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ベルシス24 Research Memo(9):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を推進(3)
配信日時:2025/11/12 11:09
配信元:FISCO
*11:09JST ベルシス24 Research Memo(9):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を推進(3)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の中長期の成長戦略
(2) 生成AIの活用:生成AIを活用してヒトによる対応から自動化に転換し利益率を向上
コンタクトセンター業務において、生成AIは脅威との認識もあるが、同社では生成AIの活用こそが次世代コンタクトセンター実現の重要なツールであると位置付けている。次世代コンタクトセンターでは、コンタクトセンターへの問い合わせに対し、生成AIによる自動応答を行い、生成AIが対応できないケースはオペレーターが回答することで人手不足や人件費上昇への対策が可能となる。また、ヒトが対応する従来型コンタクトセンターと比べて生産性が向上し、コンタクトセンターの運営コストが低下するため、同社の利益領域の拡大や利益率の向上にもつながる。
生成AIをコンタクトセンターで活用する際に不可欠なのは、個別企業の個別問い合わせに対応した膨大かつ質の高いデータであるが、同社は年間5億コールから蓄積された膨大なデータからの知見を付加価値として活用できる。ユーザーの生の声を効果的に引き出し・収集・分析する能力は、スキルを有するオペレーターにしかできないプロセスである。曖昧な問い合わせへの対応等、ヒトにしかできないやり取りを通じた原因の特定がコンタクトセンター業務の要である。この原因特定プロセスを生成AIの学習データとして蓄積する。
このようにコンタクトセンターの自動応答化には、膨大なVOCのナレッジ化(ナレッジサービス)が必須であるが、同社は大量の通話データから高鮮度かつ高精度なナレッジベースを構築している。一般的に新たなサービスや製品のリリース時には、生成AIの事前の学習ナレッジは限られる一方で、膨大な問い合わせが発生する。ナレッジサービスは、3万人のオペレーターがAIの学習に必要な通話データ(ナレッジ)を効率的に短期間で蓄積することで、生成AIの早期戦力化を進めるものだ。オペレーターによる対応は生成AIの導入時に大きな比率を占め、AIの学習の進捗に伴って徐々にその比率は低下する。しかし、新サービスや新製品の投入のタイミングでは、前述のプロセスを通じたナレッジの再収集が必要で、早期の収集や生成AIの教育には、多くのオペレーターの高い融通性や臨機応変な対応力が必要となる。
同社では、ヒトがやるべき領域とAIに任せる領域の分界点を見極め、コンタクトセンター業務で適切に使える生成AIの実現を目指し、2023年6月に「生成AI Co-Creation Lab.」を設立した。同社がハブとなり、テクノロジー企業、SIer企業、マーケティング企業といったパートナー企業とともに生成AIを活用したコンタクトセンターを構築するため、Pull型/Push型の双方向アプローチで生成AI活用事例の創出を加速する。また、生成AI導入の際に課題となるナレッジ更新作業を自動化するシステムである「Hybrid Operation Loop」の製品開発をスタートしており、日々の通話データからナレッジベースを自動生成するプロセスを構築することで、従来オペレーターが人力で行っていたナレッジマネジメントの負担軽減と効率化を実現する。2026年2月期中には、このナレッジを自動応答用の生成AIに学習させることで、一部業務において自動応答を実現する次世代コンタクトセンターの構築を目指している。
また、同社は生成AI導入に向けた対応能力を強化するため、2031年2月期までに生成AI関連(技術、人材含む)への投資を300億円以上行うほか、AI技術の導入・運営に特化した専門部署の設置や、AIに特化した専門人材の増員(3年で約100人)を計画している。次世代コンタクトセンターでは、ナレッジマネージャーが自動応答を担う生成AIの教育を担当する(学習に必要な知識を選別する)役割を担うため、オペレーターの一部をナレッジマネージャーに転換するためのリスキリングを徹底して支援していく。
2026年2月期中間期の取り組みとしては、同社ではコア業務である電話問い合わせ業務をオペレーター対応から生成AIによる自動対応への切り替えに注力している。具体的には、「Hybrid Operation Loop」の現場導入に向け、STEP1「ナレッジデータの蓄積」、STEP2「リアルタイムのオペレーター支援」、STEP3「AIによる自動対話応答」に分け、順次開発を進めている。STEP1は既に実現しており、現在はSTEP2に着手している。一方、チャットボット、FAQ、IVRのような人が対応しない受付窓口に対しては、質問に対して的確な回答にたどり着かないことから、不満を持つ人は50%を超えるという調査結果がある。そこで、同社ではSTEP1の「ナレッジデータの蓄積」で、実際の顧客とオペレーターの様々な対話内容をAIがテキスト化しデータベースに蓄積することで、80%を超える正答率の実現を目指している。なお、スカパー・カスタマーリレーションズ、生命保険会社、損害保険会社の3社を先行グループとしてSTEP2の開発・導入を推進しており、今後は金融系クライアントや機器メーカーなど10社への対応を順次予定している。
(3) マーケティング支援:VOCを活用し新たな付加価値を創出
次世代コンタクトセンターでは、収集する膨大な知見とVOCを活用し、新たな付加価値を創出するプロフィットセンターへの進化を計画している。具体的には、生成AIによるVOCの目的に沿った自動収集によって消費者のニーズを把握し、クライアント企業の売上増加につながるマーケティング支援業務領域を開拓する。VOCの自動収集を起点としたデータ分析によって、クライアント企業のマーケティング部門に向けた新サービスの提供を図り、同社の売上収益拡大につなげていく。
マーケティング支援業務の取り組み事例としては、日本最大級の化粧品関連の総合情報サイトである「アットコスメ」を運営するアイスタイル<3660>に、同社の子会社であるシンカーがマーケティング支援サービスを提供している。生成AIを活用し、口コミデータから自動的に顧客のペルソナ(プロフィール)を作成し、膨大な口コミデータを顧客の関心やニーズなどの定量情報に変換することで、課題や競争優位性の比較を可能にしている。
3. 中長期の目標
同社は、2031年2月期の目標として、売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を掲げている。前述の成長戦略を推進することで、売上収益を今後6年間で1.74倍の拡大(年平均成長率9.7%)を目指す。2031年2月期の売上収益内訳は、スマートコンタクトセンター業務2,150億円(うち、従来型コンタクトセンター業務750億円(2025年2月期は1,236億円)、次世代コンタクトセンター業務1,000億円、新たな付加価値の創出400億円)、スマートビジネスサポート業務350億円(同200億円)である。また、取引社数は2,500社(同1,586社)に拡大し、1社当たりの売上収益1億円(同9千万円強)を目指す。既に、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けて様々な取り組みに着手している。次期中期経営計画の正式発表と、取り組みの進展に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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(2) 生成AIの活用:生成AIを活用してヒトによる対応から自動化に転換し利益率を向上
コンタクトセンター業務において、生成AIは脅威との認識もあるが、同社では生成AIの活用こそが次世代コンタクトセンター実現の重要なツールであると位置付けている。次世代コンタクトセンターでは、コンタクトセンターへの問い合わせに対し、生成AIによる自動応答を行い、生成AIが対応できないケースはオペレーターが回答することで人手不足や人件費上昇への対策が可能となる。また、ヒトが対応する従来型コンタクトセンターと比べて生産性が向上し、コンタクトセンターの運営コストが低下するため、同社の利益領域の拡大や利益率の向上にもつながる。
生成AIをコンタクトセンターで活用する際に不可欠なのは、個別企業の個別問い合わせに対応した膨大かつ質の高いデータであるが、同社は年間5億コールから蓄積された膨大なデータからの知見を付加価値として活用できる。ユーザーの生の声を効果的に引き出し・収集・分析する能力は、スキルを有するオペレーターにしかできないプロセスである。曖昧な問い合わせへの対応等、ヒトにしかできないやり取りを通じた原因の特定がコンタクトセンター業務の要である。この原因特定プロセスを生成AIの学習データとして蓄積する。
このようにコンタクトセンターの自動応答化には、膨大なVOCのナレッジ化(ナレッジサービス)が必須であるが、同社は大量の通話データから高鮮度かつ高精度なナレッジベースを構築している。一般的に新たなサービスや製品のリリース時には、生成AIの事前の学習ナレッジは限られる一方で、膨大な問い合わせが発生する。ナレッジサービスは、3万人のオペレーターがAIの学習に必要な通話データ(ナレッジ)を効率的に短期間で蓄積することで、生成AIの早期戦力化を進めるものだ。オペレーターによる対応は生成AIの導入時に大きな比率を占め、AIの学習の進捗に伴って徐々にその比率は低下する。しかし、新サービスや新製品の投入のタイミングでは、前述のプロセスを通じたナレッジの再収集が必要で、早期の収集や生成AIの教育には、多くのオペレーターの高い融通性や臨機応変な対応力が必要となる。
同社では、ヒトがやるべき領域とAIに任せる領域の分界点を見極め、コンタクトセンター業務で適切に使える生成AIの実現を目指し、2023年6月に「生成AI Co-Creation Lab.」を設立した。同社がハブとなり、テクノロジー企業、SIer企業、マーケティング企業といったパートナー企業とともに生成AIを活用したコンタクトセンターを構築するため、Pull型/Push型の双方向アプローチで生成AI活用事例の創出を加速する。また、生成AI導入の際に課題となるナレッジ更新作業を自動化するシステムである「Hybrid Operation Loop」の製品開発をスタートしており、日々の通話データからナレッジベースを自動生成するプロセスを構築することで、従来オペレーターが人力で行っていたナレッジマネジメントの負担軽減と効率化を実現する。2026年2月期中には、このナレッジを自動応答用の生成AIに学習させることで、一部業務において自動応答を実現する次世代コンタクトセンターの構築を目指している。
また、同社は生成AI導入に向けた対応能力を強化するため、2031年2月期までに生成AI関連(技術、人材含む)への投資を300億円以上行うほか、AI技術の導入・運営に特化した専門部署の設置や、AIに特化した専門人材の増員(3年で約100人)を計画している。次世代コンタクトセンターでは、ナレッジマネージャーが自動応答を担う生成AIの教育を担当する(学習に必要な知識を選別する)役割を担うため、オペレーターの一部をナレッジマネージャーに転換するためのリスキリングを徹底して支援していく。
2026年2月期中間期の取り組みとしては、同社ではコア業務である電話問い合わせ業務をオペレーター対応から生成AIによる自動対応への切り替えに注力している。具体的には、「Hybrid Operation Loop」の現場導入に向け、STEP1「ナレッジデータの蓄積」、STEP2「リアルタイムのオペレーター支援」、STEP3「AIによる自動対話応答」に分け、順次開発を進めている。STEP1は既に実現しており、現在はSTEP2に着手している。一方、チャットボット、FAQ、IVRのような人が対応しない受付窓口に対しては、質問に対して的確な回答にたどり着かないことから、不満を持つ人は50%を超えるという調査結果がある。そこで、同社ではSTEP1の「ナレッジデータの蓄積」で、実際の顧客とオペレーターの様々な対話内容をAIがテキスト化しデータベースに蓄積することで、80%を超える正答率の実現を目指している。なお、スカパー・カスタマーリレーションズ、生命保険会社、損害保険会社の3社を先行グループとしてSTEP2の開発・導入を推進しており、今後は金融系クライアントや機器メーカーなど10社への対応を順次予定している。
(3) マーケティング支援:VOCを活用し新たな付加価値を創出
次世代コンタクトセンターでは、収集する膨大な知見とVOCを活用し、新たな付加価値を創出するプロフィットセンターへの進化を計画している。具体的には、生成AIによるVOCの目的に沿った自動収集によって消費者のニーズを把握し、クライアント企業の売上増加につながるマーケティング支援業務領域を開拓する。VOCの自動収集を起点としたデータ分析によって、クライアント企業のマーケティング部門に向けた新サービスの提供を図り、同社の売上収益拡大につなげていく。
マーケティング支援業務の取り組み事例としては、日本最大級の化粧品関連の総合情報サイトである「アットコスメ」を運営するアイスタイル<3660>に、同社の子会社であるシンカーがマーケティング支援サービスを提供している。生成AIを活用し、口コミデータから自動的に顧客のペルソナ(プロフィール)を作成し、膨大な口コミデータを顧客の関心やニーズなどの定量情報に変換することで、課題や競争優位性の比較を可能にしている。
3. 中長期の目標
同社は、2031年2月期の目標として、売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を掲げている。前述の成長戦略を推進することで、売上収益を今後6年間で1.74倍の拡大(年平均成長率9.7%)を目指す。2031年2月期の売上収益内訳は、スマートコンタクトセンター業務2,150億円(うち、従来型コンタクトセンター業務750億円(2025年2月期は1,236億円)、次世代コンタクトセンター業務1,000億円、新たな付加価値の創出400億円)、スマートビジネスサポート業務350億円(同200億円)である。また、取引社数は2,500社(同1,586社)に拡大し、1社当たりの売上収益1億円(同9千万円強)を目指す。既に、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けて様々な取り組みに着手している。次期中期経営計画の正式発表と、取り組みの進展に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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