ランチタイムコメント

日経平均は大幅続伸、相場一段高に必要なシナリオとは?

配信日時:2022/07/08 12:09 配信元:FISCO
 日経平均は大幅続伸。379.29円高の26869.82円(出来高概算6億3235万株)で前場の取引を終えている。

 7日の米株式市場でダウ平均は346.87ドル高(+1.11%)と続伸。中国が景気対策を検討しているとの報道を受け、世界経済への悲観的見方が後退。韓国の半導体メーカー、サムスン電子の好調な決算を受けてハイテク機器の需要鈍化懸念が後退したことも相場を支援。加えて、連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事やセントルイス連銀のブラード総裁が7月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ptの利上げを支持すると同時に経済の強さを強調し、ソフトランディングを基本シナリオと主張したことも投資家心理を改善させた。主要株価指数は引けにかけて一段と上昇し、ナスダック総合指数は+2.28%と大幅に4日続伸した。

 米株高を受けて日経平均は133.32円高からスタート。朝方は上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りが意識され、こう着感の強い状態が続いていた。しかし、26600円前後での底堅さが確認されると、需給イベント通過後のあく抜けを意識してか売り方の買い戻しが入ったとみられ、断続的にレンジを切り上げる展開となった。なお、7月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は概算値で 26659.58円だった。

 個別では、商船三井<9104>を筆頭に海運株が急伸。大阪チタ<5726>は急騰。原油価格の反発でINPEX<1605>が大幅に上昇し、住友鉱<5713>は急反発。三菱商事<8058>、日本製鉄<5401>などの商社、鉄鋼も総じて強い。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)
が+4.48%となったことでアドバンテスト<6857>などの半導体関連のほか、新光電工<6967>、村田製<6981>、TDK<6762>などの電子部品株も高い。上半期上振れ決算や自社株買いが好感された大有機化<4187>は連日で急伸し、東証プライム市場の値上がり率トップとなった。ほか、決算が評価されたところでUSENNEX<9418>が急伸、OSG<6136>が大幅高。デンソー<6902>はレーティング格上げが観測され上伸。ほか、マネーフォワード<3994>やSansan<4443>など中小型グロース(成長)株も高い。

 一方、エムスリー<2413>、メドピア<6095>などグロース株の一角が下落。ヤクルト<
2267>、第一三共<4568>、花王<4452>、山崎パン<2212>などディフェンシブ系の銘柄が軟調。SHIFT<3697>は計画通りの順調な決算ながらも3-5月期の増益率鈍化が嫌気されたか、利益確定売りが膨らみ急落。第1四半期が低調なスタートと捉えられた4℃ HD<8008>、第1四半期好決算も6月月次動向が嫌気されたオンワードHD<8016>は大幅下落。ほか、キユーピー<2809>、久光製薬<4530>が決算を受けて売られている。

 セクターでは海運、非鉄金属、鉱業を筆頭にほぼ全面高。食料品のみが下落となっている。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の86%、対して値下がり銘柄は11%
となっている。

 前日の欧米株式市場が大きく上昇し、国内でも需給イベントへの警戒感が後退するなか、買いに弾みがつき、日経平均は午前からレンジを断続的に切り上げる強い展開となった。

 今晩の米6月雇用統計を前に様子見ムードも広がりやすいところだが、米10年債利回りの落ち着いた動きやナスダックの4日続伸劇を追い風に、短期的に傾き過ぎた悲観の揺り戻しが起きているようだ。雇用統計については、雇用者数が予想を大幅に下回るようなことがなく、平均賃金の伸びが予想並みにとどまれば、景気後退懸念とインフレ懸念が同時に緩和することとなり、その場合には相場は一段と上値を試すことになりそうだ。

 先週末に発表された米6月ISM製造業景気指数では新規受注の50割れがネガティブな事として話題になった。ただ一方で、60台後半で続いていた入荷遅延は57.3までに大きく低下し、価格も依然として高い水準とはいえ、80台半ばでの推移から70台後半にまで低下した。ニューヨーク連銀のサプライチェーン圧力指数にもピークアウト感が見られつつあり、少なくとも財・モノに関するインフレ圧力はかなり後退してきている様子。

 モノから移行してきた新たなインフレ主要因されるサービス分野については、まだインフレ沈静化の兆しが見られておらず、油断はならない。しかし、雇用統計で平均賃金の伸びが予想を下回れば、サービス分野でのインフレ抑制の目処も見えてくると捉えられ、足元でリバウンドを強めている相場が一段と上値を試す展開はあり得よう。

 いま、市場が期待しているのは上述した話が実現したうえで、7月のFOMCでは最後の0.75ptの利上げが行われ、同時に9月は0.5pt、その後は0.25ptが有力とする利上げ幅のペースの鈍化、そうしたFRBの超タカ派からタカ派への移行シナリオだろう。

 すでに高官発言などを受けて上述した利上げペースのシナリオは織り込まれているため、7月のFOMCでこうした道筋が示されれば、相場の底入れはより確実なものになってきそうだ。

 ただ、その前にはいくつかの関門が立ちはだかっている。今晩の米6月雇用統計もそうだが、来週13日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回るようなことがあると、上述した期待シナリオは消失してしまう。また、来週からは米国で金融大手を皮切りに4-6月期決算が始まる。今回の企業決算シーズンが景気後退懸念をより強めてしまうのか、それとも大きく後退させてくれるものになるのかという点も大きく相場を左右してこよう。

 後場の日経平均はアジア市況がしっかりとした動きのなか、堅調推移が続きそうだ。雇用統計前に持ち高調整が入ることも想定されるが、中国では財政省が地方政府に対して7-12月に1兆5000億元(約30兆円)相当の特別債発行を許可する方針と伝わるなど、景気浮揚策に関する報道が相次いでいる。中国での新型コロナ感染再拡大は懸念材料としてくすぶるものの、同国での景況感回復期待が相場の下支え要因として働くことに期待したい。
(仲村幸浩)
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