注目トピックス 日本株
ナック Research Memo(8):財務面は引き続き良好
配信日時:2022/07/07 16:18
配信元:FISCO
■ナック<9788>の業績動向
2. 財務状況
2022年3月期末の財務面に関しては、良好な状態が続いている。資産合計は39,724百万円となり、前期末比1,123百万円減少した。これは販売用不動産が482百万円、受取手形及び売掛金が430百万円増加した一方で、現金及び預金が2,001百万円減少したことによる。
一方、負債合計は17,585百万円となり、前期末比1,906百万円減少した。これは短期借入金が1,300百万円減少したことが大きい。純資産合計は、22,138百万円となり、前期末比782百万円増加した。有利子負債の圧縮は、今後の金融情勢を考えると注目すべき項目となる。2022年6月の時点で日本銀行は超金融緩和政策の継続を示しており、低金利によって利子負担は軽減されたままの状態が続いているが、それもいつまで続くか現状では保証されるものではない。今後を展望した場合、各企業とも金融引き締めを前にした有利子負債の圧縮が課題になると見られ、同社もこのまま減る傾向となるか注目されそうだ。
負債の減少などによって、2022年3月期末の自己資本比率は55.5%となり、前期末の52.1%から3.4ポイント改善した。
キャッシュ・フローに関しては、現金及び現金同等物残高は、前期末比2,001百万円減少し、12,187百万円となった。注目すべき項目は財務活動によるキャッシュ・フローで、財務活動により支出した資金は、3,743百万円となったことだ。これは短期借入金の減少1,300百万円、長期借入金の減少1,168百万円、配当金の支払額991百万円等が要因となったが、ここでも有利子負債の減少が目を引く。
今後もケアサービス部門の拡大を目指す
3. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績見通しは、売上高が60,000百万円(前期比9.2%増)、営業利益が3,000百万円(同8.7%増)、経常利益が3,000百万円(同7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同17.1%増)と増収増益を見込んでいる。
引き続きコロナ禍による影響が気になりながらも、ワクチン職域接種会場運営のように、コロナ禍を背景にビジネスチャンスが大きくなった分野もあり、今後はこうした分野で獲得した顧客に、別の関連商品・サービスを働きかけていく営業戦略を進めることがポイントとなるだろう。また、アフターコロナにおいても、クリクラ事業における次亜塩素酸水溶液「ZiACO」や、レンタル事業における除菌液や空気清浄機などの感染予防製品に対するニーズは一定程度残ることを想定している。利益面では、営業活動の強化を重要な課題としているため、営業スタッフの増加による人件費・販促費などを顧客獲得に向け積極的に投入する方針だ。こうした人材への投資は利益を圧迫する要因となるが、将来的な成長のために不可欠なコストと言える。
(1) クリクラ事業
クリクラ事業は、炭酸水が飲めるマルチサーバーや価格訴求型の浄水サーバーをはじめとする新商品・新サービスの提供を行うことに加え、環境・社会貢献といったサステナビリティ戦略による差別化を進めていく方針だ。また、土日定休の廃止等も含め新たな顧客層へ積極的にアプローチしていくとともに、原材料費や物流費の高騰に伴う価格改定も検討していくとしている。「ZiACO」もひと頃に比べて単価は落ちているものの、引き合いが活発化し顧客は増加傾向にあることから、さらなる成長が期待できそうだ。
(2) レンタル事業
レンタル事業は、ダスキン事業において、対面で顧客接点を持つことを重視する同社グループの原点に立ち戻って、アフターコロナに求められる商品やサービスの提供により顧客生涯価値であるライフタイムバリューの追求に取り組んでいく方針だ。また、ダスキンとの資本業務提携契約に基づくケアサービス部門、ヘルスレント部門でのさらなる出店で、首都圏や政令指定都市におけるサービス網の拡大に努める。特に、ケアサービスに関しては高齢化の進展やテレワークの浸透でニーズが年を追うごとに拡大することから、収益に大きく貢献していきそうだ。ウィズ事業においては、主要顧客の飲食店業界がコロナ禍の影響を大きく受けるなか、組織体制の強化、営業活動の効率化を着実に実施していくほか、停止していた代理店の開拓にも力を入れる。4年ぶりに出店増加に転じる外食産業の顧客獲得に注力し、早期の業績回復を目指す。アーネストでは、引き続き水際対策による空港検疫施設やワクチンの職域接種会場の運営など、エリア拡大も視野に入れて国策事業の獲得に注力する方針だ。
(3) 建築コンサルティング事業
建築コンサルティング事業は、中期経営計画施策を実行していくとともに、ノウハウ販売部門においては会員工務店向け研修の充実や無料会員制度の導入による顧客接点を強化していく。また、営業プロセスでのBPOの実施やSDGsの切り口も活用することで、幅広い営業活動を展開していく。ナックスマートエネルギーでは、脱炭素社会実現に向けた国や自治体の各種施策を追い風に、住宅市場向けの顧客をメインターゲットに業容を拡大していく。エースホームでは、加盟店支援の強化、同社との協働による新サポートサービスの試行を行い、収益力の向上を目指すとしている。
(4) 住宅事業
住宅事業は、ジェイウッドにおいて、移動モデルハウスによるブランド認知向上やWeb対策、紹介獲得のための各種施策を実行し推進する。KUNIMOKU HOUSE事業においては、廉価型の企画住宅や駅近を志向する顧客向けに狭小地3階建てプランを展開することで新たな層の取り込みを進める。また、ケイディアイでは、主たる営業地域である首都圏におけるエリアの拡大を図るとともに、注文住宅事業や中古マンションのリフォーム再販事業を展開する方針だ。
(5) 美容・健康事業
美容・健康事業では、JIMOSにおいて、リベンジ消費を確実に捉えるための広告活動を展開し、各ブランドにおける新規顧客獲得を進めるとともに新商品開発を行う。また、前期に販売を開始したブランド「SINNPURETE(シンピュルテ)」では、積極的な投資の実施によりブランド認知向上や新規顧客獲得を進める。ベルエアーでは、販路拡大を目的とする販売形態の多様化を進展させ、併せて代理店制度への業態転換を進める。トレミーでは、主力のOEM事業を伸長させる一方で、レディメイド式のODM提案を積極展開することで市場環境の変化に柔軟に対応し、グループ内各社との垂直連携を強化することによるメリットの最大化を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<EY>
2. 財務状況
2022年3月期末の財務面に関しては、良好な状態が続いている。資産合計は39,724百万円となり、前期末比1,123百万円減少した。これは販売用不動産が482百万円、受取手形及び売掛金が430百万円増加した一方で、現金及び預金が2,001百万円減少したことによる。
一方、負債合計は17,585百万円となり、前期末比1,906百万円減少した。これは短期借入金が1,300百万円減少したことが大きい。純資産合計は、22,138百万円となり、前期末比782百万円増加した。有利子負債の圧縮は、今後の金融情勢を考えると注目すべき項目となる。2022年6月の時点で日本銀行は超金融緩和政策の継続を示しており、低金利によって利子負担は軽減されたままの状態が続いているが、それもいつまで続くか現状では保証されるものではない。今後を展望した場合、各企業とも金融引き締めを前にした有利子負債の圧縮が課題になると見られ、同社もこのまま減る傾向となるか注目されそうだ。
負債の減少などによって、2022年3月期末の自己資本比率は55.5%となり、前期末の52.1%から3.4ポイント改善した。
キャッシュ・フローに関しては、現金及び現金同等物残高は、前期末比2,001百万円減少し、12,187百万円となった。注目すべき項目は財務活動によるキャッシュ・フローで、財務活動により支出した資金は、3,743百万円となったことだ。これは短期借入金の減少1,300百万円、長期借入金の減少1,168百万円、配当金の支払額991百万円等が要因となったが、ここでも有利子負債の減少が目を引く。
今後もケアサービス部門の拡大を目指す
3. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績見通しは、売上高が60,000百万円(前期比9.2%増)、営業利益が3,000百万円(同8.7%増)、経常利益が3,000百万円(同7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同17.1%増)と増収増益を見込んでいる。
引き続きコロナ禍による影響が気になりながらも、ワクチン職域接種会場運営のように、コロナ禍を背景にビジネスチャンスが大きくなった分野もあり、今後はこうした分野で獲得した顧客に、別の関連商品・サービスを働きかけていく営業戦略を進めることがポイントとなるだろう。また、アフターコロナにおいても、クリクラ事業における次亜塩素酸水溶液「ZiACO」や、レンタル事業における除菌液や空気清浄機などの感染予防製品に対するニーズは一定程度残ることを想定している。利益面では、営業活動の強化を重要な課題としているため、営業スタッフの増加による人件費・販促費などを顧客獲得に向け積極的に投入する方針だ。こうした人材への投資は利益を圧迫する要因となるが、将来的な成長のために不可欠なコストと言える。
(1) クリクラ事業
クリクラ事業は、炭酸水が飲めるマルチサーバーや価格訴求型の浄水サーバーをはじめとする新商品・新サービスの提供を行うことに加え、環境・社会貢献といったサステナビリティ戦略による差別化を進めていく方針だ。また、土日定休の廃止等も含め新たな顧客層へ積極的にアプローチしていくとともに、原材料費や物流費の高騰に伴う価格改定も検討していくとしている。「ZiACO」もひと頃に比べて単価は落ちているものの、引き合いが活発化し顧客は増加傾向にあることから、さらなる成長が期待できそうだ。
(2) レンタル事業
レンタル事業は、ダスキン事業において、対面で顧客接点を持つことを重視する同社グループの原点に立ち戻って、アフターコロナに求められる商品やサービスの提供により顧客生涯価値であるライフタイムバリューの追求に取り組んでいく方針だ。また、ダスキンとの資本業務提携契約に基づくケアサービス部門、ヘルスレント部門でのさらなる出店で、首都圏や政令指定都市におけるサービス網の拡大に努める。特に、ケアサービスに関しては高齢化の進展やテレワークの浸透でニーズが年を追うごとに拡大することから、収益に大きく貢献していきそうだ。ウィズ事業においては、主要顧客の飲食店業界がコロナ禍の影響を大きく受けるなか、組織体制の強化、営業活動の効率化を着実に実施していくほか、停止していた代理店の開拓にも力を入れる。4年ぶりに出店増加に転じる外食産業の顧客獲得に注力し、早期の業績回復を目指す。アーネストでは、引き続き水際対策による空港検疫施設やワクチンの職域接種会場の運営など、エリア拡大も視野に入れて国策事業の獲得に注力する方針だ。
(3) 建築コンサルティング事業
建築コンサルティング事業は、中期経営計画施策を実行していくとともに、ノウハウ販売部門においては会員工務店向け研修の充実や無料会員制度の導入による顧客接点を強化していく。また、営業プロセスでのBPOの実施やSDGsの切り口も活用することで、幅広い営業活動を展開していく。ナックスマートエネルギーでは、脱炭素社会実現に向けた国や自治体の各種施策を追い風に、住宅市場向けの顧客をメインターゲットに業容を拡大していく。エースホームでは、加盟店支援の強化、同社との協働による新サポートサービスの試行を行い、収益力の向上を目指すとしている。
(4) 住宅事業
住宅事業は、ジェイウッドにおいて、移動モデルハウスによるブランド認知向上やWeb対策、紹介獲得のための各種施策を実行し推進する。KUNIMOKU HOUSE事業においては、廉価型の企画住宅や駅近を志向する顧客向けに狭小地3階建てプランを展開することで新たな層の取り込みを進める。また、ケイディアイでは、主たる営業地域である首都圏におけるエリアの拡大を図るとともに、注文住宅事業や中古マンションのリフォーム再販事業を展開する方針だ。
(5) 美容・健康事業
美容・健康事業では、JIMOSにおいて、リベンジ消費を確実に捉えるための広告活動を展開し、各ブランドにおける新規顧客獲得を進めるとともに新商品開発を行う。また、前期に販売を開始したブランド「SINNPURETE(シンピュルテ)」では、積極的な投資の実施によりブランド認知向上や新規顧客獲得を進める。ベルエアーでは、販路拡大を目的とする販売形態の多様化を進展させ、併せて代理店制度への業態転換を進める。トレミーでは、主力のOEM事業を伸長させる一方で、レディメイド式のODM提案を積極展開することで市場環境の変化に柔軟に対応し、グループ内各社との垂直連携を強化することによるメリットの最大化を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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