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ダイナムジャパンHD Research Memo(8):スマートパチスロ・パチンコ機の導入開始でシェア拡大が進む可能性
配信日時:2022/07/05 16:08
配信元:FISCO
■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の今後の成長戦略
1. 市場動向
パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2021」によれば、2020年のパチンコ・パチスロ参加人口は、コロナ禍の影響もあって前年比20%減の710万人、市場規模(貸玉料)で同27%減の14.6兆円と縮小した。
こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数減少傾向も続いており、2021年末の店舗数は前年末比6.4%減の8,458店と26年連続の減少となった(警察庁「令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より)。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比3.9%減の2,338千台、パチスロ機が同6.1%減の1,475千台といずれも減少傾向が続いている。
2022年1月末の旧規則機撤去期限を越えたことでひとまず閉店のピークは過ぎたと思われるが、それでも経営体力の脆弱な中小規模のホールについては厳しい環境が続くと弊社では見ている。2022年11月以降に予定されているスマートパチスロやスマートパチンコなど新たな形態の遊技機の導入が契機となる。これらの機種はゲーム性が従来機種より向上している可能性が高く、これらを導入することで集客力の向上が見込まれるが、資金力のないホールでは積極的な投資が行えず、結果的に集客力がさらに低下してしまいかねないためだ。
ここ数年は1店舗当たりのパチンコ・パチスロ機の設置台数の上昇傾向が続いており、2021年末は451台と前年末から8台増となっている。これは中小ホールの淘汰が進んでいることを意味している。ちなみに、ダイナムの2022年3月末時点における1店舗当たりパチンコ・パチスロ機の設置台数は470台と業界平均をやや上回っている。スマートパチスロ等の導入によってさらに大手資本の集約化が進むことになれば、同社にとってはシェア拡大の好機になるとも言え、今後の動向に注目したい。
2. 成長戦略
同社はパチンコ事業における成長戦略として、「多店舗展開」「低貸玉営業」「商品開発」「データドリブン」「コストマネジメント」の5つをテーマに今後も取り組んでいく方針だ。
(1) 多店舗展開
コロナ禍の影響が長引きパチンコホールの淘汰が進むなか、同社も当面は既存店舗の収益確保を最優先に取り組んでいく方針となっている。とは言え、2023年3月期は新規出店も2期ぶりに再開するなど、収益が見込める立地であれば出店も進めていくことにしている。出店については居抜き物件の購入やM&Aなどでコストを抑えながら展開していくものと見られる。M&Aの対象物件の条件としては、遊技機の設置台数で400~500台と中規模クラスの店舗であること、近隣にグループ店舗がなくカニバリー(来店客の食い合い)が生じない店舗となる。
(2) 低貸玉営業
店舗の新規出店については低貸玉営業を基本に進めていく。地域のインフラとして、パチンコ・パチスロを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽にすることをビジョンとして掲げており、このビジョンを達成するためには低貸玉営業店舗を増やしていくことが理に適っているためだ。低貸玉営業に注力することの優位性としては、客層が幅広くなるため小商圏への出店が可能なことなどが挙げられる。
(3) 商品開発
PB機の商品開発を今後も強化していく。顧客ニーズにマッチした商品を開発・導入していくことによりコストマネジメントが図れることに加え、競合店との差別化を図るという点においても重要な戦略と位置付けている。
(4) データドリブン
店舗運営においてビッグデータを活用した取り組みを推進していく。具体的には遊技データや顧客データを基に顧客ニーズを分析し、各地域や店舗に最適な遊技機の品揃えや販促施策を実施することで稼働率を高めていく。
(5) コストマネジメント
店舗オペレーションの標準化と効率化に継続的に取り組み、全店舗で有用な情報を共有化していくことで、店舗の収益力を強化していく。
弊社では、今回のコロナ禍を契機としてパチンコホール市場は大手資本による集約化が進むものと予想しており、そのなかで低貸玉営業によって幅広い顧客層を持ち、ローコストオペレーションを確立している同社にとっては、シェア拡大によって再成長を図る好機になるものと予想している。現在グループ店舗数では業界トップとなっているものの市場シェアは5%程度でしかなく、シェア拡大による成長余地は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 市場動向
パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2021」によれば、2020年のパチンコ・パチスロ参加人口は、コロナ禍の影響もあって前年比20%減の710万人、市場規模(貸玉料)で同27%減の14.6兆円と縮小した。
こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数減少傾向も続いており、2021年末の店舗数は前年末比6.4%減の8,458店と26年連続の減少となった(警察庁「令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より)。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比3.9%減の2,338千台、パチスロ機が同6.1%減の1,475千台といずれも減少傾向が続いている。
2022年1月末の旧規則機撤去期限を越えたことでひとまず閉店のピークは過ぎたと思われるが、それでも経営体力の脆弱な中小規模のホールについては厳しい環境が続くと弊社では見ている。2022年11月以降に予定されているスマートパチスロやスマートパチンコなど新たな形態の遊技機の導入が契機となる。これらの機種はゲーム性が従来機種より向上している可能性が高く、これらを導入することで集客力の向上が見込まれるが、資金力のないホールでは積極的な投資が行えず、結果的に集客力がさらに低下してしまいかねないためだ。
ここ数年は1店舗当たりのパチンコ・パチスロ機の設置台数の上昇傾向が続いており、2021年末は451台と前年末から8台増となっている。これは中小ホールの淘汰が進んでいることを意味している。ちなみに、ダイナムの2022年3月末時点における1店舗当たりパチンコ・パチスロ機の設置台数は470台と業界平均をやや上回っている。スマートパチスロ等の導入によってさらに大手資本の集約化が進むことになれば、同社にとってはシェア拡大の好機になるとも言え、今後の動向に注目したい。
2. 成長戦略
同社はパチンコ事業における成長戦略として、「多店舗展開」「低貸玉営業」「商品開発」「データドリブン」「コストマネジメント」の5つをテーマに今後も取り組んでいく方針だ。
(1) 多店舗展開
コロナ禍の影響が長引きパチンコホールの淘汰が進むなか、同社も当面は既存店舗の収益確保を最優先に取り組んでいく方針となっている。とは言え、2023年3月期は新規出店も2期ぶりに再開するなど、収益が見込める立地であれば出店も進めていくことにしている。出店については居抜き物件の購入やM&Aなどでコストを抑えながら展開していくものと見られる。M&Aの対象物件の条件としては、遊技機の設置台数で400~500台と中規模クラスの店舗であること、近隣にグループ店舗がなくカニバリー(来店客の食い合い)が生じない店舗となる。
(2) 低貸玉営業
店舗の新規出店については低貸玉営業を基本に進めていく。地域のインフラとして、パチンコ・パチスロを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽にすることをビジョンとして掲げており、このビジョンを達成するためには低貸玉営業店舗を増やしていくことが理に適っているためだ。低貸玉営業に注力することの優位性としては、客層が幅広くなるため小商圏への出店が可能なことなどが挙げられる。
(3) 商品開発
PB機の商品開発を今後も強化していく。顧客ニーズにマッチした商品を開発・導入していくことによりコストマネジメントが図れることに加え、競合店との差別化を図るという点においても重要な戦略と位置付けている。
(4) データドリブン
店舗運営においてビッグデータを活用した取り組みを推進していく。具体的には遊技データや顧客データを基に顧客ニーズを分析し、各地域や店舗に最適な遊技機の品揃えや販促施策を実施することで稼働率を高めていく。
(5) コストマネジメント
店舗オペレーションの標準化と効率化に継続的に取り組み、全店舗で有用な情報を共有化していくことで、店舗の収益力を強化していく。
弊社では、今回のコロナ禍を契機としてパチンコホール市場は大手資本による集約化が進むものと予想しており、そのなかで低貸玉営業によって幅広い顧客層を持ち、ローコストオペレーションを確立している同社にとっては、シェア拡大によって再成長を図る好機になるものと予想している。現在グループ店舗数では業界トップとなっているものの市場シェアは5%程度でしかなく、シェア拡大による成長余地は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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