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日新 Research Memo(2):国際総合物流のパイオニアとして物流全般にかかわる事業を幅広く展開(1)
配信日時:2022/07/04 15:32
配信元:FISCO
■会社概要
日新<9066>は1938年に創業し、優れた海外ネットワークが強みの独立系総合物流企業である。国際総合物流のパイオニアとして海上輸送、航空輸送、鉄道輸送、トラック輸送、倉庫、引越、通関など物流全般にかかわる事業を幅広く展開している。戦後の高度経済成長期に日本を代表するモノづくり企業の物流パートナーとして国内物流から海外進出まで対応することで、企業成長と発展を実現してきた。強みである海外ネットワークと国際物流を生かし、海外事業展開及び顧客ニーズに合致した新たなビジネスモデルをグループ一体となって創出することで、顧客から信頼され評価される「グローバル・ロジスティクス・プロバイダー」を目指している。なお、同社グループは「認定通関業者(AEO)」の認定を受けているほか、セキュリティー管理や法令順守の体制構築、グリーン経営認証取得の推進など環境経営の強化にも積極的に取り組んでいる。
1. 沿革
同社の83年の歴史で特筆すべき点は、戦後混乱期と1970年代の一時期を除き、黒字決算を継続していることである。これは創業から続く堅実経営によるものと見ている。同社の歴史は、(1) 企業創業期、(2) 事業拡大期、(3) 国際物流展開期、の3つに大きく分けられる。
(1) 企業創業期(1938年~1957年)
1938年12月に川崎市にて日新運輸(株)を設立した。創業時は「はしけ※」と「トラック輸送」事業を展開し、横浜界隈で米国進駐軍の物資輸送や重・軽油の輸送などを請け負うことで事業規模が拡大した。その後国内物流事業は順調に拡大し、港湾荷役業も本格的に展開していった。
※「はしけ(艀)」とは、港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶のこと。貨物船から荷物をクレーンで小さな船(はしけ)に積み替え、陸揚げし、トラック輸送へ繋げる。
(2) 事業拡大期(1958年~1982年)
1955年~1973年の高度経済成長期には、自動車、電機、素材などの製造業が日本経済をけん引するようになり、同社でも自動車メーカーや家電メーカーとの取引が開始された。これらの顧客は積極的に海外生産を推進し、海外拠点を拡大したため、同社も海外物流拠点を設立することで顧客のサプライチェーン構築に対応し、海外物流事業を拡大していった。また、1946年頃には石油販売業務を開始し、高度経済成長期には石油業界との取引も始まり、タンクローリー輸送を開始している。このほか、1968年には新しい輸送形態である「国際複合一貫輸送業務」を業界で初めて開始した。
(3) 国際物流展開期(1983年~)
1990年代は、世界経済の生産拠点が欧米先進国からASEAN(東南アジア)へ移り、同社の顧客を含む国内製造業も工場のASEANシフトが顕著になった。この流れによって同社のアジアでの物流事業も拡大していった。1994年以降は次の進化に向け、海外への事業展開を積極的に推進している。
2. 事業概要
同社は、国内外にわたる物流事業をはじめとして、旅行事業及び不動産事業を運営している。
(1) 物流事業
物流事業は、航空貨物輸送、海上貨物輸送、港湾・倉庫、国内物流・構内作業などを行っている。
a) 航空貨物輸送
世界主要都市向けをカバーしていることに強みがある。同社現地法人や代理店のネットワークを通じて安全・正確・迅速に荷受人のもとまで輸送する。航空各社との協力関係により、スペース提供力及び運賃競争力に優れている。
b) 海上貨物輸送
NVOCC※サービスをはじめ、大型プラント輸送やISOタンクコンテナ輸送にも豊富な実績を有する「国際複合一貫輸送」のパイオニアである。
※Non Vessel Operating Common Carrierの略で、非船舶運航業者のこと。
c) 港湾・倉庫
港湾輸送は、横浜・大阪・神戸の各港でコンテナターミナル事業を展開する。倉庫は、京浜・関西などの港湾地区を中心に、一般倉庫及び冷蔵倉庫(30数ヶ所)を保有している。
d) 国内物流・構内作業
トラック、ローリー、JRコンテナ列車、内航船等の豊富な輸送手段により、全国100ヶ所以上の事業所・グループ会社を拠点に物流サービスを提供する。また、顧客の工場・物流センターで、製品の在庫管理、搬出入、梱包・仕分けなどの構内サービスも提供している。
(2) 旅行事業
企業・団体の業務出張をトータルサポートするサービスや、業務視察旅行・研修旅行・セミナーイベントツアーなど、企業の目的に合わせて旅行プランを提案する。
(3) 不動産事業
主に不動産賃貸を行っており、京浜地区を中心に、商業ビル、商業用地賃貸、駐車場を展開する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<YM>
日新<9066>は1938年に創業し、優れた海外ネットワークが強みの独立系総合物流企業である。国際総合物流のパイオニアとして海上輸送、航空輸送、鉄道輸送、トラック輸送、倉庫、引越、通関など物流全般にかかわる事業を幅広く展開している。戦後の高度経済成長期に日本を代表するモノづくり企業の物流パートナーとして国内物流から海外進出まで対応することで、企業成長と発展を実現してきた。強みである海外ネットワークと国際物流を生かし、海外事業展開及び顧客ニーズに合致した新たなビジネスモデルをグループ一体となって創出することで、顧客から信頼され評価される「グローバル・ロジスティクス・プロバイダー」を目指している。なお、同社グループは「認定通関業者(AEO)」の認定を受けているほか、セキュリティー管理や法令順守の体制構築、グリーン経営認証取得の推進など環境経営の強化にも積極的に取り組んでいる。
1. 沿革
同社の83年の歴史で特筆すべき点は、戦後混乱期と1970年代の一時期を除き、黒字決算を継続していることである。これは創業から続く堅実経営によるものと見ている。同社の歴史は、(1) 企業創業期、(2) 事業拡大期、(3) 国際物流展開期、の3つに大きく分けられる。
(1) 企業創業期(1938年~1957年)
1938年12月に川崎市にて日新運輸(株)を設立した。創業時は「はしけ※」と「トラック輸送」事業を展開し、横浜界隈で米国進駐軍の物資輸送や重・軽油の輸送などを請け負うことで事業規模が拡大した。その後国内物流事業は順調に拡大し、港湾荷役業も本格的に展開していった。
※「はしけ(艀)」とは、港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶のこと。貨物船から荷物をクレーンで小さな船(はしけ)に積み替え、陸揚げし、トラック輸送へ繋げる。
(2) 事業拡大期(1958年~1982年)
1955年~1973年の高度経済成長期には、自動車、電機、素材などの製造業が日本経済をけん引するようになり、同社でも自動車メーカーや家電メーカーとの取引が開始された。これらの顧客は積極的に海外生産を推進し、海外拠点を拡大したため、同社も海外物流拠点を設立することで顧客のサプライチェーン構築に対応し、海外物流事業を拡大していった。また、1946年頃には石油販売業務を開始し、高度経済成長期には石油業界との取引も始まり、タンクローリー輸送を開始している。このほか、1968年には新しい輸送形態である「国際複合一貫輸送業務」を業界で初めて開始した。
(3) 国際物流展開期(1983年~)
1990年代は、世界経済の生産拠点が欧米先進国からASEAN(東南アジア)へ移り、同社の顧客を含む国内製造業も工場のASEANシフトが顕著になった。この流れによって同社のアジアでの物流事業も拡大していった。1994年以降は次の進化に向け、海外への事業展開を積極的に推進している。
2. 事業概要
同社は、国内外にわたる物流事業をはじめとして、旅行事業及び不動産事業を運営している。
(1) 物流事業
物流事業は、航空貨物輸送、海上貨物輸送、港湾・倉庫、国内物流・構内作業などを行っている。
a) 航空貨物輸送
世界主要都市向けをカバーしていることに強みがある。同社現地法人や代理店のネットワークを通じて安全・正確・迅速に荷受人のもとまで輸送する。航空各社との協力関係により、スペース提供力及び運賃競争力に優れている。
b) 海上貨物輸送
NVOCC※サービスをはじめ、大型プラント輸送やISOタンクコンテナ輸送にも豊富な実績を有する「国際複合一貫輸送」のパイオニアである。
※Non Vessel Operating Common Carrierの略で、非船舶運航業者のこと。
c) 港湾・倉庫
港湾輸送は、横浜・大阪・神戸の各港でコンテナターミナル事業を展開する。倉庫は、京浜・関西などの港湾地区を中心に、一般倉庫及び冷蔵倉庫(30数ヶ所)を保有している。
d) 国内物流・構内作業
トラック、ローリー、JRコンテナ列車、内航船等の豊富な輸送手段により、全国100ヶ所以上の事業所・グループ会社を拠点に物流サービスを提供する。また、顧客の工場・物流センターで、製品の在庫管理、搬出入、梱包・仕分けなどの構内サービスも提供している。
(2) 旅行事業
企業・団体の業務出張をトータルサポートするサービスや、業務視察旅行・研修旅行・セミナーイベントツアーなど、企業の目的に合わせて旅行プランを提案する。
(3) 不動産事業
主に不動産賃貸を行っており、京浜地区を中心に、商業ビル、商業用地賃貸、駐車場を展開する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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