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明日の株式相場に向けて=ソフトバンクGとトヨタの決算狂騒曲  

配信日時:2022/02/09 17:00 配信元:MINKABU
 きょう(9日)の東京株式市場は、欧米株高を受けリスクオンとなり、日経平均株価が前営業日比295円高の2万7579円と続伸した。企業の決算発表が佳境入りとなっているが、あす10日と来週明け14日に集中的に開示され、ここで決算発表ラッシュは一巡する。3月決算企業にとっては、今回は第3四半期とあって通期業績の修正が出やすいこともあるが、総じて好決算企業が多いことで株式市場にはポジティブに働いている。  今週はSQを控え売り方の仕掛けも警戒されるところだったが、米国をはじめ海外株高に支えられ何とか乗り切った形だ。アジア株市場も春節明けの上海株市場を筆頭に総じて好調で、世界株高の流れのなかで東京市場のセンチメントも強気に傾きやすかった。市場関係者は「マザーズ市場の動向をみる限り現時点で個人投資家のマインドが改善しているとはいえない。しかし、オプション絡みで仕掛けたヘッジファンドなど空売り筋の立場に立てば、日経平均の1月28日から今月2日にかけての4連騰で目算が狂ったというところもあるだろう」(中堅証券ストラテジスト)とする。今後は売り込まれたマザーズ市場の背中を東証1部市場が追うのではなく、東証1部の上昇にマザーズ市場が引っ張られる形となればセンチメントも改善し、個人好みの中小型材料株への物色ニーズも復活しそうだ。  企業の決算発表に絡み市場の関心が高かった銘柄として、きょうはソフトバンクグループ<9984.T>とトヨタ自動車<7203.T>が挙げられる。ソフトバンクGは前日取引終了後に21年4~12月期決算を発表したが、最終利益が前年同期比87%減の3926億1700万円と急減、加えて傘下の英半導体設計大手アームのエヌビディア<NVDA>への売却を断念することも発表された。しかし、この2つのネガティブ材料については事前に株価に織り込みが進んでいた。結局、全市場を通じ売買代金首位で6%近い上昇をみせている。  ソフトバンクGの業績面の厳しさは年初からのナスダック市場や上海株市場の動向をみれば大体察しがつく。また、アームについても売却計画が難航していることは、メディアを通じて既に繰り返し伝えられていた。一方で最大総額1兆円という自社株買いアナウンスが水戸黄門の印籠のごとく効いている。昨年11月に自社株買いが発表された当初、マーケットには懐疑的なムードもあったが、その後12月に428億円分を購入し、更に1月には863億円とその2倍以上を購入していることが判明。当分は弾切れとなる心配もなく、売り方は手が出しにくくなっている。株式需給面では、信用買い残が直近データで1700万株台まで減少し、約半年ぶりの水準まで整理進捗していることもプラスとなっている。  アームについては出口戦略としてはB面プランであることに違いないものの、ナスダックへの上場を22年度中に目指す方針を示したことで、むしろ市場関係者にプラス評価の余地を残したのが巧みなところだ。ただ、アームの売却頓挫よりも、エヌビディアの株式を獲得するチャンスを逃した方がソフトバンクGにとってはきついかもしれない。  一方、きょう取引時間中に発表されたトヨタの決算は21年4~12月期営業利益が前年同期比68%増の2兆5318億3500万円となり、通期計画に対する進捗率は90%強に達した。もっとも通期予想の修正を見送った点については微妙なところで、あえて保守的で今後増額修正含みという見方をすれば買いであるし、会社側が言うように1~3月期は資材価格高騰などの影響で利益が落ちるとみれば売りを優先したい場面である。株価も決算発表直後は、判断がつきかねるとばかりに上下にボラタイルな値動きを示したが結局引けにかけて上げ幅を縮小、上昇率は1%未満にとどまった。株は需給、そしてタイミングである。この2銘柄の決算については優等生であるトヨタよりも、問題児と言っては語弊があるが、“冬の嵐”の只中を走るソフトバンクGの方に票が集まる結果となった。  あすのスケジュールでは、1月の企業物価指数、1月のオフィス空室率、3カ月物国庫短期証券の入札など。海外では、インドネシア中銀とスウェーデン中銀が政策金利を発表する。また、1月の米消費者物価指数(CPI)が要注目となるほか、1月の米財政収支も発表される。国内主要企業の決算発表では、大林組<1802.T>、日揮ホールディングス<1963.T>、ヤクルト本社<2267.T>、いすゞ自動車<7202.T>、シチズン時計<7762.T>、東京エレクトロン<8035.T>、住友不動産<8830.T>、セコム<9735.T>などが予定される。海外主要企業では、ツイッター<TWTR>、コカ・コーラ<KO>などの決算などに関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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