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リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区等の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現
配信日時:2024/12/17 15:03
配信元:FISCO
*15:03JST リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区等の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現
■リアルゲイト<5532>の事業概要
1. 市場の動向:業界平均を上回る高稼働率
東京都心のオフィスの稼働率は、コロナ禍でやや低下した時期はあったものの2022年以降は回復基調にある。同社が物件を展開する渋谷区及び港区の大型オフィス(100坪以上)の調査では、渋谷区が平均95.6%(2022年3月から2024年9月までの平均)、港区が平均91.8%(同)であり、安定して緩やかな上昇基調にある。同社の既存物件稼働率は平均97.5%(同)であり、渋谷区よりもさらに高水準にある。稼働率の格差の要因としては、大規模オフィス(100坪以上)と同社が注力する小規模オフィス(6坪~15坪)の需要の差もあるが、同社が技術力や企画力・運営力を駆使して、特化したエリアのニーズを満たしていることの証左と見て間違いないだろう。
2. 物件の特徴:築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生
同社は、FWP事業の単一セグメントを展開している。定義としては、主に競争力を失った築古ビルに対して耐震補強や用途変更等の抜本的な改良を行い、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルなワークプレイスを提供することで、不動産に付加価値を付与し収益性を向上させる事業である。シェアオフィス業界は多くの企業が参入している業界ではあるが、同社では様々な側面で優位性を構築しており、ユニークなポジションを確立している。仕入れ対象は、都心部(特に渋谷区・港区・目黒区)に立地する築30年前後で延床面積300~600坪程度のコンパクトなビルである。築古ビルは、エレベーターがない、用途が事務所ではない、耐震補強が必要、など様々な課題があるものの、価格競争力のある仕入れが可能となる。再生にあたっては、需要の多い20平方メートル~50平方メートルを中心とした個室(スモールオフィス)が中心となる。全物件の区画契約998件のうち84%は事務所契約であり、その他に店舗・住居などとして賃貸されている。フリーデスクのシェアオフィスは一部の物件で導入されており、489件の契約があるものの、同社の売上高に占める割合は高くはない。
不動産再生を行う同業他社においては、なるべく時間をかけずに軽微な修繕を行ったうえで稼働率を上げ、転売するといったビジネスモデルがよく見受けられる。一方、同社の不動産再生は、1~2年かけて抜本的なリノベーションを行う点に特徴がある。過去の事例では、ホテルや共同住宅、倉庫や地下駐車場などをFWPに変更した実績がある。ビルごとの個性も重視しており、敢えてシリーズ化をしていない。
一例を挙げると、代官山にある築36年のヴィンテージマンションを1棟丸ごとリノベーションし、住宅用途からオフィスやSOHO等へコンバージョンした(LANTIQUE BY IOQ)。このプロジェクトでは、駐車場や住宅をオフィス等に用途変更、スカイテラス新設、増築、耐震補強など経験豊富な一級建築士を擁する技術力と企画力で抜本的な改良を実施した。結果として、再生前の月額の賃料収入は910万円だったものが再生後は1,790万円と約2.0倍の収入となり、収益性が向上した。
3. 社会課題・顧客ニーズ:競争力を失った遊休資産の有効活用
同社の顧客は、ビルオーナーとテナント企業である。同社の事業の対象となるビルオーナーは、競争力を失った築古ビルを所有しており、空室の増加や有効活用に課題をかかえている。一昔前であれば、築古のビルを解体し、新築開発することで採算が見込めたが、近年の建築費の高騰により、新築開発投資に躊躇するビルオーナーも増加してきた。同社の2023年5月時点での試算(典型例:渋谷区延床400坪の物件を想定、物件価格20億円)では、新築開発の建築費は5.6億円、竣工までの工期は22ヶ月であった。この数値も、2024年9月時点においては、建築費の高騰や、建設業の4週8休といった働き方改革などの影響で工期は伸びることになったため、建築費は10億円、竣工までの工期は26ヶ月に延びた。一方で、同社の手掛ける不動産再生では、建築費は1.8億円、竣工までの工期は7ヶ月に抑制されるため、投資が5分の1以下、工期も3分の1以下で済む。一方で、築古再生物件であってもテナントニーズを的確に捉えていれば、新築開発物件と遜色ない入居テナントへの賃料設定が可能であることは、同社の実績が物語っている。また、竣工が早い分だけ先行して賃料を収受できるのもオーナーのメリットになる。不動産業界では、近年の建築費高騰により、新築開発を断念するケースが増加している。それに伴い、既存のビルを抜本的なリノベーションにより蘇らせて収益性を高めるといった、不動産再生ソリューション需要が急増している。また、環境配慮の意識の高まりから、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存のビルを可能な限り長く使おうという動きも存在する。このような背景から、同社にとって市場環境は追い風であると言って良い。
テナント企業では、コロナ禍で進んだ働き方改革を背景に、自宅やシェアオフィス、カフェやリゾートなどワークプレイスは分散化の傾向にある。そのなかで、同社では、個性的でフレキシブルなオフィスを適正価格で借りたいというニーズに着目し、そのニーズを的確に満たすオフィスを企画・開発してきた。入居テナント業種では、情報サービス業が24.7%、広告業が11.4%、経営コンサルタント業・士業事務所が10.2%、デザイン業・映像・音楽・文字情報サービス業が7.1%と上位にきており、感度の高い企業がメインの客層であることが想像できる。
4. 対象エリア:渋谷エリアを中心とした都心部にドミナント展開
同社のエリア展開は、渋谷区、港区、目黒区に集中している。獲得済みプロジェクト71件中、渋谷区が29件(41%)、港区が18件(25%)、目黒区が14件(20%)であり、上記3区で86%を占める。さらにミクロに見ると、池尻大橋駅から中目黒駅までのエリア、原宿から千駄ヶ谷周辺のエリアなどに密集が存在する。また、賃料相場の見極めが容易な点もドミナント展開の利点である。近隣の既存プロジェクトのリーシングや運営の実績は大きな参考になる。ドミナント展開においては、収益性の高い物件獲得を目指し、確実にマーケットを捉えたエリアを中心に展開を強化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 市場の動向:業界平均を上回る高稼働率
東京都心のオフィスの稼働率は、コロナ禍でやや低下した時期はあったものの2022年以降は回復基調にある。同社が物件を展開する渋谷区及び港区の大型オフィス(100坪以上)の調査では、渋谷区が平均95.6%(2022年3月から2024年9月までの平均)、港区が平均91.8%(同)であり、安定して緩やかな上昇基調にある。同社の既存物件稼働率は平均97.5%(同)であり、渋谷区よりもさらに高水準にある。稼働率の格差の要因としては、大規模オフィス(100坪以上)と同社が注力する小規模オフィス(6坪~15坪)の需要の差もあるが、同社が技術力や企画力・運営力を駆使して、特化したエリアのニーズを満たしていることの証左と見て間違いないだろう。
2. 物件の特徴:築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生
同社は、FWP事業の単一セグメントを展開している。定義としては、主に競争力を失った築古ビルに対して耐震補強や用途変更等の抜本的な改良を行い、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルなワークプレイスを提供することで、不動産に付加価値を付与し収益性を向上させる事業である。シェアオフィス業界は多くの企業が参入している業界ではあるが、同社では様々な側面で優位性を構築しており、ユニークなポジションを確立している。仕入れ対象は、都心部(特に渋谷区・港区・目黒区)に立地する築30年前後で延床面積300~600坪程度のコンパクトなビルである。築古ビルは、エレベーターがない、用途が事務所ではない、耐震補強が必要、など様々な課題があるものの、価格競争力のある仕入れが可能となる。再生にあたっては、需要の多い20平方メートル~50平方メートルを中心とした個室(スモールオフィス)が中心となる。全物件の区画契約998件のうち84%は事務所契約であり、その他に店舗・住居などとして賃貸されている。フリーデスクのシェアオフィスは一部の物件で導入されており、489件の契約があるものの、同社の売上高に占める割合は高くはない。
不動産再生を行う同業他社においては、なるべく時間をかけずに軽微な修繕を行ったうえで稼働率を上げ、転売するといったビジネスモデルがよく見受けられる。一方、同社の不動産再生は、1~2年かけて抜本的なリノベーションを行う点に特徴がある。過去の事例では、ホテルや共同住宅、倉庫や地下駐車場などをFWPに変更した実績がある。ビルごとの個性も重視しており、敢えてシリーズ化をしていない。
一例を挙げると、代官山にある築36年のヴィンテージマンションを1棟丸ごとリノベーションし、住宅用途からオフィスやSOHO等へコンバージョンした(LANTIQUE BY IOQ)。このプロジェクトでは、駐車場や住宅をオフィス等に用途変更、スカイテラス新設、増築、耐震補強など経験豊富な一級建築士を擁する技術力と企画力で抜本的な改良を実施した。結果として、再生前の月額の賃料収入は910万円だったものが再生後は1,790万円と約2.0倍の収入となり、収益性が向上した。
3. 社会課題・顧客ニーズ:競争力を失った遊休資産の有効活用
同社の顧客は、ビルオーナーとテナント企業である。同社の事業の対象となるビルオーナーは、競争力を失った築古ビルを所有しており、空室の増加や有効活用に課題をかかえている。一昔前であれば、築古のビルを解体し、新築開発することで採算が見込めたが、近年の建築費の高騰により、新築開発投資に躊躇するビルオーナーも増加してきた。同社の2023年5月時点での試算(典型例:渋谷区延床400坪の物件を想定、物件価格20億円)では、新築開発の建築費は5.6億円、竣工までの工期は22ヶ月であった。この数値も、2024年9月時点においては、建築費の高騰や、建設業の4週8休といった働き方改革などの影響で工期は伸びることになったため、建築費は10億円、竣工までの工期は26ヶ月に延びた。一方で、同社の手掛ける不動産再生では、建築費は1.8億円、竣工までの工期は7ヶ月に抑制されるため、投資が5分の1以下、工期も3分の1以下で済む。一方で、築古再生物件であってもテナントニーズを的確に捉えていれば、新築開発物件と遜色ない入居テナントへの賃料設定が可能であることは、同社の実績が物語っている。また、竣工が早い分だけ先行して賃料を収受できるのもオーナーのメリットになる。不動産業界では、近年の建築費高騰により、新築開発を断念するケースが増加している。それに伴い、既存のビルを抜本的なリノベーションにより蘇らせて収益性を高めるといった、不動産再生ソリューション需要が急増している。また、環境配慮の意識の高まりから、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存のビルを可能な限り長く使おうという動きも存在する。このような背景から、同社にとって市場環境は追い風であると言って良い。
テナント企業では、コロナ禍で進んだ働き方改革を背景に、自宅やシェアオフィス、カフェやリゾートなどワークプレイスは分散化の傾向にある。そのなかで、同社では、個性的でフレキシブルなオフィスを適正価格で借りたいというニーズに着目し、そのニーズを的確に満たすオフィスを企画・開発してきた。入居テナント業種では、情報サービス業が24.7%、広告業が11.4%、経営コンサルタント業・士業事務所が10.2%、デザイン業・映像・音楽・文字情報サービス業が7.1%と上位にきており、感度の高い企業がメインの客層であることが想像できる。
4. 対象エリア:渋谷エリアを中心とした都心部にドミナント展開
同社のエリア展開は、渋谷区、港区、目黒区に集中している。獲得済みプロジェクト71件中、渋谷区が29件(41%)、港区が18件(25%)、目黒区が14件(20%)であり、上記3区で86%を占める。さらにミクロに見ると、池尻大橋駅から中目黒駅までのエリア、原宿から千駄ヶ谷周辺のエリアなどに密集が存在する。また、賃料相場の見極めが容易な点もドミナント展開の利点である。近隣の既存プロジェクトのリーシングや運営の実績は大きな参考になる。ドミナント展開においては、収益性の高い物件獲得を目指し、確実にマーケットを捉えたエリアを中心に展開を強化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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