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テルモ:世界で高シェアを誇る血管造影用ガイドワイヤーに加えて、成長戦略が進捗し増収増益が加速
配信日時:2025/10/06 15:07
配信元:FISCO
*15:07JST テルモ:世界で高シェアを誇る血管造影用ガイドワイヤーに加えて、成長戦略が進捗し増収増益が加速
テルモ<4543>は、1921年に設立され、現在は東証プライム市場に上場している。企業理念は「医療を通じて社会に貢献する」である。主力事業は心臓血管カンパニー(C&V)、メディカルケアソリューションズカンパニー(TMCS)、血液・細胞テクノロジーカンパニー(TBCT)の3分野で構成され、グローバルに医療機器と関連サービスを展開する。売上高構成比はC&Vが6割、TMCSとTBCTが各2割で、海外売上比率は欧米を中心に約8割に達する。同社の事業環境は、先進国の高齢化と新興国の医療需要拡大を背景に成長余地が大きい。慢性疾患の増加や先端医療の普及により需要は拡大している。
C&Vでは、カテーテルやガイドワイヤー、人工血管、止血関連製品を展開する。血管造影用ガイドワイヤーのグローバルシェアはおよそ60%以上であり、操作性と信頼性の高さで評価されている。手首からアクセスするTRI(Transradial Intervention)にも早期から注力し、患者のQOL向上や病院の経営効率化に貢献してきた。アクセスから治療、止血までの製品を一貫提供できる点は、競合との差別化につながっており、今後は脳領域にも注力する。
TMCSでは、注射器、針、輸液システムなどの基盤製品に加え、医薬品製造受託(CDMO)事業を強化している。医療機器メーカーでありながら医薬品も取り扱ってきた経験を生かし、医薬品開発の初期段階から最適なデバイス設計・薬事承認・充填・商用化まで一貫対応できる点が強みである。国内大手に加え、海外製薬会社とも契約実績があり、ドイツでの工場買収を通じて海外展開を加速する。
TBCTは、赤十字や血液センター向けに製品を供給する。成長ドライバーは血漿採取デバイス「Rika」で、米国CSL Plasmaの約330センターに導入済である。ディスポーザブル製品との組み合わせによる収益モデルで継続収益を見込み、現在は安定稼働に注力している。
2025年3月期は、売上収益1,036,171百万円(前期比12.4%増)、営業利益157,668百万円(同12.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益116,978百万円(同10.0%増)であった。売上はカテーテルを中心とするC&VおよびRikaを中心としたTBCTの堅調な需要により増収となった。利益は売上増に加え、価格政策と費用コントロールにより増益となった。
2026年3月期第1四半期は、売上収益259,965百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益55,885百万円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益41,843百万円(同23.5%増)となった。全カンパニーで需要が堅調に推移し、特にC&VとTBCTのRikaが牽引した。地域別では米州が好調で、売上総利益率の改善と価格政策が営業利益を押し上げた。
2026年3月期通期は、売上収益1,050,000百万円(前期比1.3%増)、営業利益194,000百万円(同23.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益143,000百万円(同22.2%増)を予想している。北米と中国を中心に増収を見込む。利益面では米国関税の影響を約100億円見込むものの、価格転嫁と継続した価格戦略が寄与し増益を見込んでいる。
2022年に開始した5ヶ年の中期経営計画「GS26」では、最終年度の2027年3月期に売上高1兆円超、営業利益率20%を目標としている。売上高目標は既に達成済みであり、現在は利益率の改善に注力している。中長期ビジョンとして「デバイスからソリューションへ」を掲げ、事業構造の高度化を進めている。主要施策として、Rikaを中心とする血漿採取関連事業の拡大、CDMO事業の本格展開、研究開発の重点領域シフト、グローバルでのR&D拠点整備などである。3年目時点で概ね順調に進捗しており、2026年3月期の一時費用を除く調整後営業利益率は20.4%に達する見込みである。
成長戦略の一環として、2025年8月に英国OrganOxの買収を発表した。OrganOxは肝臓移植用臓器の保存デバイスを展開しており、移植臓器不足というグローバル課題に対応する。同社の人工心肺技術や輸液管理、血液成分分離技術を応用できる領域であり、シナジー創出による新たな価値提供が期待される。OrganOxは既に欧米市場で展開しており、高成長・高収益が見込める事業である。買収に伴い有利子負債は増加するが、財務基盤は引き続き堅固である。今後も非連続成長に向けM&Aを推進する方針である。
株主還元については、総還元性向50%を目標として安定増配の継続を基本方針としている。2025年3月期の年間配当金は26円(配当性向32.9%)を実施し、2026年3月期は年間30円(同30.9%)を予定している。前期比4円の増配となる。2025年3月期は300億円の自社株買いを実施し、総還元性向は59%だった。
<HM>
C&Vでは、カテーテルやガイドワイヤー、人工血管、止血関連製品を展開する。血管造影用ガイドワイヤーのグローバルシェアはおよそ60%以上であり、操作性と信頼性の高さで評価されている。手首からアクセスするTRI(Transradial Intervention)にも早期から注力し、患者のQOL向上や病院の経営効率化に貢献してきた。アクセスから治療、止血までの製品を一貫提供できる点は、競合との差別化につながっており、今後は脳領域にも注力する。
TMCSでは、注射器、針、輸液システムなどの基盤製品に加え、医薬品製造受託(CDMO)事業を強化している。医療機器メーカーでありながら医薬品も取り扱ってきた経験を生かし、医薬品開発の初期段階から最適なデバイス設計・薬事承認・充填・商用化まで一貫対応できる点が強みである。国内大手に加え、海外製薬会社とも契約実績があり、ドイツでの工場買収を通じて海外展開を加速する。
TBCTは、赤十字や血液センター向けに製品を供給する。成長ドライバーは血漿採取デバイス「Rika」で、米国CSL Plasmaの約330センターに導入済である。ディスポーザブル製品との組み合わせによる収益モデルで継続収益を見込み、現在は安定稼働に注力している。
2025年3月期は、売上収益1,036,171百万円(前期比12.4%増)、営業利益157,668百万円(同12.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益116,978百万円(同10.0%増)であった。売上はカテーテルを中心とするC&VおよびRikaを中心としたTBCTの堅調な需要により増収となった。利益は売上増に加え、価格政策と費用コントロールにより増益となった。
2026年3月期第1四半期は、売上収益259,965百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益55,885百万円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益41,843百万円(同23.5%増)となった。全カンパニーで需要が堅調に推移し、特にC&VとTBCTのRikaが牽引した。地域別では米州が好調で、売上総利益率の改善と価格政策が営業利益を押し上げた。
2026年3月期通期は、売上収益1,050,000百万円(前期比1.3%増)、営業利益194,000百万円(同23.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益143,000百万円(同22.2%増)を予想している。北米と中国を中心に増収を見込む。利益面では米国関税の影響を約100億円見込むものの、価格転嫁と継続した価格戦略が寄与し増益を見込んでいる。
2022年に開始した5ヶ年の中期経営計画「GS26」では、最終年度の2027年3月期に売上高1兆円超、営業利益率20%を目標としている。売上高目標は既に達成済みであり、現在は利益率の改善に注力している。中長期ビジョンとして「デバイスからソリューションへ」を掲げ、事業構造の高度化を進めている。主要施策として、Rikaを中心とする血漿採取関連事業の拡大、CDMO事業の本格展開、研究開発の重点領域シフト、グローバルでのR&D拠点整備などである。3年目時点で概ね順調に進捗しており、2026年3月期の一時費用を除く調整後営業利益率は20.4%に達する見込みである。
成長戦略の一環として、2025年8月に英国OrganOxの買収を発表した。OrganOxは肝臓移植用臓器の保存デバイスを展開しており、移植臓器不足というグローバル課題に対応する。同社の人工心肺技術や輸液管理、血液成分分離技術を応用できる領域であり、シナジー創出による新たな価値提供が期待される。OrganOxは既に欧米市場で展開しており、高成長・高収益が見込める事業である。買収に伴い有利子負債は増加するが、財務基盤は引き続き堅固である。今後も非連続成長に向けM&Aを推進する方針である。
株主還元については、総還元性向50%を目標として安定増配の継続を基本方針としている。2025年3月期の年間配当金は26円(配当性向32.9%)を実施し、2026年3月期は年間30円(同30.9%)を予定している。前期比4円の増配となる。2025年3月期は300億円の自社株買いを実施し、総還元性向は59%だった。
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