注目トピックス 日本株
エムアップ Research Memo(1):コロナ禍の影響を受けながらも「電子チケット事業」の伸びにより増収増益を実現
配信日時:2022/02/04 15:31
配信元:FISCO
■要約
1. 会社概要
エムアップホールディングス<3661>は、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで、幅広いジャンルにおけるファンクラブサイトの事業を軸としながら、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信から、eコマース、電子チケットに至るまで、複合的な事業展開をしている。音楽アーティストを中心とするファンクラブサイトの運営は300以上、ファンクラブサイトの有料会員数は200万人を超え、それぞれ国内最大規模を誇る。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏が音楽業界(レコード会社)出身者であることから、アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクターなど強力IP(Intellectual Property)の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。コアファンによる会員基盤に支えられながら同社業績も安定推移してきたが、2018年10月にはEMTG(株)の完全子会社化により事業基盤が大きく拡大するとともに、市場拡大が期待できる「電子チケット事業」へも参入し、2020年4月からは持株会社体制へと移行した。足元では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を一部受けているものの、ファン待望のVR映像配信プラットフォーム(VR事業)の開始やNFTマーケットプレイスへの参入など、今後の成長に向けて新たなステージを迎えようとしている。
2. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比7.0%増の6,314百万円、営業利益が同40.1%増の775百万円と、コロナ禍の影響を受けながらも引き続き増収増益を確保した。通期計画(特に利益面)に対しても順調に進捗している。「コンテンツ事業」のうち、主力の「ファンクラブ・ファンサイト事業等」は、コロナ禍により減少していた会員数が下げ止まり増加に転じたことで増収を確保した一方、「EC事業」については、前年同期における特需(開催が延期・中止となったコンサートグッズ等の需要増)の剥落により反動減となった。また、「電子チケット事業」については、コロナ禍によるライブ・コンサートの減少や動員制限等の影響を受けながらも、電子チケットの強み(感染予防対策など)を生かした取扱枚数の伸びや、周辺サービス(オンラインくじ等)を付加した顧客単価の向上により約2倍の規模に拡大し、売上高全体の成長に大きく寄与した。利益面でも、「EC事業」の反動減による影響を受けたものの、「電子チケット事業」の伸び(黒字転換)により大幅な増益を実現し、営業利益率も12.3%(前年同期は9.4%)に大きく改善した。また、活動面でも、ファンサービスのDX化を見据えた新規事業の取り組みや、新たな収益モデルとして期待される「NFT事業」への参入など、注目すべき成果を残すことができた。
3. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想について同社は、現時点で期初予想を据え置き、売上高を前期比10.3%増の13,600百万円、営業利益を同17.4%増の1,300百万円と2ケタの増収増益を見込んでいる。コロナ禍の影響が続くことを前提とした保守的な考え方の下、既存事業は段階的な回復にとどまる一方、既存事業に連動した新規サービスや事業の上積みにより増収を確保する見通しとなっている。なお、上期業績(特に利益面)がハイペースで進捗しているにもかかわらず期初予想を据え置いたのは、足元で感染が拡大しているオミクロン株の動向やその影響を見定めるためである。また期末配当については、株式分割調整前で1株当たり同5.00円増配となる28.00円を予定している。
4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1) 基盤強化の継続、2) 事業シナジーの追求、3) 積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自の「VR事業」の展開や、IPとアプリの組み合わせによるファンサイトのプラットフォーム化、IP活用によるNFTマーケットプレイスへの参入など、様々な方面での事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するととともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を生かした二次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。弊社でも、市場拡大が期待される「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」への展開により、中長期的な成長加速を実現する可能性が高いと評価している。
■Key Points
・2022年3月期上期は、引き続きコロナ禍の影響を受けながらも、ファンクラブサイトの会員数の回復や「電子チケット事業」の伸びにより増収増益を実現
・ファンサービスのDX化を見据えた新規事業の取り組みや「NFT事業」への参入など、活動面でも注目すべき成果を残す
・2022年3月期は、コロナ禍の影響を加味したうえで増収増益を確保する見通し(現時点で期初予想を据え置き)
・今後も強力IPの獲得を目指すとともに、「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」等との事業シナジーの創出により成長を加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NB>
1. 会社概要
エムアップホールディングス<3661>は、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで、幅広いジャンルにおけるファンクラブサイトの事業を軸としながら、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信から、eコマース、電子チケットに至るまで、複合的な事業展開をしている。音楽アーティストを中心とするファンクラブサイトの運営は300以上、ファンクラブサイトの有料会員数は200万人を超え、それぞれ国内最大規模を誇る。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏が音楽業界(レコード会社)出身者であることから、アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクターなど強力IP(Intellectual Property)の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。コアファンによる会員基盤に支えられながら同社業績も安定推移してきたが、2018年10月にはEMTG(株)の完全子会社化により事業基盤が大きく拡大するとともに、市場拡大が期待できる「電子チケット事業」へも参入し、2020年4月からは持株会社体制へと移行した。足元では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を一部受けているものの、ファン待望のVR映像配信プラットフォーム(VR事業)の開始やNFTマーケットプレイスへの参入など、今後の成長に向けて新たなステージを迎えようとしている。
2. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比7.0%増の6,314百万円、営業利益が同40.1%増の775百万円と、コロナ禍の影響を受けながらも引き続き増収増益を確保した。通期計画(特に利益面)に対しても順調に進捗している。「コンテンツ事業」のうち、主力の「ファンクラブ・ファンサイト事業等」は、コロナ禍により減少していた会員数が下げ止まり増加に転じたことで増収を確保した一方、「EC事業」については、前年同期における特需(開催が延期・中止となったコンサートグッズ等の需要増)の剥落により反動減となった。また、「電子チケット事業」については、コロナ禍によるライブ・コンサートの減少や動員制限等の影響を受けながらも、電子チケットの強み(感染予防対策など)を生かした取扱枚数の伸びや、周辺サービス(オンラインくじ等)を付加した顧客単価の向上により約2倍の規模に拡大し、売上高全体の成長に大きく寄与した。利益面でも、「EC事業」の反動減による影響を受けたものの、「電子チケット事業」の伸び(黒字転換)により大幅な増益を実現し、営業利益率も12.3%(前年同期は9.4%)に大きく改善した。また、活動面でも、ファンサービスのDX化を見据えた新規事業の取り組みや、新たな収益モデルとして期待される「NFT事業」への参入など、注目すべき成果を残すことができた。
3. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想について同社は、現時点で期初予想を据え置き、売上高を前期比10.3%増の13,600百万円、営業利益を同17.4%増の1,300百万円と2ケタの増収増益を見込んでいる。コロナ禍の影響が続くことを前提とした保守的な考え方の下、既存事業は段階的な回復にとどまる一方、既存事業に連動した新規サービスや事業の上積みにより増収を確保する見通しとなっている。なお、上期業績(特に利益面)がハイペースで進捗しているにもかかわらず期初予想を据え置いたのは、足元で感染が拡大しているオミクロン株の動向やその影響を見定めるためである。また期末配当については、株式分割調整前で1株当たり同5.00円増配となる28.00円を予定している。
4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1) 基盤強化の継続、2) 事業シナジーの追求、3) 積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自の「VR事業」の展開や、IPとアプリの組み合わせによるファンサイトのプラットフォーム化、IP活用によるNFTマーケットプレイスへの参入など、様々な方面での事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するととともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を生かした二次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。弊社でも、市場拡大が期待される「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」への展開により、中長期的な成長加速を実現する可能性が高いと評価している。
■Key Points
・2022年3月期上期は、引き続きコロナ禍の影響を受けながらも、ファンクラブサイトの会員数の回復や「電子チケット事業」の伸びにより増収増益を実現
・ファンサービスのDX化を見据えた新規事業の取り組みや「NFT事業」への参入など、活動面でも注目すべき成果を残す
・2022年3月期は、コロナ禍の影響を加味したうえで増収増益を確保する見通し(現時点で期初予想を据え置き)
・今後も強力IPの獲得を目指すとともに、「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」等との事業シナジーの創出により成長を加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NB>
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