注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:需給面はポジティブだが、円高進行再加速への警戒感は残る
配信日時:2025/03/22 13:12
配信元:FISCO
*13:12JST 国内株式市場見通し:需給面はポジティブだが、円高進行再加速への警戒感は残る
■配当・優待権利取りなどの買いが下支えに
今週の日経平均は週間で623.96円高(+1.68%)の37677.06円と上昇。世界的な貿易戦争による米国経済への影響に対する懸念に伴う米国株の下落が一服したことなどから、買戻し優勢の展開となった。注目された日本銀行による金融政策決定会合と、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、それぞれ市場想定通り「現状維持」となった。重要イベントを無事に通過し、過度な警戒感は後退。日経平均は18日に38000円台に乗せた後は、短期的な達成感などが意識されて上値は重くなったが、3月末の配当・優待権利取りを意識した個人投資家の買い観測などが下支えとなった。
また、ウォーレン・バフェット氏の投資会社である米バークシャー・ハサウェイが五大商社株を買い増したことや、植田和男日銀総裁の会合後の記者会見における「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる」との発言を受け金融株が買われたことなども、日経平均がしっかりした原動力となった。時価総額が大きい商社株や金融株などが上昇したことから、相対的にTOPIXが強含む展開となり、NT倍率は2020年4月以来の13.44倍まで低下した。
なお、3月第2週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を7922億円売り越したほか、TOPIX先物を2000億円売り越し、225先物はトントンだったことから、合計5922億円の売り越しとなった。また、個人投資家は現物を1430億円売り越すなど合計で2070億円売り越し。事業法人は現物を932億円買い越した。
■レンジ下限38000円が上値抵抗となる可能性も
21日の米国株式市場は反発。ダウ平均は前日比32.03ドル高の41985.35ドル、ナスダックは同92.42ポイント高の17784.05で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比90円安の37310円で取引を終えた。
日経平均は11日につけた取引時間中の安値35987円をボトムとしたリバウンドで、25日移動平均線(25MA)が位置する37900円水準でもみ合っている。今週は、取引時間中に38000円台に乗せる場面が何度も見られたものの、終値ベースで跳ね返される状況が続いた。27日の配当・優待権利取り最終日にかけて、個人投資家による買いのほか、日経平均やTOPIXの配当落ち分に対する先物買いなども入る公算が大きいことから、来週半ばまでの東京市場の需給は良好と考える。ただ、200日移動平均線(200MA)が位置する38600円手前を意識した展開は今のところ見られない。米国が各国に対する関税を発動する4月2日までは、不透明感が意識されて積極的な買いは手控えられているようだ。いったんは買戻し先行で、昨年9月以降のレンジ下限である38000円を回復したが、次の買い材料が見当たらないことから戻り一服となっている。過去のレンジ下限が上値抵抗ラインとして意識される可能性もあるため、早いタイミングで200MAの回復を確認したいところだ。
■日米金利差縮小に伴う円高に警戒
来週、米国では第4四半期実質GDP、PCEデフレータなどFRBが重要視する経済指標の発表が相次ぐ。トランプ関税に対する市場の動揺はやや落ち着きつつあるが、これらの経済指標が市場予想を下回った場合、米景気悪化懸念が強まろう。先行き不透明感が意識されると、4.25%水準で推移している米10年債利回りが再度低下し、日米金利差縮小に伴うドル安円高が再加速する可能性がある。植田日銀総裁の「政策金利引き上げ」発言で10年債利回りが上昇ピッチを速める可能性もあることから、来週の為替市場は緊張感が続く地合いとなろう。需給面で日本株は下げにくい相場展開を想定しているが、ドル安円高の再加速はネガティブ要因だ。18日時点の投機筋の円買いポジションは多少減少したが、米経済指標発表後の為替動向を注視したい。
■28日に3月東京消費者物価指数の発表
来週、国内では、26日に2月企業向けサービス価格指数、1月景気動向指数(確報値)、28日に3月東京消費者物価指数などが予定されている。
海外では、24日に独・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、欧・3月ユーロ圏製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、英・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、米・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、25日に独・3月Ifo景況感指数、米・1月S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、2月新築住宅販売件数、3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、26日に豪・2月消費者物価指数、英・2月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、米・2月耐久財受注、週次原油在庫、27日に米・週次新規失業保険申請件数、第4四半期実質GDP(確報値)、2月卸売在庫(速報値)、中古住宅販売成約指数、28日に英・1月貿易収支、第4四半期実質GDP(確報値)、経常収支、2月小売売上高、独・4月Gfk消費者信頼感調査、3月雇用統計、欧・3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確報値)、景況感指数、米・2月個人支出、個人所得、PCEデフレータ、3月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。
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今週の日経平均は週間で623.96円高(+1.68%)の37677.06円と上昇。世界的な貿易戦争による米国経済への影響に対する懸念に伴う米国株の下落が一服したことなどから、買戻し優勢の展開となった。注目された日本銀行による金融政策決定会合と、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、それぞれ市場想定通り「現状維持」となった。重要イベントを無事に通過し、過度な警戒感は後退。日経平均は18日に38000円台に乗せた後は、短期的な達成感などが意識されて上値は重くなったが、3月末の配当・優待権利取りを意識した個人投資家の買い観測などが下支えとなった。
また、ウォーレン・バフェット氏の投資会社である米バークシャー・ハサウェイが五大商社株を買い増したことや、植田和男日銀総裁の会合後の記者会見における「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる」との発言を受け金融株が買われたことなども、日経平均がしっかりした原動力となった。時価総額が大きい商社株や金融株などが上昇したことから、相対的にTOPIXが強含む展開となり、NT倍率は2020年4月以来の13.44倍まで低下した。
なお、3月第2週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を7922億円売り越したほか、TOPIX先物を2000億円売り越し、225先物はトントンだったことから、合計5922億円の売り越しとなった。また、個人投資家は現物を1430億円売り越すなど合計で2070億円売り越し。事業法人は現物を932億円買い越した。
■レンジ下限38000円が上値抵抗となる可能性も
21日の米国株式市場は反発。ダウ平均は前日比32.03ドル高の41985.35ドル、ナスダックは同92.42ポイント高の17784.05で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比90円安の37310円で取引を終えた。
日経平均は11日につけた取引時間中の安値35987円をボトムとしたリバウンドで、25日移動平均線(25MA)が位置する37900円水準でもみ合っている。今週は、取引時間中に38000円台に乗せる場面が何度も見られたものの、終値ベースで跳ね返される状況が続いた。27日の配当・優待権利取り最終日にかけて、個人投資家による買いのほか、日経平均やTOPIXの配当落ち分に対する先物買いなども入る公算が大きいことから、来週半ばまでの東京市場の需給は良好と考える。ただ、200日移動平均線(200MA)が位置する38600円手前を意識した展開は今のところ見られない。米国が各国に対する関税を発動する4月2日までは、不透明感が意識されて積極的な買いは手控えられているようだ。いったんは買戻し先行で、昨年9月以降のレンジ下限である38000円を回復したが、次の買い材料が見当たらないことから戻り一服となっている。過去のレンジ下限が上値抵抗ラインとして意識される可能性もあるため、早いタイミングで200MAの回復を確認したいところだ。
■日米金利差縮小に伴う円高に警戒
来週、米国では第4四半期実質GDP、PCEデフレータなどFRBが重要視する経済指標の発表が相次ぐ。トランプ関税に対する市場の動揺はやや落ち着きつつあるが、これらの経済指標が市場予想を下回った場合、米景気悪化懸念が強まろう。先行き不透明感が意識されると、4.25%水準で推移している米10年債利回りが再度低下し、日米金利差縮小に伴うドル安円高が再加速する可能性がある。植田日銀総裁の「政策金利引き上げ」発言で10年債利回りが上昇ピッチを速める可能性もあることから、来週の為替市場は緊張感が続く地合いとなろう。需給面で日本株は下げにくい相場展開を想定しているが、ドル安円高の再加速はネガティブ要因だ。18日時点の投機筋の円買いポジションは多少減少したが、米経済指標発表後の為替動向を注視したい。
■28日に3月東京消費者物価指数の発表
来週、国内では、26日に2月企業向けサービス価格指数、1月景気動向指数(確報値)、28日に3月東京消費者物価指数などが予定されている。
海外では、24日に独・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、欧・3月ユーロ圏製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、英・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、米・3月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、25日に独・3月Ifo景況感指数、米・1月S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、2月新築住宅販売件数、3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、26日に豪・2月消費者物価指数、英・2月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、米・2月耐久財受注、週次原油在庫、27日に米・週次新規失業保険申請件数、第4四半期実質GDP(確報値)、2月卸売在庫(速報値)、中古住宅販売成約指数、28日に英・1月貿易収支、第4四半期実質GDP(確報値)、経常収支、2月小売売上高、独・4月Gfk消費者信頼感調査、3月雇用統計、欧・3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確報値)、景況感指数、米・2月個人支出、個人所得、PCEデフレータ、3月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。
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