ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
(内容を追加しました)
[フランクフルト 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は21日、2011年以来となる政策金利の引き上げを決定するとともに、市場安定化に向けた新たな債券買い入れ措置を承認した。
政策金利は0.5%ポイント引き上げた。記録的な物価高を受け、引き上げ幅は前回の理事会で示唆した0.25%ポイントの倍にした。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<ECBのフォワードガイダンスについて>
現行の複合的なフォワードガイダンスは9月にもう適用できない。今後はデータに依存して金融政策を決定する。月ごとに一歩一歩運営していく。
<50bp利上げについて>
われわれは議論し、メリットとデメリットを検討し、協議の最後には全ての理事メンバーが50bpというコンセンサスに結集した。
<50bp利上げの理由>
われわれは7月に25bpの利上げを堅持することのメリットとデメリットについて理事会内で議論した。これは9月に関してわれわれが提示した他のフォワードガイダンスを必然的に伴うもので、これら2つがパッケージであることは明らかだ。マイナス金利からの脱却に向けてより大きな一歩を踏み出すことが適切であると、あらゆる点から見て判断した。
これら2つの要素に加え、インフレ上振れリスクの実現性、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での柔軟な再投資の存在とその運用性、伝達保護措置(TPI=Transmission Protection Instrument)」に対する理事会の満場一致の支持を受け、今回の会合では示唆されていた以上の大幅な利上げを決定するに至った。
<物価目標への回帰>
今後、新たな混乱がなければ、エネルギーコストは安定し、供給のボトルネックは緩和されるはずだ。これは進行中の金融政策正常化とともに、インフレ率の目標回帰を支えるだろう。
<インフレ率に関する詳細>
インフレ見通しに対するリスクは依然として上向きであり、特に短期的に強まっている。
<インフレ率は好ましくないほど高水準>
価格が連鎖する中で、エネルギー価格および食品価格からの継続的な圧力とパイプラインからの圧力を背景にインフレは当面、好ましくないほど高水準にとどまると予想している。インフレ圧力の高まりはユーロの下落からも生じている。
<物価上昇圧力の広がり>
物価上昇圧力はより幅広い部門に広がっている。高エネルギーコストの間接的な影響が経済全体に及んでいることが一因だ。
<堅調な労働市場>
経済活動は、経済再開や堅調な労働市場、財政政策による支援から引き続き恩恵を受けている。とりわけ経済の全面的な再開は、サービス部門の支出を支えている。
<観光業は第3・四半期経済押し上げへ>
旅行の再開に伴い、観光業は第3・四半期に経済を支援する見通しだ。
<ボトルネックの緩和>
企業は依然としてコスト拡大やサプライチェーンの混乱に直面しているが、供給のボトルネックの一部が緩和されつつある兆候が存在する。
<見通しは不透明>
総じて2022年下期以降の見通しは極めて不透明。
<経済活動は減速>
経済活動は減速している。ロシアによる不当なウクライナ侵攻は継続的に成長の足かせとなっている。高インフレが購買力に与える影響や継続的な供給制約、不確実性の高まりが、経済にマイナスの影響を及ぼしている。