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ブロドリーフ Research Memo(2):オートモビリティ産業向けSaaS企業
配信日時:2022/03/11 15:02
配信元:FISCO
■会社概要及び事業概要
1. 会社概要
ブロードリーフ<3673>の起源は、自動車整備工場や部品商など自動車アフターマーケット向けソフトウェアの開発・販売を目的として2005年に創業した旧 (株)ブロードリーフである。その後2009年に、外資系投資会社カーライルと当時の経営陣によるMBO(Management Buy Out)によって新たに株式会社ブロードリーフとして再スタートを切った。その後は事業を順調に拡大し、2013年には株式を東京証券取引所市場第1部に上場した。また、2017年7月には同業の(株)タジマを買収し顧客基盤を拡充している。なお、2022年12月期から、ソフトウェア販売のメイン商材を、従来ソフトウェア「.NSシリーズ」から新たなクラウドソフトウェア「.cシリーズ」へ移行する方針を掲げており、「.cシリーズ」の売上方式は「月次売上計上」となる。
2. 事業概要
同社の事業は、決算短信ではITサービス事業の単一セグメントとされている。したがって決算短信上はセグメント別の数値は開示されていないが、決算説明資料等では売上区分(大分類)としてプラットフォーム(2021年12月期売上収益比率55.6%)とアプリケーション(同44.4%)に分けられている。さらにそれらは中分類、小分類に区分されている。
売上区分の「プラットフォーム」は中分類として「SaaS※」(2021年12月期売上収益比率4.2%)、「PaaS/IaaS(基本)」(同37.9%)、「EDI・決済」(同3.4%)、「サポート」(同9.0%)、「その他」(同1.1%)に分けられている。この分野は月額課金のサービス提供が多いため、顧客数が増加すると売上収益が増加する傾向にある。また、「アプリケーション」は中分類として、業種別(同38.1%)、OTRS(同1.1%)、機器類(同5.2%)に分けられている。さらにそれぞれの中分類には、小分類が含まれる。
※「プラットフォーム」のうち、これまで「基本」に含まれていた「SaaS」、「EDI・決済」に含まれていた「CPT」、アプリケーションのうち、これまで「業種別」に含まれていた「月額サブスクリプション」を、2021年12月期から新たに「SaaS」とした。これに伴い、2020年12月期の各数値も遡及して変更している。
主要顧客は、売上収益の約85%が全国の自動車修理・整備工場、自動車部品商社や販売店など自動車関連業者で、残りの15%がその他の事業会社(携帯電話販売店、旅行代理店、観光バス会社等)となっている。
基本的な事業形態(ビジネスモデル)は、これまでは従来ソフトウェア「.NSシリーズ」のライセンス料を6年一括リース契約(売上計上)し、その後は毎年データベースやサーバの利用料等を月額で徴収するモデルであった。そのため、ほぼ5年半から6年ごとにソフトウェアの更新需要が見込めるが、売上を一括計上するため、売上の変動が大きくなる。これに対して2022年から本格展開を開始するクラウドソフトウェア「.cシリーズ」は、すべて月次売上計上となる。同社ではソフトウェア販売のメイン商材を、従来ソフトウェア「.NSシリーズ」から新たなクラウドソフトウェア「.cシリーズ」へ移行する方針を掲げており、従来ソフトウェアのリース契約満了に合わせて順次移行していく。
3. 特色、競合、強み
同社は基本的にソフトウェアサービス(SaaS)の会社であるが、手掛ける製品は「オートモビリティ産業」向けが中心となっている。そのため、同業界に関する多くの知識やノウハウだけでなく、すべての自動車の車種や部品類など膨大なデータを有し、データ間の関係情報を独自で構築しているデータベースが同社の特色であると同時に強みでもある。今後は、新しいクラウドソフトウェア「.cシリーズ」が浸透するに伴い、このデータベースを活用した新事業を展開することも可能になってくる。この市場では同社を含めて専門業者が多く、大手ITベンダー(日本電気<6701>(NEC)や富士通<6702>など)があまり参入していない点も、市場としての特性だろう。
事業モデルの特色として、同社が提供するソフトウェアは売り切りではなくライセンス提供であるため、ほぼ6年ごとに更新需要が見込める点がある。さらに付随して保守契約や、データベースやサーバの利用料、部品取引の代行料などを毎月徴収する。さらに、今後はソフトウェアも月額売上になっていくため、基本的に利用顧客を積み上げていくことが重要な要素となり、典型的な「ストック型ビジネスモデル」と言える。
同社グループ全体の顧客(法人)数は、代表的な顧客業種である自動車系で35,578社、非自動車系で1,822社、総顧客数は38,006社となる。顧客層が様々であり、利用するソフトの種類も顧客によって異なるため明白な市場シェアの計算は難しいが、認証整備工場数(全国で約92,000社)をベースとすると、同社の社数ベースシェアは約20~25%と推定され、業界トップと言える。それ以下としては、ディーアイシージャパン(株)(推定顧客数5,000社)、ベースシステム(株)(同2,000社)などが続いている。また同社は比較的大規模システムを得意としているが、中小業者向けを得意とするタジマを買収したことで、製品ラインナップ及び顧客カバーエリアが拡充した。また、主力商品のクラウド化によりさらに商品競争力を高めていくと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
1. 会社概要
ブロードリーフ<3673>の起源は、自動車整備工場や部品商など自動車アフターマーケット向けソフトウェアの開発・販売を目的として2005年に創業した旧 (株)ブロードリーフである。その後2009年に、外資系投資会社カーライルと当時の経営陣によるMBO(Management Buy Out)によって新たに株式会社ブロードリーフとして再スタートを切った。その後は事業を順調に拡大し、2013年には株式を東京証券取引所市場第1部に上場した。また、2017年7月には同業の(株)タジマを買収し顧客基盤を拡充している。なお、2022年12月期から、ソフトウェア販売のメイン商材を、従来ソフトウェア「.NSシリーズ」から新たなクラウドソフトウェア「.cシリーズ」へ移行する方針を掲げており、「.cシリーズ」の売上方式は「月次売上計上」となる。
2. 事業概要
同社の事業は、決算短信ではITサービス事業の単一セグメントとされている。したがって決算短信上はセグメント別の数値は開示されていないが、決算説明資料等では売上区分(大分類)としてプラットフォーム(2021年12月期売上収益比率55.6%)とアプリケーション(同44.4%)に分けられている。さらにそれらは中分類、小分類に区分されている。
売上区分の「プラットフォーム」は中分類として「SaaS※」(2021年12月期売上収益比率4.2%)、「PaaS/IaaS(基本)」(同37.9%)、「EDI・決済」(同3.4%)、「サポート」(同9.0%)、「その他」(同1.1%)に分けられている。この分野は月額課金のサービス提供が多いため、顧客数が増加すると売上収益が増加する傾向にある。また、「アプリケーション」は中分類として、業種別(同38.1%)、OTRS(同1.1%)、機器類(同5.2%)に分けられている。さらにそれぞれの中分類には、小分類が含まれる。
※「プラットフォーム」のうち、これまで「基本」に含まれていた「SaaS」、「EDI・決済」に含まれていた「CPT」、アプリケーションのうち、これまで「業種別」に含まれていた「月額サブスクリプション」を、2021年12月期から新たに「SaaS」とした。これに伴い、2020年12月期の各数値も遡及して変更している。
主要顧客は、売上収益の約85%が全国の自動車修理・整備工場、自動車部品商社や販売店など自動車関連業者で、残りの15%がその他の事業会社(携帯電話販売店、旅行代理店、観光バス会社等)となっている。
基本的な事業形態(ビジネスモデル)は、これまでは従来ソフトウェア「.NSシリーズ」のライセンス料を6年一括リース契約(売上計上)し、その後は毎年データベースやサーバの利用料等を月額で徴収するモデルであった。そのため、ほぼ5年半から6年ごとにソフトウェアの更新需要が見込めるが、売上を一括計上するため、売上の変動が大きくなる。これに対して2022年から本格展開を開始するクラウドソフトウェア「.cシリーズ」は、すべて月次売上計上となる。同社ではソフトウェア販売のメイン商材を、従来ソフトウェア「.NSシリーズ」から新たなクラウドソフトウェア「.cシリーズ」へ移行する方針を掲げており、従来ソフトウェアのリース契約満了に合わせて順次移行していく。
3. 特色、競合、強み
同社は基本的にソフトウェアサービス(SaaS)の会社であるが、手掛ける製品は「オートモビリティ産業」向けが中心となっている。そのため、同業界に関する多くの知識やノウハウだけでなく、すべての自動車の車種や部品類など膨大なデータを有し、データ間の関係情報を独自で構築しているデータベースが同社の特色であると同時に強みでもある。今後は、新しいクラウドソフトウェア「.cシリーズ」が浸透するに伴い、このデータベースを活用した新事業を展開することも可能になってくる。この市場では同社を含めて専門業者が多く、大手ITベンダー(日本電気<6701>(NEC)や富士通<6702>など)があまり参入していない点も、市場としての特性だろう。
事業モデルの特色として、同社が提供するソフトウェアは売り切りではなくライセンス提供であるため、ほぼ6年ごとに更新需要が見込める点がある。さらに付随して保守契約や、データベースやサーバの利用料、部品取引の代行料などを毎月徴収する。さらに、今後はソフトウェアも月額売上になっていくため、基本的に利用顧客を積み上げていくことが重要な要素となり、典型的な「ストック型ビジネスモデル」と言える。
同社グループ全体の顧客(法人)数は、代表的な顧客業種である自動車系で35,578社、非自動車系で1,822社、総顧客数は38,006社となる。顧客層が様々であり、利用するソフトの種類も顧客によって異なるため明白な市場シェアの計算は難しいが、認証整備工場数(全国で約92,000社)をベースとすると、同社の社数ベースシェアは約20~25%と推定され、業界トップと言える。それ以下としては、ディーアイシージャパン(株)(推定顧客数5,000社)、ベースシステム(株)(同2,000社)などが続いている。また同社は比較的大規模システムを得意としているが、中小業者向けを得意とするタジマを買収したことで、製品ラインナップ及び顧客カバーエリアが拡充した。また、主力商品のクラウド化によりさらに商品競争力を高めていくと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
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