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サカタインクス Research Memo(1):環境配慮型製品に強み、新規領域への展開で新たな成長ステージへ
配信日時:2022/04/06 16:11
配信元:FISCO
■要約
サカタインクス<4633>は1896年創業以来125年の歴史を誇り、環境配慮型製品に強みを持つ世界3位の大手印刷インキメーカーである。ビジネステーマに「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、新規領域への展開で新たな成長ステージを迎えている。
1. パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力
印刷用インキ事業及び機能性材料事業を展開し、印刷インキ事業はパッケージ印刷用インキ(段ボール・紙袋・紙器など紙パッケージ印刷用インキ、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用インキ、飲料缶など金属缶印刷用インキ)、機能性材料事業はデジタル印刷材料(産業用プリンタ向けインクジェットインキ・レーザープリンターや複合機に使用されるトナー)や液晶パネルの画像表示材料(カラーフィルター用顔料分散液)を主力としている。また、情報メディア向けインキ(新聞印刷用の新聞インキ、書籍・雑誌・カタログ・ポスター・チラシ・伝票など各種商業印刷用のオフセットインキ)も展開している。
2. グローバル展開と環境配慮型製品が特徴・強み
グローバル展開と環境配慮型高機能・高付加価値製品を特徴・強みとしている。積極的にグローバル展開を進め、現在は日本・アジア・米州・欧州の20の国・地域に製造・販売拠点を展開している。そして米州及びアジアが利益柱となっている。環境配慮型高機能・高付加価値製品では、植物由来成分を含む同社オリジナルブランド「ボタニカルインキ」シリーズなど、創業以来125年の歴史のなかで培われた開発力・品ぞろえ、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとして高い市場シェアを獲得している。
3. 2021年12月期は増収、営業・経常増益
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.4%増の181,487百万円、営業利益が同2.8%増の7,414百万円、経常利益が9.2%増の同8,506百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.5%減の4,933百万円となった。売上面はインキ販売数量が順調に増加し、機能性材料の需要も回復して2ケタ増収となった。利益面は、第2四半期以降に原材料・物流コストの高騰が顕著になったが、通期ベースでは数量増、製品ミックス改善、販売価格改定、グループ全体におけるコスト削減などで原材料・物流コストの高騰を吸収した。なお親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の計上で減益となった。
4. 2022年12月期は原材料高で減益予想だが販売価格改定で下期回復基調
2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比9.1%増の198,000百万円、営業利益が同5.6%減の7,000百万円、経常利益が同2.4%減の8,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%増の5,700百万円としている。拡販による数量増などで増収だが、利益面は原材料・物流コスト高騰の影響、さらにDXなど戦略投資に伴う費用増加などの影響で営業・経常減益予想としている。ただし半期別に見ると、上期は売上高が前年同期比9.2%増の96,800百万円で営業利益が同46.5%減の2,700百万円、下期は売上高が同9.0%増の101,200百万円で営業利益が同81.5%増の4,300百万円としている。上期は原材料・物流コスト高騰の影響が先行するが、下期は販売価格改定の進展や数量増効果で原材料・物流コスト高騰の影響が和らぎ、利益回復基調となる見込みだ。弊社では、2021年12月期下期と2022年12月期上期がボトムとなって業績が回復に向かう可能性が高いと考えている。
5. 長期ビジョン達成に向けた基盤構築ステージの中期経営計画
長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」では、戦略の方向性を「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」としている。そして中期経営計画「2023 CCC-I」は長期ビジョン達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、サステナビリティ経営の強化と4つのケミカル分野(環境・バイオケミカル、エナジーケミカル、エレクトロニクスケミカル、オプトケミカル)を注力分野とする新規領域の事業化にも積極的に取り組んでいる。
6. 環境配慮型製品の強みや新規領域への展開で新たな成長ステージ
地球環境問題やSDGsへの関心の高まりを背景として、印刷インキ市場でも世界的に環境配慮型製品へシフトする流れを強めている。このため環境配慮型製品の市場拡大・開拓余地は大きい。環境配慮型製品の開発力・品ぞろえを強みとして高い市場シェアを獲得している同社にとって事業環境は良好と言えるだろう。さらに、このような市場動向に対応して、環境配慮型製品の開発・市場投入や、新規領域への展開を一段と積極推進する方針だ。グローバル展開で成長してきた実績や各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウも豊富であり、新たな成長ステージに入ることで成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。
■Key Points
・パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力
・グローバル展開と環境配慮型製品が特徴・強み
・2022年12月期は原材料・物流コスト高騰で減益予想だが下期回復基調
・新たな成長ステージに入ることで成長ポテンシャルは大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
サカタインクス<4633>は1896年創業以来125年の歴史を誇り、環境配慮型製品に強みを持つ世界3位の大手印刷インキメーカーである。ビジネステーマに「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、新規領域への展開で新たな成長ステージを迎えている。
1. パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力
印刷用インキ事業及び機能性材料事業を展開し、印刷インキ事業はパッケージ印刷用インキ(段ボール・紙袋・紙器など紙パッケージ印刷用インキ、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用インキ、飲料缶など金属缶印刷用インキ)、機能性材料事業はデジタル印刷材料(産業用プリンタ向けインクジェットインキ・レーザープリンターや複合機に使用されるトナー)や液晶パネルの画像表示材料(カラーフィルター用顔料分散液)を主力としている。また、情報メディア向けインキ(新聞印刷用の新聞インキ、書籍・雑誌・カタログ・ポスター・チラシ・伝票など各種商業印刷用のオフセットインキ)も展開している。
2. グローバル展開と環境配慮型製品が特徴・強み
グローバル展開と環境配慮型高機能・高付加価値製品を特徴・強みとしている。積極的にグローバル展開を進め、現在は日本・アジア・米州・欧州の20の国・地域に製造・販売拠点を展開している。そして米州及びアジアが利益柱となっている。環境配慮型高機能・高付加価値製品では、植物由来成分を含む同社オリジナルブランド「ボタニカルインキ」シリーズなど、創業以来125年の歴史のなかで培われた開発力・品ぞろえ、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとして高い市場シェアを獲得している。
3. 2021年12月期は増収、営業・経常増益
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.4%増の181,487百万円、営業利益が同2.8%増の7,414百万円、経常利益が9.2%増の同8,506百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.5%減の4,933百万円となった。売上面はインキ販売数量が順調に増加し、機能性材料の需要も回復して2ケタ増収となった。利益面は、第2四半期以降に原材料・物流コストの高騰が顕著になったが、通期ベースでは数量増、製品ミックス改善、販売価格改定、グループ全体におけるコスト削減などで原材料・物流コストの高騰を吸収した。なお親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の計上で減益となった。
4. 2022年12月期は原材料高で減益予想だが販売価格改定で下期回復基調
2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比9.1%増の198,000百万円、営業利益が同5.6%減の7,000百万円、経常利益が同2.4%減の8,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%増の5,700百万円としている。拡販による数量増などで増収だが、利益面は原材料・物流コスト高騰の影響、さらにDXなど戦略投資に伴う費用増加などの影響で営業・経常減益予想としている。ただし半期別に見ると、上期は売上高が前年同期比9.2%増の96,800百万円で営業利益が同46.5%減の2,700百万円、下期は売上高が同9.0%増の101,200百万円で営業利益が同81.5%増の4,300百万円としている。上期は原材料・物流コスト高騰の影響が先行するが、下期は販売価格改定の進展や数量増効果で原材料・物流コスト高騰の影響が和らぎ、利益回復基調となる見込みだ。弊社では、2021年12月期下期と2022年12月期上期がボトムとなって業績が回復に向かう可能性が高いと考えている。
5. 長期ビジョン達成に向けた基盤構築ステージの中期経営計画
長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」では、戦略の方向性を「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」としている。そして中期経営計画「2023 CCC-I」は長期ビジョン達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、サステナビリティ経営の強化と4つのケミカル分野(環境・バイオケミカル、エナジーケミカル、エレクトロニクスケミカル、オプトケミカル)を注力分野とする新規領域の事業化にも積極的に取り組んでいる。
6. 環境配慮型製品の強みや新規領域への展開で新たな成長ステージ
地球環境問題やSDGsへの関心の高まりを背景として、印刷インキ市場でも世界的に環境配慮型製品へシフトする流れを強めている。このため環境配慮型製品の市場拡大・開拓余地は大きい。環境配慮型製品の開発力・品ぞろえを強みとして高い市場シェアを獲得している同社にとって事業環境は良好と言えるだろう。さらに、このような市場動向に対応して、環境配慮型製品の開発・市場投入や、新規領域への展開を一段と積極推進する方針だ。グローバル展開で成長してきた実績や各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウも豊富であり、新たな成長ステージに入ることで成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。
■Key Points
・パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力
・グローバル展開と環境配慮型製品が特徴・強み
・2022年12月期は原材料・物流コスト高騰で減益予想だが下期回復基調
・新たな成長ステージに入ることで成長ポテンシャルは大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
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