注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:外部環境の落ち着き見極めるまで様子見ムード
配信日時:2022/02/19 14:35
配信元:FISCO
■ウクライナ情勢に翻弄される展開
今週の日経平均は週間で574.01円安(-2.07%)と3週ぶり大幅反落。週を通じてウクライナ情勢を巡る地政学リスクに翻弄される展開で、週初から荒れ模様だった。米1月消費者物価指数(CPI)の予想比上振れで10年国債利回りが一時2%超えを実現。セントルイス連銀のブラード総裁のタカ派発言も警戒感を高めるなか、さらに、米政府が北京五輪中のロシアによるウクライナ侵攻の可能性を警告したことで地政学リスクも急速に高まり、週初の日経平均は616.49円安と大幅反落。
15日も日経平均は214.40円安と続落し、27000円を割り込んだ。米政府がキエフにある大使館の移転計画を明らかにしたことで、地政学リスクの高まりが引き続き重しとなった。ただ、16日は一転して595.21円高と大幅反発。米1月生産者物価指数(PPI)が予想比で上振れた一方、ロシアが軍の一部撤収を発表するなど、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが後退したことに伴う安心感が勝った。
17日の日経平均は227.53円安と再び反落。1月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が懸念されたほどタカ派的ではないと受け止められ、地政学リスクに代わって久々に主役となった金融引き締めリスクが後退するなか、午前は買い戻しが優勢に。しかし、午後に入って、ウクライナ軍が同国東部の親ロシア派地域に対して迫撃砲を撃ち込んだと伝わると、リスク回避の動きが先行し、大幅に下落する急展開となった。
週末もヘッドラインに振らされた。バイデン米大統領がロシアによるウクライナ侵攻の可能性が「非常に高い」と述べたことで、地政学リスクが一段と高まり、朝方は売りが先行、日経平均は一時26792.54円まで下落した。しかし、米国とロシアが外相会談を行うことが報じられると、急速に下げ渋り、27000円を回復。ただ、不透明感がくすぶるなかプラス転換には至らなかった。
■地政学リスクに一喜一憂の展開、金融引き締め懸念も継続
来週の日経平均は神経質な展開か。決算シーズンが一巡し、経済指標の発表も少ないため、引き続きウクライナ情勢を巡る地政学リスクなど外部環境に翻弄される展開となりそうだ。なお、東京市場は週半ばの23日が、米国市場は週初21日がそれぞれ祝日で休場となる。
ウクライナ情勢は混沌としている。米露の外相会談が行われるとの報道で警戒感は一時後退したが、バイデン米大統領は18日、ロシアが既にウクライナ侵攻を決定し、近日中に攻撃する計画であることを確信していると述べたという。また、ロシアと欧米諸国との主張には依然大きな隔たりがあり、外相会談が物別れに終わる可能性もある。ウクライナ情勢を巡っては不確実性が非常に高い。残念ながら、この先もヘッドラインに一喜一憂する展開が続くだろう。
一方で、地政学リスクの陰に隠れつつあるが、今年最大の相場テーマは金融政策の動向だ。米1月CPIは予想を上振れ、40年ぶり最大の伸びを記録したほか、12月に続き2カ月連続で鈍化が期待されていた米1月PPIも前月比+1.0%と、予想の+0.5%を大幅に上回った。こうした事態を受け、セントルイス連銀のブラード総裁は「6月末までの間に合計1%の利上げを実施すべき」や、「インフレ抑制のためには政策金利が中立金利を超える水準にまで上昇させる必要があるかもしれない」などと、タカ派発言を相次いで出している。
16日のFOMC議事録の公表以降、金融引き締め懸念は一時後退し、地政学リスクの陰に隠れる形となっているが、仮にウクライナ情勢が外交的に穏当に解決されれば、再び金融引き締め懸念が強まってくるだろう。
既に市場は利上げについては先行して年5~7回分を織り込んできているとはいえ、量的引き締め(QT)については、どのくらいペースで、どのような方法で行われるかといった点について、依然不透明感が強い。利上げとは異なり、QTについては過去に1度しか経験がない。また、その際にはデフレを警戒してかなり漸進的なペースで実施されたが、現在は労働市場が逼迫し、物価は強いインフレ傾向にあるため、今回は少なくとも前回よりはかなり速いペースで行われることがほぼ確実。市場への影響は予測することは難しく、織り込みが進んだうえでのあく抜けに期待するのは危険だろう。
■ハイテク・グロースの復調には時間要する
今週、決算を発表した米半導体大手エヌビディアは、悪くない内容であったが、直後の株価は急落した。半導体大手の決算反応で地合いが変わる可能性も期待されていたが、ハイテク・グロース(成長)株の手掛けにくさが改めて意識される形になってしまった。3月FOMCを通過するまでは、当面これまでの物色動向が続きそうだ。ハイテク・グロース株は軟調が続き、地政学リスクがむしろ追い風にもなっている原油をはじめとした資源関連株は強い動きが続こう。三井物産<8031>をはじめとした総合商社の株価チャートは全体相場とは対照的な上昇トレンドだ。今は強いものに付いていくしかないだろう。
■米消費者信頼感指数、米個人支出・個人所得など
来週は22日に1月企業サービス価格指数、米12月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米2月消費者信頼感指数、24日に米10-12月期GDP改定値、米1月新築住宅販売、25日に米1月個人支出・個人所得などが発表予定。
<FA>
今週の日経平均は週間で574.01円安(-2.07%)と3週ぶり大幅反落。週を通じてウクライナ情勢を巡る地政学リスクに翻弄される展開で、週初から荒れ模様だった。米1月消費者物価指数(CPI)の予想比上振れで10年国債利回りが一時2%超えを実現。セントルイス連銀のブラード総裁のタカ派発言も警戒感を高めるなか、さらに、米政府が北京五輪中のロシアによるウクライナ侵攻の可能性を警告したことで地政学リスクも急速に高まり、週初の日経平均は616.49円安と大幅反落。
15日も日経平均は214.40円安と続落し、27000円を割り込んだ。米政府がキエフにある大使館の移転計画を明らかにしたことで、地政学リスクの高まりが引き続き重しとなった。ただ、16日は一転して595.21円高と大幅反発。米1月生産者物価指数(PPI)が予想比で上振れた一方、ロシアが軍の一部撤収を発表するなど、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが後退したことに伴う安心感が勝った。
17日の日経平均は227.53円安と再び反落。1月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が懸念されたほどタカ派的ではないと受け止められ、地政学リスクに代わって久々に主役となった金融引き締めリスクが後退するなか、午前は買い戻しが優勢に。しかし、午後に入って、ウクライナ軍が同国東部の親ロシア派地域に対して迫撃砲を撃ち込んだと伝わると、リスク回避の動きが先行し、大幅に下落する急展開となった。
週末もヘッドラインに振らされた。バイデン米大統領がロシアによるウクライナ侵攻の可能性が「非常に高い」と述べたことで、地政学リスクが一段と高まり、朝方は売りが先行、日経平均は一時26792.54円まで下落した。しかし、米国とロシアが外相会談を行うことが報じられると、急速に下げ渋り、27000円を回復。ただ、不透明感がくすぶるなかプラス転換には至らなかった。
■地政学リスクに一喜一憂の展開、金融引き締め懸念も継続
来週の日経平均は神経質な展開か。決算シーズンが一巡し、経済指標の発表も少ないため、引き続きウクライナ情勢を巡る地政学リスクなど外部環境に翻弄される展開となりそうだ。なお、東京市場は週半ばの23日が、米国市場は週初21日がそれぞれ祝日で休場となる。
ウクライナ情勢は混沌としている。米露の外相会談が行われるとの報道で警戒感は一時後退したが、バイデン米大統領は18日、ロシアが既にウクライナ侵攻を決定し、近日中に攻撃する計画であることを確信していると述べたという。また、ロシアと欧米諸国との主張には依然大きな隔たりがあり、外相会談が物別れに終わる可能性もある。ウクライナ情勢を巡っては不確実性が非常に高い。残念ながら、この先もヘッドラインに一喜一憂する展開が続くだろう。
一方で、地政学リスクの陰に隠れつつあるが、今年最大の相場テーマは金融政策の動向だ。米1月CPIは予想を上振れ、40年ぶり最大の伸びを記録したほか、12月に続き2カ月連続で鈍化が期待されていた米1月PPIも前月比+1.0%と、予想の+0.5%を大幅に上回った。こうした事態を受け、セントルイス連銀のブラード総裁は「6月末までの間に合計1%の利上げを実施すべき」や、「インフレ抑制のためには政策金利が中立金利を超える水準にまで上昇させる必要があるかもしれない」などと、タカ派発言を相次いで出している。
16日のFOMC議事録の公表以降、金融引き締め懸念は一時後退し、地政学リスクの陰に隠れる形となっているが、仮にウクライナ情勢が外交的に穏当に解決されれば、再び金融引き締め懸念が強まってくるだろう。
既に市場は利上げについては先行して年5~7回分を織り込んできているとはいえ、量的引き締め(QT)については、どのくらいペースで、どのような方法で行われるかといった点について、依然不透明感が強い。利上げとは異なり、QTについては過去に1度しか経験がない。また、その際にはデフレを警戒してかなり漸進的なペースで実施されたが、現在は労働市場が逼迫し、物価は強いインフレ傾向にあるため、今回は少なくとも前回よりはかなり速いペースで行われることがほぼ確実。市場への影響は予測することは難しく、織り込みが進んだうえでのあく抜けに期待するのは危険だろう。
■ハイテク・グロースの復調には時間要する
今週、決算を発表した米半導体大手エヌビディアは、悪くない内容であったが、直後の株価は急落した。半導体大手の決算反応で地合いが変わる可能性も期待されていたが、ハイテク・グロース(成長)株の手掛けにくさが改めて意識される形になってしまった。3月FOMCを通過するまでは、当面これまでの物色動向が続きそうだ。ハイテク・グロース株は軟調が続き、地政学リスクがむしろ追い風にもなっている原油をはじめとした資源関連株は強い動きが続こう。三井物産<8031>をはじめとした総合商社の株価チャートは全体相場とは対照的な上昇トレンドだ。今は強いものに付いていくしかないだろう。
■米消費者信頼感指数、米個人支出・個人所得など
来週は22日に1月企業サービス価格指数、米12月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米2月消費者信頼感指数、24日に米10-12月期GDP改定値、米1月新築住宅販売、25日に米1月個人支出・個人所得などが発表予定。
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