注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:早期利上げ観測強まり円高加速、日経平均のトレンドレスが続く
配信日時:2025/02/08 13:30
配信元:FISCO
*13:30JST 国内株式市場見通し:早期利上げ観測強まり円高加速、日経平均のトレンドレスが続く
■トランプ関税に翻弄される展開に
今週の日経平均は週間で785.47円安(-1.98%)の38787.02円と下落。週初はトランプ関税発動に対する警戒感が先行し、半導体株や輸出関連株など幅広い銘柄が下落、日経平均は前日比1000円超の大幅安となった。土壇場で対カナダ、メキシコへの関税が延期されたため、関税発動に対する過度な警戒感は後退したが、対中国への10%関税は発動したことから、週初の大幅安に対する反動も限定的となった。
決算発表が本格化を迎え、日経平均やTOPIXの方向感が乏しくなるなか、5日に発表された毎月勤労統計調査において、昨年の現金給与総額が前年比+4.8%と前回の同+3.9%から加速し、97年1月以来の高水準となったことや、実質賃金が同+0.6%と2カ月連続プラスとなったことで、日本銀行による早期利上げ観測が強まり、為替市場ではドル安円高が進行。6日に田村直樹日銀審議委員が講演で「2025年度後半には、少なくとも1%程度までの引き上げが必要」と述べたことも影響し、7日には昨年12月以来となる1ドル150円台まで円高が加速、輸出関連銘柄などの重しとなり、終値ベースでの39000円台回復とはならなかった。
なお、1月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を3354億円売り越したほか、TOPIX先物を351億円買い越し、225先物を579億円売り越したことから、合計3582億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を1170億円買い越すなど合計で1670億円買い越し。事業法人は現物を1516億円買い越した。
■柱不在で日経平均、TOPIXなど指数は方向感に乏しい
今週は、トヨタ自<7203>が決算発表のタイミングで通期業績見通しを上方修正したほか、日産自<7201>がホンダ<7267>に統合協議を打ち切る方針を伝えたと報じられるなど、自動車株に関連するニュースが目立った。トランプ関税やドル安円高の加速など外部環境にも振らされており、自動車株の方向性はつかめない。また、中国新興AI「DeepSeek」への過度な警戒感は後退したが、東京エレクトロン<8035>が決算発表後に売られるなど半導体株もまちまち。早期の利上げ観測が強まっているにも関わらず銀行株の動きも重い。柱となる業種が不在のため、日経平均、TOPIXの方向感は定まらない。日経平均は25日、75日、200日移動平均線のいずれも下向きに転じているほか、今週は6日以外陰線を残すなど上値の重さも目立つ。
7日の米国株式市場は下落。ダウ平均は前日比444.23ドル安の44303.40ドル、ナスダックは同268.59ポイント安の19523.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比470円安の38370円で取引を終えた。注目の米1月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想以上に鈍化したため、為替市場ではドル売りが優勢となり、海外時間でも1ドル150円台を付ける場面が見られた。決算発表がピークを迎えることから、来週も引き続き関心は個別銘柄に向かい、指数は弱いか、もしくは方向感に乏しい展開となりそうだ。
■「節分天井・彼岸底」とは逆のパターンの可能性も
日経平均は昨年9月以降、下値38000円、上値40000円の狭いレンジ相場が続いている。上下の値幅は5-6%ほどにとどまり、ボリンジャーバンド(±2σ)は収れんしておりトレンドレスの状況だ。週初、日経平均が前日比1000円超下落した日にはプライム市場の売買代金も5.5兆円ほどとなったが、今年に入って4兆円台の日が多く市場エネルギーも乏しい。次の展開を見極めたいとするムードが強く、市場はきっかけ待ちの状況と言えよう。
きっかけの一つが政府による「脱デフレ宣言」と推測する。日銀は昨年3月に金融政策の正常化に踏み切って以降、複数回利上げを実施し、1月の利上げを受けて政策金利は上限0.50%となった。また、今週発表された毎月勤労統計でも実質賃金の2カ月連続プラスが確認できたことから、「脱デフレ宣言」はそろそろではないかと考える。タイミングは3月中旬の春闘の集中回答日以降、下旬頃を想定する。前年と同じ水準の高い賃上げが要件とハードルは高いものの、政府が「脱デフレ宣言」を行うことは世界にアピールすることとなるため外国人投資家が買いに動く可能性はある。今しばらく我慢は必要かもしれないが、今年は「節分天井・彼岸底」とは逆に、3月下旬に盛り返すようなパターンになるかもしれない。
■12日に米消費者物価指数発表
来週、国内では、10日に12月国際収支、1月景気ウォッチャー調査、12日に1月マネーストックM2、13日に1月国内企業物価などが予定されている。
海外では、10日にトルコ・12月失業率、鉱工業生産指数、11日に豪・2月Westpac消費者信頼感指数、12日に米・1月消費者物価指数、週次原油在庫、13日に独・1月消費者物価指数(確報)、英・12月鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、第4四半期実質GDP(速報値)、欧・12月ユーロ圏鉱工業生産指数、米・週次新規失業保険申請件数、1月生産者物価指数、14日に欧・ユーロ圏第4四半期実質GDP(改定値)、米・1月小売売上高、輸入物価指数、輸出物価指数、鉱工業生産指数、12月企業在庫などが予定されている。
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今週の日経平均は週間で785.47円安(-1.98%)の38787.02円と下落。週初はトランプ関税発動に対する警戒感が先行し、半導体株や輸出関連株など幅広い銘柄が下落、日経平均は前日比1000円超の大幅安となった。土壇場で対カナダ、メキシコへの関税が延期されたため、関税発動に対する過度な警戒感は後退したが、対中国への10%関税は発動したことから、週初の大幅安に対する反動も限定的となった。
決算発表が本格化を迎え、日経平均やTOPIXの方向感が乏しくなるなか、5日に発表された毎月勤労統計調査において、昨年の現金給与総額が前年比+4.8%と前回の同+3.9%から加速し、97年1月以来の高水準となったことや、実質賃金が同+0.6%と2カ月連続プラスとなったことで、日本銀行による早期利上げ観測が強まり、為替市場ではドル安円高が進行。6日に田村直樹日銀審議委員が講演で「2025年度後半には、少なくとも1%程度までの引き上げが必要」と述べたことも影響し、7日には昨年12月以来となる1ドル150円台まで円高が加速、輸出関連銘柄などの重しとなり、終値ベースでの39000円台回復とはならなかった。
なお、1月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を3354億円売り越したほか、TOPIX先物を351億円買い越し、225先物を579億円売り越したことから、合計3582億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を1170億円買い越すなど合計で1670億円買い越し。事業法人は現物を1516億円買い越した。
■柱不在で日経平均、TOPIXなど指数は方向感に乏しい
今週は、トヨタ自<7203>が決算発表のタイミングで通期業績見通しを上方修正したほか、日産自<7201>がホンダ<7267>に統合協議を打ち切る方針を伝えたと報じられるなど、自動車株に関連するニュースが目立った。トランプ関税やドル安円高の加速など外部環境にも振らされており、自動車株の方向性はつかめない。また、中国新興AI「DeepSeek」への過度な警戒感は後退したが、東京エレクトロン<8035>が決算発表後に売られるなど半導体株もまちまち。早期の利上げ観測が強まっているにも関わらず銀行株の動きも重い。柱となる業種が不在のため、日経平均、TOPIXの方向感は定まらない。日経平均は25日、75日、200日移動平均線のいずれも下向きに転じているほか、今週は6日以外陰線を残すなど上値の重さも目立つ。
7日の米国株式市場は下落。ダウ平均は前日比444.23ドル安の44303.40ドル、ナスダックは同268.59ポイント安の19523.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比470円安の38370円で取引を終えた。注目の米1月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想以上に鈍化したため、為替市場ではドル売りが優勢となり、海外時間でも1ドル150円台を付ける場面が見られた。決算発表がピークを迎えることから、来週も引き続き関心は個別銘柄に向かい、指数は弱いか、もしくは方向感に乏しい展開となりそうだ。
■「節分天井・彼岸底」とは逆のパターンの可能性も
日経平均は昨年9月以降、下値38000円、上値40000円の狭いレンジ相場が続いている。上下の値幅は5-6%ほどにとどまり、ボリンジャーバンド(±2σ)は収れんしておりトレンドレスの状況だ。週初、日経平均が前日比1000円超下落した日にはプライム市場の売買代金も5.5兆円ほどとなったが、今年に入って4兆円台の日が多く市場エネルギーも乏しい。次の展開を見極めたいとするムードが強く、市場はきっかけ待ちの状況と言えよう。
きっかけの一つが政府による「脱デフレ宣言」と推測する。日銀は昨年3月に金融政策の正常化に踏み切って以降、複数回利上げを実施し、1月の利上げを受けて政策金利は上限0.50%となった。また、今週発表された毎月勤労統計でも実質賃金の2カ月連続プラスが確認できたことから、「脱デフレ宣言」はそろそろではないかと考える。タイミングは3月中旬の春闘の集中回答日以降、下旬頃を想定する。前年と同じ水準の高い賃上げが要件とハードルは高いものの、政府が「脱デフレ宣言」を行うことは世界にアピールすることとなるため外国人投資家が買いに動く可能性はある。今しばらく我慢は必要かもしれないが、今年は「節分天井・彼岸底」とは逆に、3月下旬に盛り返すようなパターンになるかもしれない。
■12日に米消費者物価指数発表
来週、国内では、10日に12月国際収支、1月景気ウォッチャー調査、12日に1月マネーストックM2、13日に1月国内企業物価などが予定されている。
海外では、10日にトルコ・12月失業率、鉱工業生産指数、11日に豪・2月Westpac消費者信頼感指数、12日に米・1月消費者物価指数、週次原油在庫、13日に独・1月消費者物価指数(確報)、英・12月鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、第4四半期実質GDP(速報値)、欧・12月ユーロ圏鉱工業生産指数、米・週次新規失業保険申請件数、1月生産者物価指数、14日に欧・ユーロ圏第4四半期実質GDP(改定値)、米・1月小売売上高、輸入物価指数、輸出物価指数、鉱工業生産指数、12月企業在庫などが予定されている。
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