みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=SQ前の仕掛け炸裂、レンジ上限が近づく
配信日時:2025/02/13 17:30
配信元:MINKABU
きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比497円高の3万9461円と3万9000円台半ばまで一気に水準を切り上げた。オプションSQ算出をあすに控えるなか、先物主導で仕掛けが入った。前日は「SQ週の魔の水曜日」であったが、売買代金こそ膨らんだものの売り方と買い方が火花を散らすような攻防は見られなかった。
しかし、きょうは時間差で先物を絡めた買い仕掛けが入り、いわゆるショートスクイーズを誘い、日経平均は大方の予想以上の戻りを演じた。「3万9500円から4万円のコールオプションを意識したもので、直近で4倍化している」(ネット証券マーケットアナリスト)という声が聞かれた。もっとも買い材料と呼べるのは前日から加速した円安くらいだが、ほんの1カ月前は現在よりはるかに円安水準であり、特筆に値するものではない。ひとつ確かなのは、3万8000~4万円のボックス圏往来が延々と繰り返されているということ。したがって仮にSQ当日にもう一段高があれば、そこは売り場となる可能性が高い。
では海外の株式市場はどうか。前日の欧州株市場は総じて上昇し、独DAXがこの日も史上最高値を更新した。英国でもFTSE100が連日で最高値をつけている。ドイツは今月23日に総選挙を控えるが、国民の視点は経済政策にある。ドイツは財政面が健全ということもあって、財政出動による景気浮揚策に対するニーズが強い。裏を返せばそれだけ景気が停滞していることになるが、株式市場に目を向ければ青空圏を快走している現実がある。欧州は「不景気の株高」を地で行く展開といってよい。
米国株市場では取引開始前にビッグイベントがあった。1月の米消費者物価指数(CPI)の発表がそれで、前月比で0.5%上昇と事前コンセンサスの0.3%を上回った。前月から伸びが鈍化するとみていたら、逆に加速していたという結果となり、相場が過剰に反応しても不思議はなかった。食品とエネルギーを除いたコア指数も前月比で0.4%の上昇と予想よりも0.1ポイント上振れしている。CPI発表を受けて米長期金利は4.6%台後半まで上昇し、株式益回りと比較した株式の相対的な割高感が改めて意識された。ところがフタを開けてみれば思った以上に底堅い。NYダウは0.5%の下げにとどまり、ナスダック総合株価指数はわずかながら高く引けている。市場筋は「FRBによる次回利下げは早くても7月以降が濃厚となったが、もともと年前半の利下げを市場は全く織り込んでいないため、狼狽売りも誘発されなかった」(中堅証券ストラテジスト)とする。
片や日本は難解な局面にある。物価上昇圧力が庶民の消費マインドを凍らせている。紛れもなく欧米に周回遅れのインフレに直面している。コメや鶏卵、キャベツといった食品類の価格上昇はそれぞれに特殊事情があり、イレギュラー要素が強いとの見方だが、例えば新米が出れば落ち着くと報じられていた米価なども一向に安くならない。春闘に対する期待はあるものの、今の物価の上昇圧力を考えれば実質賃金の上昇が担保されるとはとても思えず、これは「不景気の株高」ならぬ「不景気の物価高」でスタグフレーションに片足を突っ込んでいるような状況である。だからこそ、石破首相はトランプ米大統領の前で、米国に150兆円投資するなどという大風呂敷を広げる前に、国内の物価高対策に財政を振り向ける必要があるわけだが、今の実態が見えていないようだ。例えば岸田政権時代のガソリン補助金などを外したまま素知らぬふりでは、再び支持率の急低下は避けられない。
全体相場はロシアとウクライナ戦争の停戦合意が近いとの見方でリスクオンに傾いたとする声もあったが、アジア株市場は高安まちまちで必ずしも当を得ていない。全体相場はオプションSQ絡みの仕掛け、そして個別株は決算プレーに特化した鉄火場相場であり、ここはあえて参戦する必要もない。決算跨ぎの超短期売買は来週明けで終了する。それ以降、相場が通常モードへ回帰するのを待ってから、おもむろに参戦する方が賢明であろう。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に対外・対内証券売買契約が開示され、午前中に3カ月物国庫短期証券と5年国債の入札が行われる。午後取引時間中に1月の投信概況が発表される。なお、この日は株価指数オプション2月物の特別清算指数(オプションSQ)の算出日となる。海外では10~12月期ユーロ圏国内総生産(GDP)改定値のほか、1月の米小売売上高、1月の米鉱工業生産・設備稼働率、1月の米輸出入物価指数、12月の米企業在庫などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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