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ザイン Research Memo(2):「人資豊燃」を創業理念とし、変化力を武器に高付加価値を提供
配信日時:2022/03/11 15:12
配信元:FISCO
■会社概要
1. 会社概要
ザインエレクトロニクス<6769>は、創業理念に「人資豊燃」を掲げ、優れた人財が集い、資本・資源を有効に活用し、育ち、力の限り活躍し、豊かな自己実現と社会貢献ができる場を提供することを創業の精神としている。事業内容は、ミックスドシグナルLSIの設計開発・製造・販売とAI・IoTソリューションの開発・提供である。独自の技術力や差別化力、AI・IoT活用力により、「Smart Connectivity」(ヒト・モノが生み出す膨大なデータをスマートにつなげること)を実現する。工場を持たないファブレス経営の草分け的存在であるが、製造工程のすべてをファウンドリーに委託しているわけではない。ファウンドリーに委託後も、技術力に優れた開発メンバーによるワークインプロセスの検証・データ共有が行われ、良品・不良品判定のテストプログラムも自社で作成している。
2021年12月期末時点の本社所在地は東京都千代田区神田美土代町、総資産は9,867百万円、資本金は1,175百万円、自己資本比率は89.4%、発行済株式数は12,340,100株(自己株式1,522,537株含む)である。連結子会社には、AI・IoTソリューション事業を手掛けるキャセイ・トライテック(株)がある。
2. 沿革
同社は、1991年に現代表取締役会長の飯塚哲哉(いいづかてつや)氏が、東芝<6502>から独立して起業したファブレス半導体メーカーである。1992年に韓国のサムスン電子と半導体メモリ及び液晶の開発設計を目的とした合弁会社、ザインエレクトロニクス株式会社を設立し、1997年に合弁を解消するまでサムスン電子の半導体メモリ及び液晶開発の一翼を担っていた。一方で、1997年には初の自社ブランド半導体製品となる液晶ディスプレイ向けのデジタル信号処理チップを開発、販売を開始し、その後は高速画像伝送技術で業界のけん引役となり、ファブレス半導体メーカーとしての事業基盤を固めていく。2010年以降はテレビや液晶モニタ市場の利益率低下や日系セットメーカー凋落の影響もあって業績は停滞期を迎えたが、その後は民生機器市場から産業機器、車載市場へと市場領域の拡大を進めながら、再成長に向けた事業基盤の構築を進めている段階にある。
同社では事業基盤の多角化を進めるため、M&Aにも注力している。2003年に高周波無線通信用半導体のファブレスメーカーであったギガテクノロジーズ(株)を吸収合併しつつ、世界大手半導体メーカーから半導体開発チーム一体での採用を行ったほか、2009年には台湾半導体メーカーより携帯電話などのカメラに用いられる画像処理用LSI事業を譲り受けた。2016年には新たに高速データ伝送技術を用いた半導体やIP製品の開発販売を行うシリコンライブラリ(株)に出資し、持分法適用関連会社としている。また、2018年12月にキャセイ・トライテックをM&Aにより連結子会社化。AIOT事業を推進する源泉と位置付けている。
海外展開としては2000年に台湾、2010年に韓国、2012年に香港、2013年に中国にそれぞれ販売拠点を設立したほか、2018年には米国にも子会社を設立した。米国での子会社開設は、世界で活用されるレファレンスデザインを構築する協業パートナーとのコラボレーションを確立すること、北米顧客に対する営業活動や技術サポート活動等をより強力かつ迅速に推進していくことなどが目的となっている。2021年12月末時点の連結対象子会社数は8社となっている。
連結従業員数は2021年12月末で126名。従業員のうち7割程度が技術者であるが、その中には営業担当者も含んでいる。開発メンバーのみならず、営業担当者も技術者として精通していることで、顧客のニーズや悩みを的確に解決することを可能としている。技術開発型の企業として、ファブレス経営ならではの変化力を武器に、新市場のニーズをキャッチし経営資源を適切に配置することで、高付加価値を生み出し続けている。
3. 事業概要
同社は、LSI事業及びAIOT事業という2つの事業を柱として展開している。半導体の企画・開発・販売を行い、製造については国内外のファウンドリーに委託するファブレスメーカーである。売上総利益率は57.4%(2021年12月期)と高く、付加価値の高い半導体を開発・販売していることが特徴となっている。主要顧客は、国内では事務機器メーカーや大手家電メーカー、アミューズメント機器メーカーなどである。海外では韓国のサムスン電子やLG電子グループ、台湾の主要液晶メーカーやPC関連メーカー、中国の主要テレビメーカーやセキュリティカメラメーカー、欧州では車載機器メーカー等となっており、グローバル企業が多くを占めている。
(1) LSI事業
LSI事業では、V-by-One® US・V-by-One® HS・V-by-One®・LVDS・USB4などの高速インターフェイスLSIや、Image Signal Processor・Camera Development Kitなどカメラソリューションを提供している。適用アプリケーションには、複合機などの事務機器・アミューズメント機器・カメラ・8K/4Kなど高解像度映像機器などが挙げられる。V-by-One®HSでは、非圧縮・リアルタイム伝送により4K60fps/フルHD60fps動画像の長距離伝送を可能とし、圧縮による遅延やデータ欠落などの悪影響もない。また、カメラソリューション分野では、同社が提供するカメラ延長キットにより、従来の数十cmのみであったデータ伝送距離を15m程度に拡張できるため、THCV241A/242A搭載カメラの使い勝手を向上させた。これにより、車載カメラ、医療用カメラや無人化・非接触化を目的としたカメラシステムへ大きく寄与した。
(2) AIOT事業
AIOT事業では、3G・LTE・NB-IoT・5Gなどの通信モジュールや、IoTゲートウェイ/ルータ・IoTデバイス・AI顔認証ソリューション開発などのAI・IoTソリューションを提供している。適用アプリケーションには、IPトランシーバー・AED遠隔監視・自動販売機やエレベーターの遠隔監視装置などが挙げられる。直近では、新型コロナワクチンの管理に対応したIoT温度監視システムの提供を開始している。ワクチンの廃棄や温度管理の手間の削減を可能とし、地方自治体の接種施設や職域接種会場などへの導入を実施済みである。これらの取り組みが、ニューノーマルに迅速に対応した企業として評価され、「2021年版ものづくり白書」に掲載された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
1. 会社概要
ザインエレクトロニクス<6769>は、創業理念に「人資豊燃」を掲げ、優れた人財が集い、資本・資源を有効に活用し、育ち、力の限り活躍し、豊かな自己実現と社会貢献ができる場を提供することを創業の精神としている。事業内容は、ミックスドシグナルLSIの設計開発・製造・販売とAI・IoTソリューションの開発・提供である。独自の技術力や差別化力、AI・IoT活用力により、「Smart Connectivity」(ヒト・モノが生み出す膨大なデータをスマートにつなげること)を実現する。工場を持たないファブレス経営の草分け的存在であるが、製造工程のすべてをファウンドリーに委託しているわけではない。ファウンドリーに委託後も、技術力に優れた開発メンバーによるワークインプロセスの検証・データ共有が行われ、良品・不良品判定のテストプログラムも自社で作成している。
2021年12月期末時点の本社所在地は東京都千代田区神田美土代町、総資産は9,867百万円、資本金は1,175百万円、自己資本比率は89.4%、発行済株式数は12,340,100株(自己株式1,522,537株含む)である。連結子会社には、AI・IoTソリューション事業を手掛けるキャセイ・トライテック(株)がある。
2. 沿革
同社は、1991年に現代表取締役会長の飯塚哲哉(いいづかてつや)氏が、東芝<6502>から独立して起業したファブレス半導体メーカーである。1992年に韓国のサムスン電子と半導体メモリ及び液晶の開発設計を目的とした合弁会社、ザインエレクトロニクス株式会社を設立し、1997年に合弁を解消するまでサムスン電子の半導体メモリ及び液晶開発の一翼を担っていた。一方で、1997年には初の自社ブランド半導体製品となる液晶ディスプレイ向けのデジタル信号処理チップを開発、販売を開始し、その後は高速画像伝送技術で業界のけん引役となり、ファブレス半導体メーカーとしての事業基盤を固めていく。2010年以降はテレビや液晶モニタ市場の利益率低下や日系セットメーカー凋落の影響もあって業績は停滞期を迎えたが、その後は民生機器市場から産業機器、車載市場へと市場領域の拡大を進めながら、再成長に向けた事業基盤の構築を進めている段階にある。
同社では事業基盤の多角化を進めるため、M&Aにも注力している。2003年に高周波無線通信用半導体のファブレスメーカーであったギガテクノロジーズ(株)を吸収合併しつつ、世界大手半導体メーカーから半導体開発チーム一体での採用を行ったほか、2009年には台湾半導体メーカーより携帯電話などのカメラに用いられる画像処理用LSI事業を譲り受けた。2016年には新たに高速データ伝送技術を用いた半導体やIP製品の開発販売を行うシリコンライブラリ(株)に出資し、持分法適用関連会社としている。また、2018年12月にキャセイ・トライテックをM&Aにより連結子会社化。AIOT事業を推進する源泉と位置付けている。
海外展開としては2000年に台湾、2010年に韓国、2012年に香港、2013年に中国にそれぞれ販売拠点を設立したほか、2018年には米国にも子会社を設立した。米国での子会社開設は、世界で活用されるレファレンスデザインを構築する協業パートナーとのコラボレーションを確立すること、北米顧客に対する営業活動や技術サポート活動等をより強力かつ迅速に推進していくことなどが目的となっている。2021年12月末時点の連結対象子会社数は8社となっている。
連結従業員数は2021年12月末で126名。従業員のうち7割程度が技術者であるが、その中には営業担当者も含んでいる。開発メンバーのみならず、営業担当者も技術者として精通していることで、顧客のニーズや悩みを的確に解決することを可能としている。技術開発型の企業として、ファブレス経営ならではの変化力を武器に、新市場のニーズをキャッチし経営資源を適切に配置することで、高付加価値を生み出し続けている。
3. 事業概要
同社は、LSI事業及びAIOT事業という2つの事業を柱として展開している。半導体の企画・開発・販売を行い、製造については国内外のファウンドリーに委託するファブレスメーカーである。売上総利益率は57.4%(2021年12月期)と高く、付加価値の高い半導体を開発・販売していることが特徴となっている。主要顧客は、国内では事務機器メーカーや大手家電メーカー、アミューズメント機器メーカーなどである。海外では韓国のサムスン電子やLG電子グループ、台湾の主要液晶メーカーやPC関連メーカー、中国の主要テレビメーカーやセキュリティカメラメーカー、欧州では車載機器メーカー等となっており、グローバル企業が多くを占めている。
(1) LSI事業
LSI事業では、V-by-One® US・V-by-One® HS・V-by-One®・LVDS・USB4などの高速インターフェイスLSIや、Image Signal Processor・Camera Development Kitなどカメラソリューションを提供している。適用アプリケーションには、複合機などの事務機器・アミューズメント機器・カメラ・8K/4Kなど高解像度映像機器などが挙げられる。V-by-One®HSでは、非圧縮・リアルタイム伝送により4K60fps/フルHD60fps動画像の長距離伝送を可能とし、圧縮による遅延やデータ欠落などの悪影響もない。また、カメラソリューション分野では、同社が提供するカメラ延長キットにより、従来の数十cmのみであったデータ伝送距離を15m程度に拡張できるため、THCV241A/242A搭載カメラの使い勝手を向上させた。これにより、車載カメラ、医療用カメラや無人化・非接触化を目的としたカメラシステムへ大きく寄与した。
(2) AIOT事業
AIOT事業では、3G・LTE・NB-IoT・5Gなどの通信モジュールや、IoTゲートウェイ/ルータ・IoTデバイス・AI顔認証ソリューション開発などのAI・IoTソリューションを提供している。適用アプリケーションには、IPトランシーバー・AED遠隔監視・自動販売機やエレベーターの遠隔監視装置などが挙げられる。直近では、新型コロナワクチンの管理に対応したIoT温度監視システムの提供を開始している。ワクチンの廃棄や温度管理の手間の削減を可能とし、地方自治体の接種施設や職域接種会場などへの導入を実施済みである。これらの取り組みが、ニューノーマルに迅速に対応した企業として評価され、「2021年版ものづくり白書」に掲載された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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