板金工場、販売店によって形成されていた。
AAや同社の創業事業でもある中古車買取事業が立ち上がり始めたのが1980〜1990年であり、その前の日本における中古車は事故車や整備状況の悪いものを購入してしまうリスクを持つ難しい商品という認識が多かった。そのため、安心を買うために新車を購入する層が多かったと思われる。また、中古車を購入する場合には友達や知り合いに中古車を扱う小規模の整備工場、販売店を紹介してもらうことで、信頼感を担保する購買行動が一般的に取られていた。この名残が今でも知り合いなどの信頼できる小規模の整備工場、販売店から中古車を購入する層が少なくない一つの理由と考えられる。
しかし、AAの拡大定着、中古車買取店の拡大などから、市場に流通する中古車が「プロの第三者」を介在したものが多くなってきたため、これらの流通経路を経たものであれば消費者が粗悪な中古車を買ってしまうリスクは減少した。更に近年ではメーカー系ディーラーも買取を強化し認定中古車の販売に注力しており、日本における中古車の信頼感を更に引き上げることに繋がっていると言える。
・中古車の購入動向における中古車販売店のブランド力
中古車は事故車や整備状況の悪いものを購入してしまうリスクがあり、安心を買うために新車を購入する層が多かったと思われるが、AAの拡大定着、中古車買取店の拡大などから、市場に流通する中古車が「プロの第三者」を介在したものが多くなってきたため、これらの流通経路を経たものであれば消費者が粗悪な中古車を買ってしまうリスクは減少した。更に近年ではメーカー系ディーラーも買取を強化し認定中古車の販売に注力しており、日本における中古車の信頼感を更に引き上げることに繋がっていると言える。つまり、中古車の購入行動においては、自動車のブランドとともに、販売店のブランドが極めて重要だと言える。販売店のブランドとは、顧客の信頼感と安心感を約束するものであり、TVやラジオCMを大々的に活用し認知度を上げる事だけでは決して成し得ることが出来ない、地道で継続的な企業努力が必要なものと言えよう。
日本の中古車市場が欧米並みに大きくなるか?という点については、長期的に中古車シェアの上昇は可能と考えられる一方で、欧米並みにまで上昇するためには中古車流通における大きな変化が必要と思われる。最大の理由は日本における自動車流通を支配しているのは圧倒的な店舗数を持つ大手系ディーラーであり、彼らには新車を売る方が利幅は大きいという強いインセンティブが働くためである。北米市場では大手メーカー系ではない大手独立系ディーラーが幾つも存在し、メーカー系列や新車中古車の垣根を越えて、使用目的やセグメント毎に分けられたディーラーで車選びを出来る環境にあるのとは大きな違いが存在する。元々、日本車の品質、長期信頼性は世界的に認められており、日本での車齢自体は長期的に伸びてきているうえ、長期的な経済停滞による実質個人所得の減少などの経済的な理由も比較的経済的な運用が可能な中古車へのシフトが起きるべき環境にあると思われる。
<HM>
日本の中古車小売市場は約260.1万台と推計されており(2023年)*1、同期間の新車販売台数477.9万台*2との比較において35%が中古車であった。
中古車市場が6割以上を占める欧米市場と比較して、日本の中古車市場は成長余地があることが指摘されることが多いが、フィスコでも同様の見解を持っている。ただし、その条件としてはAA(オートオークション)制度の効果的な活用や同社のような大手中古車販売業社の企業努力による中古車品質の信頼性をこれまで以上に高めることと考えられる。
日本の中古車市場では旧ビッグモーター事件(後述)、それに端を発した中古車ディーラー、メーカー系ディーラーへの金融庁の検査など、消費者からすると広い意味での信頼性に疑問を持たざるを得ない事象が続いており、販売店としては如何に顧客からの信頼感を維持、強化していくかが重要な事業戦略になっていると考えられる。この観点からは、現在同社が実践している大型店舗の増設と補修整備も含めたサービス強化は、非常に有効な施作と考えられ、当面はシェアアップが期待できる状況にあると考える。
・多数業者がひしめく中古車流通 同社シェアの拡大余地大
日本の中古車流通経路は正確な統計は存在しないが、現在は概ね半分がメーカー系ディーラー、2割程度が同社を含む大手中古車ディーラー3社(同社、ネクステージ、ウィーカーズ(元ビッグモーター))、残り3割程度が小規模の整備工場、板金工場、販売専門店と言われている。元々中古車市場は同社のような大手中古車ディーラーが業績を拡大させる前は、メーカー系ディーラーは新車を売るために下取りした中古車の一部を中古車併売のディーラー店で扱っていたに過ぎず、主に小規模の整備工場、板金工場、販売店によって形成されていた。
AAや同社の創業事業でもある中古車買取事業が立ち上がり始めたのが1980〜1990年であり、その前の日本における中古車は事故車や整備状況の悪いものを購入してしまうリスクを持つ難しい商品という認識が多かった。そのため、安心を買うために新車を購入する層が多かったと思われる。また、中古車を購入する場合には友達や知り合いに中古車を扱う小規模の整備工場、販売店を紹介してもらうことで、信頼感を担保する購買行動が一般的に取られていた。この名残が今でも知り合いなどの信頼できる小規模の整備工場、販売店から中古車を購入する層が少なくない一つの理由と考えられる。
しかし、AAの拡大定着、中古車買取店の拡大などから、市場に流通する中古車が「プロの第三者」を介在したものが多くなってきたため、これらの流通経路を経たものであれば消費者が粗悪な中古車を買ってしまうリスクは減少した。更に近年ではメーカー系ディーラーも買取を強化し認定中古車の販売に注力しており、日本における中古車の信頼感を更に引き上げることに繋がっていると言える。
・中古車の購入動向における中古車販売店のブランド力
中古車は事故車や整備状況の悪いものを購入してしまうリスクがあり、安心を買うために新車を購入する層が多かったと思われるが、AAの拡大定着、中古車買取店の拡大などから、市場に流通する中古車が「プロの第三者」を介在したものが多くなってきたため、これらの流通経路を経たものであれば消費者が粗悪な中古車を買ってしまうリスクは減少した。更に近年ではメーカー系ディーラーも買取を強化し認定中古車の販売に注力しており、日本における中古車の信頼感を更に引き上げることに繋がっていると言える。つまり、中古車の購入行動においては、自動車のブランドとともに、販売店のブランドが極めて重要だと言える。販売店のブランドとは、顧客の信頼感と安心感を約束するものであり、TVやラジオCMを大々的に活用し認知度を上げる事だけでは決して成し得ることが出来ない、地道で継続的な企業努力が必要なものと言えよう。
日本の中古車市場が欧米並みに大きくなるか?という点については、長期的に中古車シェアの上昇は可能と考えられる一方で、欧米並みにまで上昇するためには中古車流通における大きな変化が必要と思われる。最大の理由は日本における自動車流通を支配しているのは圧倒的な店舗数を持つ大手系ディーラーであり、彼らには新車を売る方が利幅は大きいという強いインセンティブが働くためである。北米市場では大手メーカー系ではない大手独立系ディーラーが幾つも存在し、メーカー系列や新車中古車の垣根を越えて、使用目的やセグメント毎に分けられたディーラーで車選びを出来る環境にあるのとは大きな違いが存在する。元々、日本車の品質、長期信頼性は世界的に認められており、日本での車齢自体は長期的に伸びてきているうえ、長期的な経済停滞による実質個人所得の減少などの経済的な理由も比較的経済的な運用が可能な中古車へのシフトが起きるべき環境にあると思われる。
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