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井関農 Research Memo(1):プロジェクトZが着実に進捗し、2025年12月期は増益転換へ
配信日時:2025/04/15 13:01
配信元:FISCO
*13:01JST 井関農 Research Memo(1):プロジェクトZが着実に進捗し、2025年12月期は増益転換へ
■要約
1. 幅広い商品ラインナップを提供する農業機械専業メーカー
井関農機<6310>は、稲作や畑作に用いられるトラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。ホビー向けからプロ向けまで幅広い商品をラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系※を構築、また農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題に対して、ロボットやICTなどの先端技術を活用した農業機械の投入も進めている。海外の売上高は日本国内の約半分の規模に達し、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人など大規模農家に向け、欧州や北米では景観整備業者やホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品やアフターサービスを提供しているほか、仕入商品やOEM製品の販売なども行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用芝刈機などの景観整備用機械の評価が高い。
※ 機械化一貫体系:育種・育苗~耕うん・畝立て~移植~管理・防除~収穫・調整・運搬といった農業プロセス全体を体系化した機械(群)。安定生産、収穫量増加、品質向上、省人化、時間短縮など生産性向上につながる。
2. 強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
同社の国内シェアは第3位と言われている。また、売上高が市場規模に対して大きいと言えない海外に関して、同社は成長領域と捉えている。こうした農業機械市場における同社の強みは、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携して付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」の3つがあり、それぞれの強みが相互作用することでより大きなシナジーを生んでいる。したがって、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域と言える。
3. プロジェクトZはおおむね順調に進捗
同社は2023年11月、次の100年に向けて「変革」の土台を整えるため、聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」を発足させた。「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3つの短期集中の抜本的構造改革及び経費削減によって強靭な企業体質へ生まれ変わるとともに、欧州を中心とした海外事業と国内では「大型」「先端」「環境」「畑作」といった成長セグメントに経営資源を集中させ成長を加速する計画で、2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上などの実現を目指している。生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減といった施策はここまでおおむね順調に進捗したと言え、さらに、プロジェクトZを通じて資本コストや株価を意識した経営を強化する方針で、低位にあるPBRを引き上げる意向だ。
4. 2025年12月期は増益転換へ
2024年12月期の業績は、売上高が168,425百万円(前期比0.9%減)、営業利益が1,920百万円(同14.8%減)となった。価格改定が進み欧州も好調だったが、国内の需要期の低迷や北米・アジアの不振により微減収・減益となった。なお、プロジェクトZに基づく生産拠点の再編や販売会社の統合が順調に進んだため特別損失が発生し、親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。2025年12月期の業績については、売上高が170,500百万円(同1.2%増)、営業利益が2,600百万円(同35.4%増)と増益転換を見込んでいる。増益要因は、米価水準の高止まりによる農家の購買意欲回復、成長分野への経営資源集中・販売強化、北米やアジアの回復などである。プロジェクトZについては、2025年12月期下期から利益への貢献が始まり、本格化は2026年12月期の見込みである。
■Key Points
・農業機械の総合専業メーカー。幅広いラインナップに特徴
・強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
・前期は生産拠点の再編や販売会社の統合などプロジェクトZが順調に進捗
・2025年12月期は米価水準の高止まりやアジアの回復などにより2ケタ増益予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 幅広い商品ラインナップを提供する農業機械専業メーカー
井関農機<6310>は、稲作や畑作に用いられるトラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。ホビー向けからプロ向けまで幅広い商品をラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系※を構築、また農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題に対して、ロボットやICTなどの先端技術を活用した農業機械の投入も進めている。海外の売上高は日本国内の約半分の規模に達し、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人など大規模農家に向け、欧州や北米では景観整備業者やホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品やアフターサービスを提供しているほか、仕入商品やOEM製品の販売なども行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用芝刈機などの景観整備用機械の評価が高い。
※ 機械化一貫体系:育種・育苗~耕うん・畝立て~移植~管理・防除~収穫・調整・運搬といった農業プロセス全体を体系化した機械(群)。安定生産、収穫量増加、品質向上、省人化、時間短縮など生産性向上につながる。
2. 強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
同社の国内シェアは第3位と言われている。また、売上高が市場規模に対して大きいと言えない海外に関して、同社は成長領域と捉えている。こうした農業機械市場における同社の強みは、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携して付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」の3つがあり、それぞれの強みが相互作用することでより大きなシナジーを生んでいる。したがって、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域と言える。
3. プロジェクトZはおおむね順調に進捗
同社は2023年11月、次の100年に向けて「変革」の土台を整えるため、聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」を発足させた。「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3つの短期集中の抜本的構造改革及び経費削減によって強靭な企業体質へ生まれ変わるとともに、欧州を中心とした海外事業と国内では「大型」「先端」「環境」「畑作」といった成長セグメントに経営資源を集中させ成長を加速する計画で、2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上などの実現を目指している。生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減といった施策はここまでおおむね順調に進捗したと言え、さらに、プロジェクトZを通じて資本コストや株価を意識した経営を強化する方針で、低位にあるPBRを引き上げる意向だ。
4. 2025年12月期は増益転換へ
2024年12月期の業績は、売上高が168,425百万円(前期比0.9%減)、営業利益が1,920百万円(同14.8%減)となった。価格改定が進み欧州も好調だったが、国内の需要期の低迷や北米・アジアの不振により微減収・減益となった。なお、プロジェクトZに基づく生産拠点の再編や販売会社の統合が順調に進んだため特別損失が発生し、親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。2025年12月期の業績については、売上高が170,500百万円(同1.2%増)、営業利益が2,600百万円(同35.4%増)と増益転換を見込んでいる。増益要因は、米価水準の高止まりによる農家の購買意欲回復、成長分野への経営資源集中・販売強化、北米やアジアの回復などである。プロジェクトZについては、2025年12月期下期から利益への貢献が始まり、本格化は2026年12月期の見込みである。
■Key Points
・農業機械の総合専業メーカー。幅広いラインナップに特徴
・強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
・前期は生産拠点の再編や販売会社の統合などプロジェクトZが順調に進捗
・2025年12月期は米価水準の高止まりやアジアの回復などにより2ケタ増益予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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