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様子見のウクライナ通貨【フィスコ・コラム】
配信日時:2024/10/06 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 様子見のウクライナ通貨【フィスコ・コラム】
ウクライナ通貨フリブニャが夏場以降、最安値圏で下げ止まっています。ロシアからの攻撃に国内経済が疲弊するなか、経済の回復を見込んだ買いが入りづらい状況に変わりはありません。米大統領選の結果を見極めようと、売りが抑制されているようにも見えます。
フリブニャは今年1月に1ドル=38フリブニャに下落後も過去最安値を更新し続け、7月には一時41フリブニャ後半まで落ち込みました。昨年10月の管理相場制へ移行に伴い36フリブニャ台に強含む場面もありましたが、ロシアからの攻撃が激化する中でウクライナ経済が深刻な打撃を受け、軟調地合いに。しかし、下げはいったん収束し、足元は41フリブニャ前半を維持するなど底堅さが目立ちます。
その理由として、ウクライナ経済が比較的安定していることが挙げられます。依然として通貨は脆弱であるものの、最悪の事態は回避されているもようです。9月25日に発表された国内総生産(GDP)は+3.7%と前回の+6.5%から減速しつつも、戦争前の水準を維持。ウクライナ中銀は6月に政策金利を13%に引き下げた後は据え置き、フリブニャへの投機的な売りを抑えていると考えられます。
もちろん、戦時下にもかかわらず安定的なのは、EUや国際通貨基金(IMF)などからの資金支援が行われているためで、これにより国内の経済的な混乱がある程度回避されています。特にエネルギー、食料、医療物資などの基本的なインフラが維持されていることが、経済の急激な悪化を防いでいるとみられます。しかし、これらの支援にも限界があり、フリブニャが将来的に下落する可能性は残されています。
戦争が長期化すれば、国内産業の衰退や労働力の減少でウクライナ経済の失速、低迷は避けられないでしょう。それでも下落圧力が抑えられている背景には、1カ月後に迫った米大統領選があります。アメリカは最大の支援国で、結果次第でウクライナの未来は大きく変わってきます。共和党候補のトランプ前大統領は、再登板なら就任前に戦争を終結させると豪語。本当にそんなことが可能なのかと疑念を持ちます。
一方、民主党のハリス副大統領が勝利した場合、現在の対ウクライナ支援は継続されるものの、戦闘の長期化、泥沼化が予想されます。ウクライナ再建に現実味が増せば、フリブニャ買いの地合いが強まりますが、いずれにしても選挙結果を見極めようと、多くの投資家がフリブニャの売買を手控えているのが実情と言えます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
フリブニャは今年1月に1ドル=38フリブニャに下落後も過去最安値を更新し続け、7月には一時41フリブニャ後半まで落ち込みました。昨年10月の管理相場制へ移行に伴い36フリブニャ台に強含む場面もありましたが、ロシアからの攻撃が激化する中でウクライナ経済が深刻な打撃を受け、軟調地合いに。しかし、下げはいったん収束し、足元は41フリブニャ前半を維持するなど底堅さが目立ちます。
その理由として、ウクライナ経済が比較的安定していることが挙げられます。依然として通貨は脆弱であるものの、最悪の事態は回避されているもようです。9月25日に発表された国内総生産(GDP)は+3.7%と前回の+6.5%から減速しつつも、戦争前の水準を維持。ウクライナ中銀は6月に政策金利を13%に引き下げた後は据え置き、フリブニャへの投機的な売りを抑えていると考えられます。
もちろん、戦時下にもかかわらず安定的なのは、EUや国際通貨基金(IMF)などからの資金支援が行われているためで、これにより国内の経済的な混乱がある程度回避されています。特にエネルギー、食料、医療物資などの基本的なインフラが維持されていることが、経済の急激な悪化を防いでいるとみられます。しかし、これらの支援にも限界があり、フリブニャが将来的に下落する可能性は残されています。
戦争が長期化すれば、国内産業の衰退や労働力の減少でウクライナ経済の失速、低迷は避けられないでしょう。それでも下落圧力が抑えられている背景には、1カ月後に迫った米大統領選があります。アメリカは最大の支援国で、結果次第でウクライナの未来は大きく変わってきます。共和党候補のトランプ前大統領は、再登板なら就任前に戦争を終結させると豪語。本当にそんなことが可能なのかと疑念を持ちます。
一方、民主党のハリス副大統領が勝利した場合、現在の対ウクライナ支援は継続されるものの、戦闘の長期化、泥沼化が予想されます。ウクライナ再建に現実味が増せば、フリブニャ買いの地合いが強まりますが、いずれにしても選挙結果を見極めようと、多くの投資家がフリブニャの売買を手控えているのが実情と言えます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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