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窪田製薬HD Research Memo(6):VAP-1阻害剤候補化合物は痛みの抑制効果を確認する前臨床試験を実施中
配信日時:2022/04/06 16:06
配信元:FISCO
■主要開発パイプラインの概要と進捗状況
4. VAP-1阻害剤
窪田製薬ホールディングス<4596>は「エミクススタト塩酸塩」の基礎研究を進める過程において多くの低分子化合物のライブラリを作成してきたが、そのなかでアトピー性皮膚炎や乾癬、変形性関節症などの炎症性疾患に関わっているとされるVAP-1※の働きを阻害する化合物を数十種類発見した。これら化合物の中から有望な化合物をさらに絞り込むため、LEO Pharmaと2020年4月に共同研究契約を締結し、1年をかけてスクリーニング評価を実施してきた。
※VAP-1(Vascular adhesion protein-1):血管内皮表面に存在する白血球接着分子のこと。アトピー性皮膚炎や乾癬、変形性関節症、糖尿病性腎疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの炎症性疾患では、VAP-1の異常な活性化が認められている。このため、VAP-1の働きを阻害することで、これら炎症性疾患の症状を和らげる効果があると考えられている。
スクリーニング評価の結果、少量でターゲットへの効果が高く、かつ選択制が高い(副作用が低い)候補化合物を特定した。VAP-1阻害剤については、適応範囲が広く潜在的な市場価値が大きいため大手製薬企業でも活発に開発を進めているが、上市実績はまだない。どの候補化合物も選択制が低く、VAP-1以外の物質も阻害してしまうことで、副作用リスクを抑えることができなかったためとされている。これに対して同社の候補化合物は選択制が高い(安全性が高い)ことから、開発を進めていく価値はあると見られる。
また、同化合物をNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)や腎炎等の開発候補品として関心を寄せる企業があるほか、がん細胞の転移を抑制する効果を持つ化合物としても注目されるなど様々な開発の可能性があることから、今後の動向が注目される。
NASA向け開発プロジェクトは継続方針
5. 宇宙飛行士向け超小型眼科診断装置「SS-OCT」
宇宙飛行で発症する眼疾患に関する研究を行うための超小型眼科診断装置「Swept Source-OCT(以下、SS-OCT)」の開発プロジェクトを、NASAと開発受託契約を締結して2019年より開始している。同プロジェクトは、長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約69%が、視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群を患っているという研究報告※をもとに、宇宙飛行が眼領域に与える影響を研究することが目的となっている。現在、国際宇宙ステーション(International Space Station、以下、ISS)で使用されている市販のOCTは据え置き型で操作が複雑であり、数ヶ月間の宇宙ステーション滞在中に宇宙飛行士は3回しか検査できていなかった。今回、開発する超小型SS-OCTは携帯可能で、1人でも手軽に測定することができるため、毎日測定して保存することも可能になり、宇宙飛行が眼疾患に与える影響をより詳細に分析するデバイスとして期待されている。
※かすみ目や視神経乳頭浮腫、眼球後部平坦症、綿花状白斑等の眼疾患症状が報告されている。
開発フェーズは全体で3ステップに分かれており、第1フェーズのミッションは、耐久性と安価な光源であるレーザーを使用した概念実証(POC)の確認で、複数のレーザーを用いて視神経乳頭の形状を高解像度で測定する装置を開発することであった。2020年1月にNASAでデモンストレーションを行ったが、NASAのプロジェクト担当者からも高い評価を受けている※。2020年2月に第1フェーズの開発を終了し、同年4月に開発報告書をNASA及びTRISHに提出、開発受託収入37百万円を2020年12月期に事業収益として計上した。
※NASA担当者から、次のようなコメントが寄せられている。「小型でありながら操作が簡単で、データ処理が早い。宇宙飛行中の眼球への影響を研究するために、ISSで大いに役立つと信じている」「フェーズ1の使用条件を満たしているだけでなく、期待以上の完成度であった。外見も洗練され、軽くて持ちやすい。フェーズ2での仕上がりが楽しみである」
第2フェーズは、同装置を用いてどのような画像解析手法で宇宙飛行に起因する眼疾患の検証を行うか、運用上で必要となる要件定義を固める工程となり、最終の第3フェーズでは、実際に宇宙飛行環境において使用可能な装置の開発を行うことになる。宇宙放射線被ばくに対する耐久性を持ち、無重力環境下で宇宙飛行士自身が操作できるハードウェアの開発を提携企業と共同で進めていくことになる。
第2フェーズについては、2021年に米国政権が交代したこと、コロナ禍への対策費用に国家予算が振り向けられていることなどから新たなプロジェクトの検討も含め、現在も協議を続けている。プロジェクト再開時期については未定だが、NASA側の担当者もプロジェクトの継続を考えていることから、今後予算が付き次第プロジェクトが再開されるものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
4. VAP-1阻害剤
窪田製薬ホールディングス<4596>は「エミクススタト塩酸塩」の基礎研究を進める過程において多くの低分子化合物のライブラリを作成してきたが、そのなかでアトピー性皮膚炎や乾癬、変形性関節症などの炎症性疾患に関わっているとされるVAP-1※の働きを阻害する化合物を数十種類発見した。これら化合物の中から有望な化合物をさらに絞り込むため、LEO Pharmaと2020年4月に共同研究契約を締結し、1年をかけてスクリーニング評価を実施してきた。
※VAP-1(Vascular adhesion protein-1):血管内皮表面に存在する白血球接着分子のこと。アトピー性皮膚炎や乾癬、変形性関節症、糖尿病性腎疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの炎症性疾患では、VAP-1の異常な活性化が認められている。このため、VAP-1の働きを阻害することで、これら炎症性疾患の症状を和らげる効果があると考えられている。
スクリーニング評価の結果、少量でターゲットへの効果が高く、かつ選択制が高い(副作用が低い)候補化合物を特定した。VAP-1阻害剤については、適応範囲が広く潜在的な市場価値が大きいため大手製薬企業でも活発に開発を進めているが、上市実績はまだない。どの候補化合物も選択制が低く、VAP-1以外の物質も阻害してしまうことで、副作用リスクを抑えることができなかったためとされている。これに対して同社の候補化合物は選択制が高い(安全性が高い)ことから、開発を進めていく価値はあると見られる。
また、同化合物をNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)や腎炎等の開発候補品として関心を寄せる企業があるほか、がん細胞の転移を抑制する効果を持つ化合物としても注目されるなど様々な開発の可能性があることから、今後の動向が注目される。
NASA向け開発プロジェクトは継続方針
5. 宇宙飛行士向け超小型眼科診断装置「SS-OCT」
宇宙飛行で発症する眼疾患に関する研究を行うための超小型眼科診断装置「Swept Source-OCT(以下、SS-OCT)」の開発プロジェクトを、NASAと開発受託契約を締結して2019年より開始している。同プロジェクトは、長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約69%が、視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群を患っているという研究報告※をもとに、宇宙飛行が眼領域に与える影響を研究することが目的となっている。現在、国際宇宙ステーション(International Space Station、以下、ISS)で使用されている市販のOCTは据え置き型で操作が複雑であり、数ヶ月間の宇宙ステーション滞在中に宇宙飛行士は3回しか検査できていなかった。今回、開発する超小型SS-OCTは携帯可能で、1人でも手軽に測定することができるため、毎日測定して保存することも可能になり、宇宙飛行が眼疾患に与える影響をより詳細に分析するデバイスとして期待されている。
※かすみ目や視神経乳頭浮腫、眼球後部平坦症、綿花状白斑等の眼疾患症状が報告されている。
開発フェーズは全体で3ステップに分かれており、第1フェーズのミッションは、耐久性と安価な光源であるレーザーを使用した概念実証(POC)の確認で、複数のレーザーを用いて視神経乳頭の形状を高解像度で測定する装置を開発することであった。2020年1月にNASAでデモンストレーションを行ったが、NASAのプロジェクト担当者からも高い評価を受けている※。2020年2月に第1フェーズの開発を終了し、同年4月に開発報告書をNASA及びTRISHに提出、開発受託収入37百万円を2020年12月期に事業収益として計上した。
※NASA担当者から、次のようなコメントが寄せられている。「小型でありながら操作が簡単で、データ処理が早い。宇宙飛行中の眼球への影響を研究するために、ISSで大いに役立つと信じている」「フェーズ1の使用条件を満たしているだけでなく、期待以上の完成度であった。外見も洗練され、軽くて持ちやすい。フェーズ2での仕上がりが楽しみである」
第2フェーズは、同装置を用いてどのような画像解析手法で宇宙飛行に起因する眼疾患の検証を行うか、運用上で必要となる要件定義を固める工程となり、最終の第3フェーズでは、実際に宇宙飛行環境において使用可能な装置の開発を行うことになる。宇宙放射線被ばくに対する耐久性を持ち、無重力環境下で宇宙飛行士自身が操作できるハードウェアの開発を提携企業と共同で進めていくことになる。
第2フェーズについては、2021年に米国政権が交代したこと、コロナ禍への対策費用に国家予算が振り向けられていることなどから新たなプロジェクトの検討も含め、現在も協議を続けている。プロジェクト再開時期については未定だが、NASA側の担当者もプロジェクトの継続を考えていることから、今後予算が付き次第プロジェクトが再開されるものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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