西側の対ロシア制裁に欧州銀身構え、米銀は「影響限定的」
[ワシントン/ウィーン/ロンドン 22日 ロイター] - ウクライナ情勢を巡り西側諸国がロシアに新たな制裁を科すと発表したことを受け、欧州の銀行は22日、市場全体への波及や危機が深刻化した場合の影響に懸念を示した。
一方、米銀からは、近年ロシアへのエクスポージャーを減らしてきたため大きな影響は受けないとの声が聞かれた。
オーストリアやイタリア、フランスをはじめとする欧州銀は世界で最もロシアへのエクスポージャーが大きい。
ロシアとウクライナで広く事業を展開するオーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナル(RBI)は、現時点で業務は通常通りだが、事態がエスカレートした場合、ここ数週間で準備してきた「危機計画」を実行すると明らかにした。
ロシアに進出しているオランダのINGは「対立がさらに深まれば大きなマイナス影響が生じ得る」と述べた。
ロシアがクリミアを併合した2014年以降、米国や欧州連合(EU)は特定の個人への制裁や、ロシア国有金融機関による西側資本市場へのアクセス制限、武器取引の禁止、石油関連技術の取引制限といった措置を講じてきた。
このため特に米金融機関はロシアへのエクスポージャーを減らしており、一部の銀行は自行の業務に対する制裁の脅威よりも、地政学的緊張による市場への影響を注視している。
英HSBCのノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は22日、自行の直接的なエクスポージャーは限定的だが、世界の市場への「幅広い波及」が懸念材料だと指摘。「波及や二次的影響の可能性があるのは明らかだ。衝突の深刻さや、衝突が起きた場合の報復の度合い次第になる」と述べた。
一方、複数の米銀行業界幹部によると、米銀はロシア経済へのエクスポージャーが小さいため、各国の制裁が米国の銀行業務に大きく影響するとはみていない。
ただ、幹部の1人は、米国が国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)へのロシアのアクセスを制裁対象にした場合、懸念材料になると指摘した。