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クリアル Research Memo(3):主力の「CREAL」は1万円から投資可能、不動産投資の民主化を実現(1)
配信日時:2024/06/24 19:23
配信元:FISCO
*19:23JST クリアル Research Memo(3):主力の「CREAL」は1万円から投資可能、不動産投資の民主化を実現(1)
■クリアル<2998>の事業内容と特長
不動産投資業界は、証券や保険など他業界と比較し、いまだにFAX文化が残るなどDXが遅れている。同社は、ソーシング(不動産の仕入れ)、運営、エグジット(不動産の売却)といった不動産投資における運用プロセスの多くでDXを推進し、不動産投資を大きく変えることを目指している。
具体的には、ソーシング、運営・賃貸管理レポーティング、エグジットといったこれまでの典型的な不動産投資プロセスを、DXによってクリアル<2998>独自のプラットフォームとして築き上げている。ソーシングでは、従来のような担当者の個人的なネットワークに頼った手法だけでなく、AIを活用した24時間体制のソーシングと適正評価ができる。運営・賃貸管理レポーティングでは、紙媒体の資料送付などマニュアルで運用されていた状況を変革し、オンライン上でスピーディーかつ低コストな収支報告と管理報告を受け取れるようになった。エグジットにおいても、これまでのように担当者の個人的なネットワークに限定されず、Webとアプリを活用したN対Nのマッチングが成立する。さらに、クラウドファンディングを利用した少額オンライン投資を可能としたことにより、不動産投資そのものを、従来の機関投資家や富裕層から、個人を含むすべての投資家への拡大に成功している。
1. 事業の概要
同社グループでは資産運用プラットフォーム事業として、投資主体、投資金額、投資対象ごとに1) 「CREAL」、2) 「CREAL PRO」、3) 「CREAL PB」、4) 「その他」の4つのサービスを展開している。各サービスで対象顧客の投資・運用方針に沿った事業コンセプトを追求しつつも、各サービス間でのシナジー創出を念頭に、有機的に一体となって運営しているため、事業セグメントとしては単一セグメントとなっている。サービス別の売上構成比は、2024年3月期で「CREAL」が52.2%、「CREAL PRO」が12.3%、「CREAL PB」が34.0%、「その他」が1.5%となっている。
2. 各サービスの特長
「CREAL」「CREAL PB」「CREAL PRO」の各サービスの特長は以下のとおりである。
(1) 「CREAL」
クラウドファンディングを活用した、個人投資家向けの不動産ファンドオンラインマーケットサービスで、1万円から資産運用ができる。余剰資金を短期的(5年以内)に運用する目的での投資にマッチしている。2024年2月末時点で同社が組成し運用しているファンドの想定利回りの平均値は約4.3%で、2024年5月末現在で元本割れはない。岸田政権下において「資産所得倍増計画」「貯蓄から投資へ」と謳われているが、円ベースの運用かつ短期で、4~5%内外の利回り獲得を期待できる運用商品は少なく、市場としても追い風にあると言える。同サービスでは、資産運用のプロが運営していること、保育園などESG不動産からレジデンス、ホテル、オフィスと多様な不動産へ投資できることが、競合との大きな差別化要素となっている。「CREAL」の売上総利益はGMV×Take Rate※から成り立っており、GMVの伸長が同サービスの利益拡大に大きく寄与する収益構造となっている。
※ GMVに対して運営企業が得られる収益の比率。
「CREAL」は特定の物件に対して投資するファンドであり、募集期間中に一定以上の投資資金が集まるとファンドが成立、運用が開始される。運用で得られた家賃収入は投資金額に応じて投資家に分配され、運用が終了すると不動産売却により投資元本が返還される仕組みとなっている。「CREAL」では、同社があらかじめ設定した想定配当利回りをリターン目標におき、投資家が1口1万円から様々なファンドに投資できるうえ、投資家登録から投資実行に至るまでのすべてをオンラインで完結している。投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る運用プロセスについては、高度な不動産投資ノウハウとIT技術によって高度化された投資システムを有する同社に一任し、投資家は手間や時間、高度な知識を要することなく不動産ファンド運用が可能となる。
「CREAL」の業務フローは以下のとおりである。
1)物件供給を行う業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営者、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い、投資適格物件の選定を行う。最近では、「CREAL」プラットフォームの認知度の向上により、これまで取引関係のない事業者からの持ち込み案件も増加し、案件の豊富さが加速している。
2)同社が選定した投資適格物件についてファンドの組成を行い、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」上に公開する。
3)投資家は掲載されたファンド情報及びファンドに応じて設定された利回りを考慮のうえ、投資金額を決定する。
4)ファンドが成立した場合には、同社が「CREAL」で募集して投資された資金、及び同社による劣後出資金を用いて対象不動産を売主より購入する。その際、同社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)を受領する。
5)ファンド運用期間中に不動産を賃貸することにより賃借人から得られる賃料を基にして、投資家へ配当を行う。その際、同社はファンド運用期間中の管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領する。
6)ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行う。ファンド運用終了時に同社は不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに物件を売却して利益が生じた場合には、当該売却利益またはその一部(プロフィット・シェア)を受領する。
「CREAL」では、「情報の透明性」を重要視しており、募集金額や想定利回り(インカムゲイン、キャピタルゲイン内訳)、想定運用期間、想定初回配当日、投資対象の不動産についての詳細情報や、運営者へのインタビュー動画を商品案内ページに掲載している。また、対象となる不動産の概要や所在地の明示のみならず、プロジェクトについての投資リスクの内容とその手当のほか、不動産価格調査報告やエンジニアリングレポート等の専門家の第三者レポートも開示している。加えて、物件の運営者の概要・投資対象が所在するエリアや市場のマクロマーケットの概況、投資リターンの参考となる類似物件の賃貸事例や売却事例の提示のほか、ファンドにおける調達資金とその使途、投資リターンのシミュレーション機能の提供も行っている。
「CREAL」はサービス開始以来、世の中にとって必要な不動産であるにもかかわらず、資金供給が難しいとされてきた保育園や学校、地方創生関連などのESG不動産領域の投資案件創出にも注力してきた。ESG不動産は投資規模が小さく資産運用対象としての実績に乏しいため、これまでは機関投資家から注目されにくいという課題があった。同社では「CREAL」のクラウドファンディングを活用して、個人投資家からの投資資金を供給するパイプ・インターフェースとしての役割を果たし、社会性と投資商品性の両立に成功している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<HN>
不動産投資業界は、証券や保険など他業界と比較し、いまだにFAX文化が残るなどDXが遅れている。同社は、ソーシング(不動産の仕入れ)、運営、エグジット(不動産の売却)といった不動産投資における運用プロセスの多くでDXを推進し、不動産投資を大きく変えることを目指している。
具体的には、ソーシング、運営・賃貸管理レポーティング、エグジットといったこれまでの典型的な不動産投資プロセスを、DXによってクリアル<2998>独自のプラットフォームとして築き上げている。ソーシングでは、従来のような担当者の個人的なネットワークに頼った手法だけでなく、AIを活用した24時間体制のソーシングと適正評価ができる。運営・賃貸管理レポーティングでは、紙媒体の資料送付などマニュアルで運用されていた状況を変革し、オンライン上でスピーディーかつ低コストな収支報告と管理報告を受け取れるようになった。エグジットにおいても、これまでのように担当者の個人的なネットワークに限定されず、Webとアプリを活用したN対Nのマッチングが成立する。さらに、クラウドファンディングを利用した少額オンライン投資を可能としたことにより、不動産投資そのものを、従来の機関投資家や富裕層から、個人を含むすべての投資家への拡大に成功している。
1. 事業の概要
同社グループでは資産運用プラットフォーム事業として、投資主体、投資金額、投資対象ごとに1) 「CREAL」、2) 「CREAL PRO」、3) 「CREAL PB」、4) 「その他」の4つのサービスを展開している。各サービスで対象顧客の投資・運用方針に沿った事業コンセプトを追求しつつも、各サービス間でのシナジー創出を念頭に、有機的に一体となって運営しているため、事業セグメントとしては単一セグメントとなっている。サービス別の売上構成比は、2024年3月期で「CREAL」が52.2%、「CREAL PRO」が12.3%、「CREAL PB」が34.0%、「その他」が1.5%となっている。
2. 各サービスの特長
「CREAL」「CREAL PB」「CREAL PRO」の各サービスの特長は以下のとおりである。
(1) 「CREAL」
クラウドファンディングを活用した、個人投資家向けの不動産ファンドオンラインマーケットサービスで、1万円から資産運用ができる。余剰資金を短期的(5年以内)に運用する目的での投資にマッチしている。2024年2月末時点で同社が組成し運用しているファンドの想定利回りの平均値は約4.3%で、2024年5月末現在で元本割れはない。岸田政権下において「資産所得倍増計画」「貯蓄から投資へ」と謳われているが、円ベースの運用かつ短期で、4~5%内外の利回り獲得を期待できる運用商品は少なく、市場としても追い風にあると言える。同サービスでは、資産運用のプロが運営していること、保育園などESG不動産からレジデンス、ホテル、オフィスと多様な不動産へ投資できることが、競合との大きな差別化要素となっている。「CREAL」の売上総利益はGMV×Take Rate※から成り立っており、GMVの伸長が同サービスの利益拡大に大きく寄与する収益構造となっている。
※ GMVに対して運営企業が得られる収益の比率。
「CREAL」は特定の物件に対して投資するファンドであり、募集期間中に一定以上の投資資金が集まるとファンドが成立、運用が開始される。運用で得られた家賃収入は投資金額に応じて投資家に分配され、運用が終了すると不動産売却により投資元本が返還される仕組みとなっている。「CREAL」では、同社があらかじめ設定した想定配当利回りをリターン目標におき、投資家が1口1万円から様々なファンドに投資できるうえ、投資家登録から投資実行に至るまでのすべてをオンラインで完結している。投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る運用プロセスについては、高度な不動産投資ノウハウとIT技術によって高度化された投資システムを有する同社に一任し、投資家は手間や時間、高度な知識を要することなく不動産ファンド運用が可能となる。
「CREAL」の業務フローは以下のとおりである。
1)物件供給を行う業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営者、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い、投資適格物件の選定を行う。最近では、「CREAL」プラットフォームの認知度の向上により、これまで取引関係のない事業者からの持ち込み案件も増加し、案件の豊富さが加速している。
2)同社が選定した投資適格物件についてファンドの組成を行い、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」上に公開する。
3)投資家は掲載されたファンド情報及びファンドに応じて設定された利回りを考慮のうえ、投資金額を決定する。
4)ファンドが成立した場合には、同社が「CREAL」で募集して投資された資金、及び同社による劣後出資金を用いて対象不動産を売主より購入する。その際、同社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)を受領する。
5)ファンド運用期間中に不動産を賃貸することにより賃借人から得られる賃料を基にして、投資家へ配当を行う。その際、同社はファンド運用期間中の管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領する。
6)ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行う。ファンド運用終了時に同社は不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに物件を売却して利益が生じた場合には、当該売却利益またはその一部(プロフィット・シェア)を受領する。
「CREAL」では、「情報の透明性」を重要視しており、募集金額や想定利回り(インカムゲイン、キャピタルゲイン内訳)、想定運用期間、想定初回配当日、投資対象の不動産についての詳細情報や、運営者へのインタビュー動画を商品案内ページに掲載している。また、対象となる不動産の概要や所在地の明示のみならず、プロジェクトについての投資リスクの内容とその手当のほか、不動産価格調査報告やエンジニアリングレポート等の専門家の第三者レポートも開示している。加えて、物件の運営者の概要・投資対象が所在するエリアや市場のマクロマーケットの概況、投資リターンの参考となる類似物件の賃貸事例や売却事例の提示のほか、ファンドにおける調達資金とその使途、投資リターンのシミュレーション機能の提供も行っている。
「CREAL」はサービス開始以来、世の中にとって必要な不動産であるにもかかわらず、資金供給が難しいとされてきた保育園や学校、地方創生関連などのESG不動産領域の投資案件創出にも注力してきた。ESG不動産は投資規模が小さく資産運用対象としての実績に乏しいため、これまでは機関投資家から注目されにくいという課題があった。同社では「CREAL」のクラウドファンディングを活用して、個人投資家からの投資資金を供給するパイプ・インターフェースとしての役割を果たし、社会性と投資商品性の両立に成功している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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