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ナック Research Memo(4):建築コンサルティング事業はコンサルティング、省エネ商材の施工・販売などを行う
配信日時:2022/07/07 16:14
配信元:FISCO
■ナック<9788>の事業概要
(3) 建築コンサルティング事業
地場工務店向けにコンサルティングを行うコンサルティング部門、ナックスマートエネルギー(株)による太陽光発電システムを中心とした省エネ関連部資材の施工・販売事業、エースホーム(株)による住宅フランチャイズ事業の3本の柱で構成されているセグメントである。
コンサルティング部門においては工務店支援ビジネスを展開している。「住まいを通じ豊かな未来を創造する」をミッションとして、事業部設立以来、時代に先駆けた価値創造に挑戦している。具体的には経営戦略をはじめ、コスト削減や商品開発、営業手法などの経営支援ノウハウをパッケージにして提供し、地場の工務店が抱える諸問題の解決を手助けしてきた。たとえば、ある地域で優れた経営手法が取られた例があれば、そのノウハウをパッケージ化し、別の地域の工務店に提供することができる。そうした積み重ねにより、既に全国7,000社以上の企業に同社のソリューションが導入された。これまではノウハウの売り切りが多かったものの、次第にサービスを継続的に提案するスタイルに転じている。たとえば月額サービスであるプレミアムサービス会員制度におけるサービスメニューの拡充がその好例だろう。また、併せて顧客接点強化のため、無料会員制度の導入や既存の会員工務店向けの研修強化に向けた取り組みを進めている。競合する企業が少ないこともあり、このビジネスは安定的な収益源となっている。
建設業界はほかの業界と同様、小規模事業者において後継者難によって廃業するケースが目立つが、世代交代して事業を継続する工務店も数多く存在する。こうしたケースこそ、同社の建築コンサルティング事業の出番だ。社長となったばかりの後継者にノウハウを伝えるほか、代替わりする前に利益を生む体制に変えてから次代に継がせたいというニーズもあると言う。そのため、工務店の代替わりは大きなビジネスチャンスとなる。さらに、SDGsの流れもビジネスチャンスとなっている。小さな工務店であっても、今後は経営を進めるなかでSDGsは無視できない存在となりそうだ。同社は既に地場工務店向けにSDGsに対応したパッケージも開発しており、こうした時代の変化もしっかり読み込み、ビジネスにつなげている。
エースホームのビジネスにおける一番の土台は「安心・安全」だ。家族を“守る”ことを住まいづくりの根底として、「ACEHOME」「HUCK」各ブランドの住宅フランチャイズ運営に加えて、建築コンサルティング事業部と共同開発した「Arie」で会員工務店のサポートを行っている。エースホームが掲げる新たなコンセプトは「これからの住宅が備えるべき基本性能に、暮らしの楽しさ・自分らしさをプラス」──注文住宅を建てた後も家族が笑顔で暮らせる、「Mi’Like(ミライク)」(育:健康・安全に子供を育てる、行く:未来に向かって長く住める、like:自分らしく)な家づくりを目指すという。
ナックスマートエネルギー(株)は、太陽光発電システム・蓄電池などのスマートエネルギー商材を通じて「環境に配慮した住まい」と「経済的メリットのある住まい」を提案している。ここではメインとなる太陽光発電、蓄電池のほか、従来の給湯器と比べてランニングコストが格段に安いエコキュート、IHクッキングヒーター、家庭内のエネルギーの使用状況を管理するHEMS(Home Energy Management Systemの略)などを手掛けている。このような商品販売や工事、サービスだけにとどまらず、「もっと売り上げを増やしたい」「太陽光や蓄電池を販売したいけどノウハウがない」といった事業者に対して、ビルダー向けのサービスも提供する。太陽光発電に関するビジネスを中心に、スマートエネルギーに関するビジネスを幅広く展開している。
太陽光発電は太陽の光エネルギーを住宅の屋根などに設置した太陽電池モジュールで受け、電気に変換して家庭に供給するシステムである。また、蓄電池は万一の停電時にも安心感を与える機材である。昨今では電力不足が強調され停電発生の注意が呼びかけられており、また災害時の備えとしても必需品として消費者における認知が進んでいる。同社の太陽光発電はパネルを供給するだけではなく、設計から施工までを一貫して行う自社施工で、その点で発注者に安心感を与えることができる。
将来的にカーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電がキーポイントの1つになりそうだ。2022年6月、小池東京都知事が一戸建て住宅を含む新築建築物太陽光発電の設置義務化を都内の建設物件に関して示唆するなど、今後は住宅用の太陽光発電設備は一段とニーズが高まる可能性がある。そうした場合、パネル販売のみならず工事の施工実績が豊富でこの分野でノウハウがある同社は、ビジネスで追い風を受けることになりそうだ。ただし建築コンサルティング事業のセグメントは、いずれも住宅市場に関連するビジネスであり、住宅市況の影響を一定程度受けると言える。
2022年3月期セグメント別の売上構成比は13.6%、売上高営業利益率は11.7%となっている。
(4) 住宅事業
同社において、近年で大きな変動があった事業である。長く同事業の中核を成していたレオハウスを2020年5月に旧 ヤマダ電機へ譲渡した。さらに2021年3月期にsuzukuriを建築コンサルティング事業へとセグメント変更し、コンテンツビジネスへの業態転換を行った。また、2021年4月1日を効力発生日として(株)ジェイウッドが(株)国木ハウスを吸収合併し、(株)ケイディアイを含む2社を中心に事業を行っている(国木ハウスの事業はジェイウッドにて「KUNIMOKU HOUSE」ブランドとして継承した)。
ジェイウッドでは「長く愛され続ける家づくり」をコンセプトに本物の木の家を提案している。「KUNIMOKU HOUSE」ブランドでは、駅近を志向する顧客など新たな顧客層へのアプローチに注力している。ケイディアイは首都圏を中心に分譲住宅で2,000棟以上の実績を持っている。そこでは、首都圏の厳しい法規制に対応しつつ、自由設計により敷地条件を最大限に活用し、高性能かつデザイン性にも優れた快適な暮らしを提案している。
住宅事業は、コロナ禍によって大きな影響を受けた業界の1つだ。住宅の営業は通常モデルハウスで集客して、顧客が購買するかどうかを判断する。それゆえに、購買層をいかにモデルルームに呼ぶかがビジネスを進めるうえで重要となっていた。ところがコロナ禍の影響によりその様相が一変している。感染防止の観点から、外出自粛措置などによって客足が途絶え、モデルルームを軸としたビジネスが一時的に成り立たなくなってしまったのである。そこで同社では新しい時代の営業手法として、Web個別相談会なども営業ツールの1つとして活用している。
事業構造に関しては、レオハウスが住宅事業の売上の約75%を占めていたため、同事業の売上全体に占める構成比は大幅に縮小した。レオハウスは長年損失計上が続いていたが、譲渡したことにより住宅事業のみならず全体の収益構造は一変し、早くも2021年3月期から譲渡した効果が表れた。今後の住宅事業は、引き続き持ち味を生かして顧客の獲得を推進していくとしている。
住宅事業の2022年3月期セグメント別の売上構成比は19.4%、売上高営業利益率は2.2%となり前期の0.7%から改善した。以前は損失が続いていたが、現在は黒字体質が定着しつつある。構造変化によってグループ全体の収益にマイナスから利益貢献するセグメントに変化した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<EY>
(3) 建築コンサルティング事業
地場工務店向けにコンサルティングを行うコンサルティング部門、ナックスマートエネルギー(株)による太陽光発電システムを中心とした省エネ関連部資材の施工・販売事業、エースホーム(株)による住宅フランチャイズ事業の3本の柱で構成されているセグメントである。
コンサルティング部門においては工務店支援ビジネスを展開している。「住まいを通じ豊かな未来を創造する」をミッションとして、事業部設立以来、時代に先駆けた価値創造に挑戦している。具体的には経営戦略をはじめ、コスト削減や商品開発、営業手法などの経営支援ノウハウをパッケージにして提供し、地場の工務店が抱える諸問題の解決を手助けしてきた。たとえば、ある地域で優れた経営手法が取られた例があれば、そのノウハウをパッケージ化し、別の地域の工務店に提供することができる。そうした積み重ねにより、既に全国7,000社以上の企業に同社のソリューションが導入された。これまではノウハウの売り切りが多かったものの、次第にサービスを継続的に提案するスタイルに転じている。たとえば月額サービスであるプレミアムサービス会員制度におけるサービスメニューの拡充がその好例だろう。また、併せて顧客接点強化のため、無料会員制度の導入や既存の会員工務店向けの研修強化に向けた取り組みを進めている。競合する企業が少ないこともあり、このビジネスは安定的な収益源となっている。
建設業界はほかの業界と同様、小規模事業者において後継者難によって廃業するケースが目立つが、世代交代して事業を継続する工務店も数多く存在する。こうしたケースこそ、同社の建築コンサルティング事業の出番だ。社長となったばかりの後継者にノウハウを伝えるほか、代替わりする前に利益を生む体制に変えてから次代に継がせたいというニーズもあると言う。そのため、工務店の代替わりは大きなビジネスチャンスとなる。さらに、SDGsの流れもビジネスチャンスとなっている。小さな工務店であっても、今後は経営を進めるなかでSDGsは無視できない存在となりそうだ。同社は既に地場工務店向けにSDGsに対応したパッケージも開発しており、こうした時代の変化もしっかり読み込み、ビジネスにつなげている。
エースホームのビジネスにおける一番の土台は「安心・安全」だ。家族を“守る”ことを住まいづくりの根底として、「ACEHOME」「HUCK」各ブランドの住宅フランチャイズ運営に加えて、建築コンサルティング事業部と共同開発した「Arie」で会員工務店のサポートを行っている。エースホームが掲げる新たなコンセプトは「これからの住宅が備えるべき基本性能に、暮らしの楽しさ・自分らしさをプラス」──注文住宅を建てた後も家族が笑顔で暮らせる、「Mi’Like(ミライク)」(育:健康・安全に子供を育てる、行く:未来に向かって長く住める、like:自分らしく)な家づくりを目指すという。
ナックスマートエネルギー(株)は、太陽光発電システム・蓄電池などのスマートエネルギー商材を通じて「環境に配慮した住まい」と「経済的メリットのある住まい」を提案している。ここではメインとなる太陽光発電、蓄電池のほか、従来の給湯器と比べてランニングコストが格段に安いエコキュート、IHクッキングヒーター、家庭内のエネルギーの使用状況を管理するHEMS(Home Energy Management Systemの略)などを手掛けている。このような商品販売や工事、サービスだけにとどまらず、「もっと売り上げを増やしたい」「太陽光や蓄電池を販売したいけどノウハウがない」といった事業者に対して、ビルダー向けのサービスも提供する。太陽光発電に関するビジネスを中心に、スマートエネルギーに関するビジネスを幅広く展開している。
太陽光発電は太陽の光エネルギーを住宅の屋根などに設置した太陽電池モジュールで受け、電気に変換して家庭に供給するシステムである。また、蓄電池は万一の停電時にも安心感を与える機材である。昨今では電力不足が強調され停電発生の注意が呼びかけられており、また災害時の備えとしても必需品として消費者における認知が進んでいる。同社の太陽光発電はパネルを供給するだけではなく、設計から施工までを一貫して行う自社施工で、その点で発注者に安心感を与えることができる。
将来的にカーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電がキーポイントの1つになりそうだ。2022年6月、小池東京都知事が一戸建て住宅を含む新築建築物太陽光発電の設置義務化を都内の建設物件に関して示唆するなど、今後は住宅用の太陽光発電設備は一段とニーズが高まる可能性がある。そうした場合、パネル販売のみならず工事の施工実績が豊富でこの分野でノウハウがある同社は、ビジネスで追い風を受けることになりそうだ。ただし建築コンサルティング事業のセグメントは、いずれも住宅市場に関連するビジネスであり、住宅市況の影響を一定程度受けると言える。
2022年3月期セグメント別の売上構成比は13.6%、売上高営業利益率は11.7%となっている。
(4) 住宅事業
同社において、近年で大きな変動があった事業である。長く同事業の中核を成していたレオハウスを2020年5月に旧 ヤマダ電機へ譲渡した。さらに2021年3月期にsuzukuriを建築コンサルティング事業へとセグメント変更し、コンテンツビジネスへの業態転換を行った。また、2021年4月1日を効力発生日として(株)ジェイウッドが(株)国木ハウスを吸収合併し、(株)ケイディアイを含む2社を中心に事業を行っている(国木ハウスの事業はジェイウッドにて「KUNIMOKU HOUSE」ブランドとして継承した)。
ジェイウッドでは「長く愛され続ける家づくり」をコンセプトに本物の木の家を提案している。「KUNIMOKU HOUSE」ブランドでは、駅近を志向する顧客など新たな顧客層へのアプローチに注力している。ケイディアイは首都圏を中心に分譲住宅で2,000棟以上の実績を持っている。そこでは、首都圏の厳しい法規制に対応しつつ、自由設計により敷地条件を最大限に活用し、高性能かつデザイン性にも優れた快適な暮らしを提案している。
住宅事業は、コロナ禍によって大きな影響を受けた業界の1つだ。住宅の営業は通常モデルハウスで集客して、顧客が購買するかどうかを判断する。それゆえに、購買層をいかにモデルルームに呼ぶかがビジネスを進めるうえで重要となっていた。ところがコロナ禍の影響によりその様相が一変している。感染防止の観点から、外出自粛措置などによって客足が途絶え、モデルルームを軸としたビジネスが一時的に成り立たなくなってしまったのである。そこで同社では新しい時代の営業手法として、Web個別相談会なども営業ツールの1つとして活用している。
事業構造に関しては、レオハウスが住宅事業の売上の約75%を占めていたため、同事業の売上全体に占める構成比は大幅に縮小した。レオハウスは長年損失計上が続いていたが、譲渡したことにより住宅事業のみならず全体の収益構造は一変し、早くも2021年3月期から譲渡した効果が表れた。今後の住宅事業は、引き続き持ち味を生かして顧客の獲得を推進していくとしている。
住宅事業の2022年3月期セグメント別の売上構成比は19.4%、売上高営業利益率は2.2%となり前期の0.7%から改善した。以前は損失が続いていたが、現在は黒字体質が定着しつつある。構造変化によってグループ全体の収益にマイナスから利益貢献するセグメントに変化した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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