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ミアヘルサHD Research Memo(4):医薬・介護・保育の3事業による営業構造を特徴としている(2)
配信日時:2022/07/25 15:24
配信元:FISCO
■ミアヘルサホールディングス<7129>の会社概要
(2) 介護事業
介護事業では、主に介護保険法に基づき、訪問介護・看護等の訪問系サービスやデイサービス等の通所系サービス、サービス付き高齢者向け住宅や認知症対応型グループホーム等の居住系サービスと幅広い介護サービスを東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県で展開している。2022年5月末のサービス拠点は68拠点(東京都30拠点、埼玉県21拠点、千葉県9拠点、神奈川県3拠点、ライフサポート5拠点含む)となる。
同社の介護事業の特徴としては、サービス付き高齢者向け住宅等の居住系サービスを拠点として、同一建物内に通所系サービスや訪問系サービスなどほかのサービス拠点も設置する複合型施設としてドミナント展開をしていることが挙げられる。また、国土交通省の高齢者等居住安定化モデルに「ミアヘルサ オアシス和光」が選定されたほか、UR都市機構の「団地再生事業」の協業として「ミアヘルサ ケアヴィレッジひばりが丘」を開設するなど、オアシス居住者のみならず地域の高齢者にもサービスを行う「地域包括ケアシステム」の取り組みを積極的に展開していることが特徴となっている。
売上高の内訳としては、通所系及び訪問系で全体の7割弱、居住系サービスで約3割、残りを地域包括支援センター等の行政委託サービスやその他のサービスで占めている。ビジネスモデルとしては、「介護保険法」が適用されるサービスについては、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービスを提供し、その対価の一部を利用者から、残りを国民健康保険団体連合会から受領する格好となる。また、介護保険が適用されないサービス(サービス付き高齢者向け住宅の賃料、食事代、生活支援サービス費等)については、利用者から直接対価を受領している。介護保険についても3年ごとに実情に合わせて改正が行われている。2021年度においては、コロナ禍で介護事業者にとって厳しい経営環境が続くなかで、介護報酬の改定率は+0.70%と若干のプラス改定となった。
主な改正ポイントとしては、高額所得者のサービス利用について一部、自己負担額が増加したほか、看取りへの対応の充実を図るため、有料老人ホーム等の特定施設で夜勤または宿直の看護職員を配置している場合において、看取り介護加算が新たに追加された。また、訪問介護での看取り期に利用者にサービスを提供する場合においても、所要時間の算定が弾力化され、所定単位数が取得しやすくなった。内閣府の統計ではがん患者が2人に1人の割合で増えると見込まれることと難病患者の住まい不足が問題となっており、同社においても今後、看取りに関するサービスの需要が拡大することを見越して、2020年8月よりサービス付き高齢者向け住宅「ミアヘルサ オアシス東新小岩」内に在宅ホスピス専用フロアを開設したほか、2021年9月には神奈川県川崎市にホスピス専用の住宅型有料老人ホーム「ミアヘルサ メディケアオアシス新百合ヶ丘」をオープンしている(24時間対応の訪問看護ステーションも同時開設)。その他介護サービスや調剤薬局との連携を図ることで、最期まで住み慣れた地域で暮らせる環境づくりを今後も提供していくことを使命と考えている。
なお、同社は1999年に介護事業を開始して以降、「日生介護」の事業ブランドでサービスを展開してきたが、2021年6月より「ミアヘルサ ケア」に名称を変更している。また、ライフサポートではサービス付き高齢者向け住宅「悠楽里レジデンス六本木」や小規模多機能型居宅介護「こゆらり高輪」等を運営している。
(3) 保育事業
保育事業については、ミアヘルサで認可保育園「ミアヘルサ保育園ひびき」を東京都、神奈川県、千葉県で展開しているほか、2021年10月に子会社化したライフサポートで認可及び認証保育園「ゆらりん保育園」を東京都で展開している。2022年5月末時点の運営数は57園(東京都47園、神奈川県6園、千葉県4園、受託運営含む)となっている。また、ライフサポートで子育てひろば及び保育室12施設を運営しているほか、公設業務委託学童クラブ12施設、都型学童クラブ※施設を運営している。つまり、0歳から小学生までの子どもの包括ケアを実践している。
※公設業務委託学童クラブは自治体事業の業務委託運営のため、初期投資や集客コストなどが不要だが、都型学童クラブは自ら集客活動を行う必要がある。
保育所は、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の2種類に分類され、保育の対象となる園児は、乳児(満1歳未満)と幼児(満1歳から小学校就学前)となる。認可保育所とは、児童福祉法に基づき国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たし、各自治体で認可された施設を指す。1園当たり平均定員数は60~70名程度となる。各自治体は認可保育所の開設にあたって2年ほど前から開設区域を決め、1年前に入札により運営事業者を決定する。運営事業者は、当該自治体エリア内での運営実績を総合的に評価して決められるため、新規参入するのが困難な市場とも言える。
認証保育所とは、東京都が独自に定めた設置基準を満たし、東京都が認定した施設を指す。分類としては、認可外保育施設として位置付けられている。認可保育所との違いは、園児の募集活動を自らが行い保護者と直接契約する点にあり、保護者から一部の保育料等を受領し、残りを自治体から受領する格好となる。認可保育所であれば募集は自治体で行うため、募集費用が掛からないといったメリットがある。このため、同社では認可保育所での展開を進めており、ライフサポートが現在運営している認証保育園10園についても今後、認可基準を満たす取り組みを進め、認可化が難しければ統合等の工夫をしていく方針となっている。
認可保育所のビジネスモデルについて見ると、入園を希望する保護者はまず各自治体に申請し、入園後に自治体に保育料等を支払うことになる。2019年10月からは3~5歳児の利用料が無償化(0~2歳児も住民税非課税世帯は無償化)※となったが、認可保育園はもともとサービス提供の対価として、国や自治体から保育費や補助金等を収入として得ていたため、無償化の影響は軽微となっている。また、保育所を新規開設するにあたって必要となる設備投資の一部について、自治体から補助金が支給されており、自治体によっては施設賃借料の一部を支給するところもある。設備投資に係る補助金については、開園月(4月)の直前(3月)に交付決定される。設備資金の補助金割合は自治体によって異なるがおおむね8割以上の水準となっており、同社は特別利益として計上している。例えば、2022年4月には新規に3園を開設したが、2022年3月期に特別利益として設備等補助金収入443百万円を計上している。
※通園送迎費や食材料費、行事費用は従来通り保護者の負担となっている。
保育事業における同社の強みとして、ミアヘルサが2022年6月時点で運営する36園すべてが認可保育所となっており、園児募集のための営業経費が殆どかからないため、高い収益性を安定して維持できることである。また、認可保育所は認可外保育施設と比較して、人員基準や施設基準が厳しく設定されており、同基準をクリアしていることは、高品質なサービスを提供できているということの裏返しでもある。こうした高品質なサービスを提供できる背景には、同社の教育研修システムがしっかりと機能していることに加えて、保育士の採用に関して強いネットワークを構築している点にある。全国の中途採用者向けフェアに継続的に出展しているほか、専門学校へも定期的に訪問しネットワークを構築してきた。先輩保育士等からのクチコミ等もあり、人材採用難の環境下でも年間50名前後の新卒保育士を安定的に採用でき、かつ高い定着率を実現できていることが収益力の高さにつながっている。直近でM&Aをした2社については保育士の採用難を克服できず、同社がグループ化するきっかけとなっており、今後も保育士の採用力を強みに事業を拡大していく方向である。
(4) その他
その他では食品事業を展開している。主に足立区・葛飾区の公立小中学校約170校に対する給食用食材、及び同区内の保育園・介護施設、その他一般飲食店等に対する食材の卸売りを行っている。また、ライドオンエクスプレスホールディングス<6082>が運営する宅配寿司チェーン「銀のさら」のフランチャイジーとして足立区内に3店舗を展開している。そのほか、2020年4月に足立区と「防災協定」を締結している。この協定は、災害発生時や災害発生が危ぶまれるとき、同社が足立区に対し、食料品や医薬品等の物資の確保と供給、物流支援、避難所の提供に協力していくというもので、地域貢献活動の取り組みの1つとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
(2) 介護事業
介護事業では、主に介護保険法に基づき、訪問介護・看護等の訪問系サービスやデイサービス等の通所系サービス、サービス付き高齢者向け住宅や認知症対応型グループホーム等の居住系サービスと幅広い介護サービスを東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県で展開している。2022年5月末のサービス拠点は68拠点(東京都30拠点、埼玉県21拠点、千葉県9拠点、神奈川県3拠点、ライフサポート5拠点含む)となる。
同社の介護事業の特徴としては、サービス付き高齢者向け住宅等の居住系サービスを拠点として、同一建物内に通所系サービスや訪問系サービスなどほかのサービス拠点も設置する複合型施設としてドミナント展開をしていることが挙げられる。また、国土交通省の高齢者等居住安定化モデルに「ミアヘルサ オアシス和光」が選定されたほか、UR都市機構の「団地再生事業」の協業として「ミアヘルサ ケアヴィレッジひばりが丘」を開設するなど、オアシス居住者のみならず地域の高齢者にもサービスを行う「地域包括ケアシステム」の取り組みを積極的に展開していることが特徴となっている。
売上高の内訳としては、通所系及び訪問系で全体の7割弱、居住系サービスで約3割、残りを地域包括支援センター等の行政委託サービスやその他のサービスで占めている。ビジネスモデルとしては、「介護保険法」が適用されるサービスについては、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービスを提供し、その対価の一部を利用者から、残りを国民健康保険団体連合会から受領する格好となる。また、介護保険が適用されないサービス(サービス付き高齢者向け住宅の賃料、食事代、生活支援サービス費等)については、利用者から直接対価を受領している。介護保険についても3年ごとに実情に合わせて改正が行われている。2021年度においては、コロナ禍で介護事業者にとって厳しい経営環境が続くなかで、介護報酬の改定率は+0.70%と若干のプラス改定となった。
主な改正ポイントとしては、高額所得者のサービス利用について一部、自己負担額が増加したほか、看取りへの対応の充実を図るため、有料老人ホーム等の特定施設で夜勤または宿直の看護職員を配置している場合において、看取り介護加算が新たに追加された。また、訪問介護での看取り期に利用者にサービスを提供する場合においても、所要時間の算定が弾力化され、所定単位数が取得しやすくなった。内閣府の統計ではがん患者が2人に1人の割合で増えると見込まれることと難病患者の住まい不足が問題となっており、同社においても今後、看取りに関するサービスの需要が拡大することを見越して、2020年8月よりサービス付き高齢者向け住宅「ミアヘルサ オアシス東新小岩」内に在宅ホスピス専用フロアを開設したほか、2021年9月には神奈川県川崎市にホスピス専用の住宅型有料老人ホーム「ミアヘルサ メディケアオアシス新百合ヶ丘」をオープンしている(24時間対応の訪問看護ステーションも同時開設)。その他介護サービスや調剤薬局との連携を図ることで、最期まで住み慣れた地域で暮らせる環境づくりを今後も提供していくことを使命と考えている。
なお、同社は1999年に介護事業を開始して以降、「日生介護」の事業ブランドでサービスを展開してきたが、2021年6月より「ミアヘルサ ケア」に名称を変更している。また、ライフサポートではサービス付き高齢者向け住宅「悠楽里レジデンス六本木」や小規模多機能型居宅介護「こゆらり高輪」等を運営している。
(3) 保育事業
保育事業については、ミアヘルサで認可保育園「ミアヘルサ保育園ひびき」を東京都、神奈川県、千葉県で展開しているほか、2021年10月に子会社化したライフサポートで認可及び認証保育園「ゆらりん保育園」を東京都で展開している。2022年5月末時点の運営数は57園(東京都47園、神奈川県6園、千葉県4園、受託運営含む)となっている。また、ライフサポートで子育てひろば及び保育室12施設を運営しているほか、公設業務委託学童クラブ12施設、都型学童クラブ※施設を運営している。つまり、0歳から小学生までの子どもの包括ケアを実践している。
※公設業務委託学童クラブは自治体事業の業務委託運営のため、初期投資や集客コストなどが不要だが、都型学童クラブは自ら集客活動を行う必要がある。
保育所は、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の2種類に分類され、保育の対象となる園児は、乳児(満1歳未満)と幼児(満1歳から小学校就学前)となる。認可保育所とは、児童福祉法に基づき国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たし、各自治体で認可された施設を指す。1園当たり平均定員数は60~70名程度となる。各自治体は認可保育所の開設にあたって2年ほど前から開設区域を決め、1年前に入札により運営事業者を決定する。運営事業者は、当該自治体エリア内での運営実績を総合的に評価して決められるため、新規参入するのが困難な市場とも言える。
認証保育所とは、東京都が独自に定めた設置基準を満たし、東京都が認定した施設を指す。分類としては、認可外保育施設として位置付けられている。認可保育所との違いは、園児の募集活動を自らが行い保護者と直接契約する点にあり、保護者から一部の保育料等を受領し、残りを自治体から受領する格好となる。認可保育所であれば募集は自治体で行うため、募集費用が掛からないといったメリットがある。このため、同社では認可保育所での展開を進めており、ライフサポートが現在運営している認証保育園10園についても今後、認可基準を満たす取り組みを進め、認可化が難しければ統合等の工夫をしていく方針となっている。
認可保育所のビジネスモデルについて見ると、入園を希望する保護者はまず各自治体に申請し、入園後に自治体に保育料等を支払うことになる。2019年10月からは3~5歳児の利用料が無償化(0~2歳児も住民税非課税世帯は無償化)※となったが、認可保育園はもともとサービス提供の対価として、国や自治体から保育費や補助金等を収入として得ていたため、無償化の影響は軽微となっている。また、保育所を新規開設するにあたって必要となる設備投資の一部について、自治体から補助金が支給されており、自治体によっては施設賃借料の一部を支給するところもある。設備投資に係る補助金については、開園月(4月)の直前(3月)に交付決定される。設備資金の補助金割合は自治体によって異なるがおおむね8割以上の水準となっており、同社は特別利益として計上している。例えば、2022年4月には新規に3園を開設したが、2022年3月期に特別利益として設備等補助金収入443百万円を計上している。
※通園送迎費や食材料費、行事費用は従来通り保護者の負担となっている。
保育事業における同社の強みとして、ミアヘルサが2022年6月時点で運営する36園すべてが認可保育所となっており、園児募集のための営業経費が殆どかからないため、高い収益性を安定して維持できることである。また、認可保育所は認可外保育施設と比較して、人員基準や施設基準が厳しく設定されており、同基準をクリアしていることは、高品質なサービスを提供できているということの裏返しでもある。こうした高品質なサービスを提供できる背景には、同社の教育研修システムがしっかりと機能していることに加えて、保育士の採用に関して強いネットワークを構築している点にある。全国の中途採用者向けフェアに継続的に出展しているほか、専門学校へも定期的に訪問しネットワークを構築してきた。先輩保育士等からのクチコミ等もあり、人材採用難の環境下でも年間50名前後の新卒保育士を安定的に採用でき、かつ高い定着率を実現できていることが収益力の高さにつながっている。直近でM&Aをした2社については保育士の採用難を克服できず、同社がグループ化するきっかけとなっており、今後も保育士の採用力を強みに事業を拡大していく方向である。
(4) その他
その他では食品事業を展開している。主に足立区・葛飾区の公立小中学校約170校に対する給食用食材、及び同区内の保育園・介護施設、その他一般飲食店等に対する食材の卸売りを行っている。また、ライドオンエクスプレスホールディングス<6082>が運営する宅配寿司チェーン「銀のさら」のフランチャイジーとして足立区内に3店舗を展開している。そのほか、2020年4月に足立区と「防災協定」を締結している。この協定は、災害発生時や災害発生が危ぶまれるとき、同社が足立区に対し、食料品や医薬品等の物資の確保と供給、物流支援、避難所の提供に協力していくというもので、地域貢献活動の取り組みの1つとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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