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ギグワークス Research Memo(1):総合通販2社をM&Aでグループ化。既存事業との多様なシナジーが想定される
配信日時:2022/07/22 15:21
配信元:FISCO
■要約
ギグワークス<2375>は、10万人を超える登録ギグワーカーの空いた時間やスキルに合わせて、IT関連の機器サポートやコンタクトセンターなどの多様な業務をマッチングする注目のビジネスモデルで成長する企業である。パソコン初期設定やアンテナ基地局設置、リコール対応、世論調査など毎月約1,000社の依頼企業からのオンデマンド性が高い業務(単発短期業務)に即時対応できるのが同社の強みとなっている。2019年8月にスリープログループ株式会社からギグワークス株式会社に商号変更し、次代に向けてギアチェンジをした。同社の最大の経営資源はヒトであり、女性の活躍や健康経営において先進的で内外からの評価も高い。東京証券取引所(以下、東証)2部に昇格した2015年からはM&Aを積極化し、事業規模を急速に拡大している。2022年4月の東京証券取引所新市場区分ではスタンダード市場に移行し、将来的にはさらに上を目指している。
1. ビジネスモデル
同社のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特長がある。依頼を受ける仕事は多岐にわたり、毎月1,000社以上から仕事を受ける。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在ではIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増えた。IT関連での事例としては、パソコンやタブレットのキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つのが同社の強みである。特に全国規模での短期集中(単発短期、即時対応)の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多く、同社の存在価値を高めている。2021年には、ギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注が直接できるプラットフォーム「GiG Works Basic」を本格稼動し利用者が増えている。創業以来、累計で714万件のマッチングを行い、2022年10月期第2四半期は累計5,310名が稼働した。
2. 業績動向
2022年10月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9.9%減の10,590百万円、営業利益が同72.7%減の229百万円と、大型案件受注により過去最高の業績を記録した前年同期から減収減益となった。オンデマンドエコノミー事業では、前期に実施した大型案件が完了したことや世界的な半導体不足の影響でパソコン等の供給不足が続いており、キッティング業務やフィールドサポート業務が低調に推移した。その一方で、東京都から医療機関案内のコンタクトセンター案件を受注するなど、非対面業務の受注体制は整いつつある。システムソリューション事業は需要が回復期にあり増収となったものの、2022年10月期第2四半期においてはパートナー企業の活用が増えたため、一時的な減益となった。シェアリングエコノミー事業は前年同期比で30%を超える増収の一方、投資が先行し減益となった。
2022年10月期の連結業績は、売上高は前期比13.4%増の24,000百万円、営業利益は同10.6%増の1,000百万円と期初計画を据え置き、過去最高売上と堅実な増益を予想している。主力のオンデマンドエコノミー事業では、世界的な半導体不足によるフィールドサポート業務などへの影響は長引く可能性があるものの、同社の得意とするオンデマンド性の高い案件や、成長市場におけるアウトソース需要の獲得により目標達成を目指す。
3. 成長戦略・トピック
同社は、2022年7月に、(株)悠遊生活と日本直販(株)の総合通販会社2社の全株式を取得し、子会社及び孫会社とした。スキームとしては、同社が悠遊生活を100%子会社として、悠遊生活が日本直販(トランス・コスモス(株)が会社分割で新設)を100%子会社(同社の孫会社)とする。通販事業を一体として運営し、効率化や顧客体験の向上を図る目的で組織を運営する。具体的には、カタログや広告宣伝、仕入れの共通化等によるコスト削減施策が想定される。また、両社を合わせると500万人を超える顧客を有しておりクロスセルの機会は大きい。さらに、既存事業と通販2社のシナジー効果も想定されており、ギグワーカーを活用した「駆けつけサービス」や「デリバリーサービス」を通じ、購入商品の設置設定・組み立て・利用方法説明等のサービス、コールセンターサービスなどを提供する予定である。直近の業績から試算すると、両社合計で約60億円の売上規模が想定される。
4. 株主還元策
同社は、重点分野への積極的な投資等により確固たる競争力を早期に築くことを重要な課題と認識しつつ、同時に株主に対する利益還元についても重要な経営の課題として認識している。2021年10月期は減益とはなったものの、公約どおりの配当金年8円(前期比0.67円増配)を配当した。配当性向37.3%である。2022年10月期の配当予想は年8円(前期と同じ)、配当性向29.2%を予想する。同社は株主還元の1つの指標としてDOE(純資産配当率:配当総額÷純資産)を重視している。2021年10月期のDOEは4.1%である。DOEは配当性向×ROEに分解することができ、DOEを維持・向上する政策は、2021年10月期のようにROEが下がった局面においても配当性向でカバーすることとなり、株主還元の視点では業績下振れの影響が緩和されたと言えるだろう。
■Key Points
・2022年10月期第2四半期は、前期の大型案件完了や半導体不足の影響によるフィールドサポート業務の減少等により減収減益
・2022年10月期は売上高が過去最高の24,000百万円を予想(期初予想通り)。期中のM&Aによりさらなる業績向上が想定される
・総合通販の悠遊生活及び日本直販をM&Aでグループ化。既存事業との多様なシナジーが想定される
・2022年10月期は配当金年8円、配当性向29.2%を予想。DOEも重視した配当政策のため、業績の下振れの影響が緩和される
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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ギグワークス<2375>は、10万人を超える登録ギグワーカーの空いた時間やスキルに合わせて、IT関連の機器サポートやコンタクトセンターなどの多様な業務をマッチングする注目のビジネスモデルで成長する企業である。パソコン初期設定やアンテナ基地局設置、リコール対応、世論調査など毎月約1,000社の依頼企業からのオンデマンド性が高い業務(単発短期業務)に即時対応できるのが同社の強みとなっている。2019年8月にスリープログループ株式会社からギグワークス株式会社に商号変更し、次代に向けてギアチェンジをした。同社の最大の経営資源はヒトであり、女性の活躍や健康経営において先進的で内外からの評価も高い。東京証券取引所(以下、東証)2部に昇格した2015年からはM&Aを積極化し、事業規模を急速に拡大している。2022年4月の東京証券取引所新市場区分ではスタンダード市場に移行し、将来的にはさらに上を目指している。
1. ビジネスモデル
同社のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特長がある。依頼を受ける仕事は多岐にわたり、毎月1,000社以上から仕事を受ける。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在ではIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増えた。IT関連での事例としては、パソコンやタブレットのキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つのが同社の強みである。特に全国規模での短期集中(単発短期、即時対応)の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多く、同社の存在価値を高めている。2021年には、ギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注が直接できるプラットフォーム「GiG Works Basic」を本格稼動し利用者が増えている。創業以来、累計で714万件のマッチングを行い、2022年10月期第2四半期は累計5,310名が稼働した。
2. 業績動向
2022年10月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9.9%減の10,590百万円、営業利益が同72.7%減の229百万円と、大型案件受注により過去最高の業績を記録した前年同期から減収減益となった。オンデマンドエコノミー事業では、前期に実施した大型案件が完了したことや世界的な半導体不足の影響でパソコン等の供給不足が続いており、キッティング業務やフィールドサポート業務が低調に推移した。その一方で、東京都から医療機関案内のコンタクトセンター案件を受注するなど、非対面業務の受注体制は整いつつある。システムソリューション事業は需要が回復期にあり増収となったものの、2022年10月期第2四半期においてはパートナー企業の活用が増えたため、一時的な減益となった。シェアリングエコノミー事業は前年同期比で30%を超える増収の一方、投資が先行し減益となった。
2022年10月期の連結業績は、売上高は前期比13.4%増の24,000百万円、営業利益は同10.6%増の1,000百万円と期初計画を据え置き、過去最高売上と堅実な増益を予想している。主力のオンデマンドエコノミー事業では、世界的な半導体不足によるフィールドサポート業務などへの影響は長引く可能性があるものの、同社の得意とするオンデマンド性の高い案件や、成長市場におけるアウトソース需要の獲得により目標達成を目指す。
3. 成長戦略・トピック
同社は、2022年7月に、(株)悠遊生活と日本直販(株)の総合通販会社2社の全株式を取得し、子会社及び孫会社とした。スキームとしては、同社が悠遊生活を100%子会社として、悠遊生活が日本直販(トランス・コスモス(株)が会社分割で新設)を100%子会社(同社の孫会社)とする。通販事業を一体として運営し、効率化や顧客体験の向上を図る目的で組織を運営する。具体的には、カタログや広告宣伝、仕入れの共通化等によるコスト削減施策が想定される。また、両社を合わせると500万人を超える顧客を有しておりクロスセルの機会は大きい。さらに、既存事業と通販2社のシナジー効果も想定されており、ギグワーカーを活用した「駆けつけサービス」や「デリバリーサービス」を通じ、購入商品の設置設定・組み立て・利用方法説明等のサービス、コールセンターサービスなどを提供する予定である。直近の業績から試算すると、両社合計で約60億円の売上規模が想定される。
4. 株主還元策
同社は、重点分野への積極的な投資等により確固たる競争力を早期に築くことを重要な課題と認識しつつ、同時に株主に対する利益還元についても重要な経営の課題として認識している。2021年10月期は減益とはなったものの、公約どおりの配当金年8円(前期比0.67円増配)を配当した。配当性向37.3%である。2022年10月期の配当予想は年8円(前期と同じ)、配当性向29.2%を予想する。同社は株主還元の1つの指標としてDOE(純資産配当率:配当総額÷純資産)を重視している。2021年10月期のDOEは4.1%である。DOEは配当性向×ROEに分解することができ、DOEを維持・向上する政策は、2021年10月期のようにROEが下がった局面においても配当性向でカバーすることとなり、株主還元の視点では業績下振れの影響が緩和されたと言えるだろう。
■Key Points
・2022年10月期第2四半期は、前期の大型案件完了や半導体不足の影響によるフィールドサポート業務の減少等により減収減益
・2022年10月期は売上高が過去最高の24,000百万円を予想(期初予想通り)。期中のM&Aによりさらなる業績向上が想定される
・総合通販の悠遊生活及び日本直販をM&Aでグループ化。既存事業との多様なシナジーが想定される
・2022年10月期は配当金年8円、配当性向29.2%を予想。DOEも重視した配当政策のため、業績の下振れの影響が緩和される
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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