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プロパスト Research Memo(7):2022年5月期は慎重な予想を維持
配信日時:2022/02/03 16:07
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年5月期の業績予想
プロパスト<3236>では、2022年5月期第2四半期累計期間の業績が計画どおり順調に推移していることから、期初に発表した2022年5月期業績予想を維持している。
同社ではこれまでと同様に首都圏エリアにおける駅近等の利便性の高いレジデンス物件を中心に仕入れを行い、分譲開発物件についてはDINKS層を主たる顧客ターゲットとして捉えていく。同時に、賃貸開発物件やバリューアップ物件については富裕層やファンドを主たる顧客ターゲットとして事業展開を図る考えだ。また、物件取得については立地や価格に関しては売却想定価格を意識しつつ、より厳選したうえで取得する。そして、同社の強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の販売を進める方針だ。また、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図る。さらに、首都圏エリアにおいて割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開する計画である。
以上から、2022年5月期の業績予想は、売上高20,364百万円(前期比7.8%増)、営業利益1,457百万円(同15.0%減)、経常利益980百万円(同24.5%減)、当期純利益696百万円(同24.3%減)の増収減益を計画している。賃貸開発事業は、前期の2021年5月期が上期に偏重した決算であったことから、2022年5月期上期は好調ながら減収減益決算となったが、下期にも好調持続を見込む。また、上期は大幅な増収増益となったバリューアップ事業は、下期も同様に好調な業績を予想する。ただ、分譲開発事業については、ガレリア ドゥエル神田岩本町が完成するまでは、売却対象がプルームヌーベル武蔵野の残り物件に限られることから、下期についても上期同様に小幅の売上・利益にとどまると見ている。
コロナ禍による不動産業界への影響が懸念されており、業界内でも特にホテルや商業ビルを取り扱う不動産会社は業績の落ち込みが大きいと見られるが、同社はレジデンスが事業の中心であり、影響は比較的小さいと考えられる。また、同社では例年、期初には慎重な業績予想を発表しており、2022年5月期もコロナ禍が経済に与える悪影響も勘案して、予想策定時点での保有プロジェクトを前提に、慎重な予想を発表していることから、業績の下振れリスクは極めて小さいと考えられる。実際、第2四半期累計決算では、営業利益は通期業績予想の9割に達し、また経常利益や四半期純利益は通期業績予想を上回っている。最終的には、当期も2021年5月期決算と同様に、期初予想を上回って着地する可能性が高いと見られる。
2. 2023年5月期以降の業績見通し
同社が属する不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下、2020年からのコロナ禍に伴う郊外への居住増加傾向、2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピック後の建設需要の落ち込みの影響等が懸念されるものの、一方では低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待されている。業界の先行指標となる新設住宅着工戸数は、「建築着工統計調査報告」(国土交通省)によると2018年度までの高水準からは減少し、加えて足下ではコロナ禍の影響を受けて落ち込んでいるが、コロナ禍が収束すれば長期的にはおおむね横ばいでの推移が見込まれている。最近ではコロナ禍を避けて郊外の不動産を選択する動きもあるが、生活・社会インフラが整って利便性の高い都心部の魅力は大きく、コロナ禍の収束後は都心部の需要が郊外に比べて強いという二極化の動きに回帰するだろう。
こうした経済環境の下、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。また、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図っていく。さらに、割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開していく方針である。賃貸開発事業やバリューアップ事業では、今後はファンドが売却先に加わる予定であり、購買層がさらに広がる見通しである。同社では今後の業績に貢献すべく、駅近の好物件を積極的に仕入れ始めている。ただ、分譲開発事業では、ガレリア ドゥエル神田岩本町が2023年10月に竣工するまでは、業績寄与は限定的にとどまる見通しだ。
不動産業界内では、好調な会社と不調な会社の二極化が進行している。同社では都心部で駅から徒歩5分程度の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入れが可能になっている。また、将来的には好立地の町工場が事業継承できずに売却に出されるとの見方もある。同社は、こうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、事業環境が厳しさを増すなかでも3事業がうまく補完し合い、2023年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では考えている。
同社では現状、対外的に中期経営計画を発表していない。同社の事業規模では業績が振れる可能性が大きいため、計画を発表すると投資家をミスリードする可能性があるとの経営判断によるものである。ただ、同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>
1. 2022年5月期の業績予想
プロパスト<3236>では、2022年5月期第2四半期累計期間の業績が計画どおり順調に推移していることから、期初に発表した2022年5月期業績予想を維持している。
同社ではこれまでと同様に首都圏エリアにおける駅近等の利便性の高いレジデンス物件を中心に仕入れを行い、分譲開発物件についてはDINKS層を主たる顧客ターゲットとして捉えていく。同時に、賃貸開発物件やバリューアップ物件については富裕層やファンドを主たる顧客ターゲットとして事業展開を図る考えだ。また、物件取得については立地や価格に関しては売却想定価格を意識しつつ、より厳選したうえで取得する。そして、同社の強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の販売を進める方針だ。また、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図る。さらに、首都圏エリアにおいて割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開する計画である。
以上から、2022年5月期の業績予想は、売上高20,364百万円(前期比7.8%増)、営業利益1,457百万円(同15.0%減)、経常利益980百万円(同24.5%減)、当期純利益696百万円(同24.3%減)の増収減益を計画している。賃貸開発事業は、前期の2021年5月期が上期に偏重した決算であったことから、2022年5月期上期は好調ながら減収減益決算となったが、下期にも好調持続を見込む。また、上期は大幅な増収増益となったバリューアップ事業は、下期も同様に好調な業績を予想する。ただ、分譲開発事業については、ガレリア ドゥエル神田岩本町が完成するまでは、売却対象がプルームヌーベル武蔵野の残り物件に限られることから、下期についても上期同様に小幅の売上・利益にとどまると見ている。
コロナ禍による不動産業界への影響が懸念されており、業界内でも特にホテルや商業ビルを取り扱う不動産会社は業績の落ち込みが大きいと見られるが、同社はレジデンスが事業の中心であり、影響は比較的小さいと考えられる。また、同社では例年、期初には慎重な業績予想を発表しており、2022年5月期もコロナ禍が経済に与える悪影響も勘案して、予想策定時点での保有プロジェクトを前提に、慎重な予想を発表していることから、業績の下振れリスクは極めて小さいと考えられる。実際、第2四半期累計決算では、営業利益は通期業績予想の9割に達し、また経常利益や四半期純利益は通期業績予想を上回っている。最終的には、当期も2021年5月期決算と同様に、期初予想を上回って着地する可能性が高いと見られる。
2. 2023年5月期以降の業績見通し
同社が属する不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下、2020年からのコロナ禍に伴う郊外への居住増加傾向、2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピック後の建設需要の落ち込みの影響等が懸念されるものの、一方では低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待されている。業界の先行指標となる新設住宅着工戸数は、「建築着工統計調査報告」(国土交通省)によると2018年度までの高水準からは減少し、加えて足下ではコロナ禍の影響を受けて落ち込んでいるが、コロナ禍が収束すれば長期的にはおおむね横ばいでの推移が見込まれている。最近ではコロナ禍を避けて郊外の不動産を選択する動きもあるが、生活・社会インフラが整って利便性の高い都心部の魅力は大きく、コロナ禍の収束後は都心部の需要が郊外に比べて強いという二極化の動きに回帰するだろう。
こうした経済環境の下、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。また、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図っていく。さらに、割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開していく方針である。賃貸開発事業やバリューアップ事業では、今後はファンドが売却先に加わる予定であり、購買層がさらに広がる見通しである。同社では今後の業績に貢献すべく、駅近の好物件を積極的に仕入れ始めている。ただ、分譲開発事業では、ガレリア ドゥエル神田岩本町が2023年10月に竣工するまでは、業績寄与は限定的にとどまる見通しだ。
不動産業界内では、好調な会社と不調な会社の二極化が進行している。同社では都心部で駅から徒歩5分程度の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入れが可能になっている。また、将来的には好立地の町工場が事業継承できずに売却に出されるとの見方もある。同社は、こうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、事業環境が厳しさを増すなかでも3事業がうまく補完し合い、2023年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では考えている。
同社では現状、対外的に中期経営計画を発表していない。同社の事業規模では業績が振れる可能性が大きいため、計画を発表すると投資家をミスリードする可能性があるとの経営判断によるものである。ただ、同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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