後場の投資戦略
早々に戻り売り目線?
配信日時:2022/02/01 12:29
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27194.66;+192.68TOPIX;1908.05;+12.12
[後場の投資戦略]
引き続き米株の戻りや良好な企業決算が相場を押し上げ、本日の日経平均は一時400円あまり上昇したが、その後失速して前場を折り返した。日足チャートを見ると、前日の上昇で26800円台に位置する5日移動平均線を上抜けたが、本日は27000円台半ばに迫り上ひげを付けた格好。米ハイテク株高を受けて買いが先行した東エレクなどは寄り付き直後を高値に長めの陰線を引いており、上値の重い印象が拭えない。レーザーテックの失速は半導体関連企業の決算ハードルの高さを窺わせる。1月の下落局面で信用買い残を積み上げてきたこともネックだろう。
半面、前日はアルプスアル<6770>、本日はTDKが決算を受けて急伸しており、電子部品株に見直しの動きがある。Jパワーは前期、電力市場価格の高騰を受けて業績予想を取り下げた(価格高騰のマイナス影響がネガティブサプライズだった)経緯があるだけに、今回上方修正されたことは安心感につながるだろう。加えて、海運株も同様だが配当利回りの高さが注目されている面もありそうだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆8000億円あまりに膨らんでいる。
新興市場ではマザーズ指数が+3.83%と大幅に3日続伸。引き続き米ハイテク株高を追い風に主力IT株が買われ、戻りを試している。一時800pt台を回復する場面もあったが、そこからは日経平均と同様にやや上値が重い。3日に決算発表を控えるメルカリ<4385>の動向が目先の焦点となりそうだ。
さて、1月の騰落率は日経平均が-6.22%、NYダウが-3.32%などとなり、年金等のリバランス買いの規模はかなり大きいとの観測が伝わっている。実際、ここ2日ほど東証株価指数(TOPIX)先物に海外勢の買い戻しの動きが見られるものの、現物株の賑わいの方が目を引く。
また、米国ではアトランタ連銀のボスティック総裁が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%利上げする可能性を示唆しつつ、「自分の望む政策ではない」などと述べたことで金利が伸び悩み、ハイテク株買いを後押しした。金融大手の投資判断引き上げが観測された電気自動車(EV)のテスラは10%を超える上昇となった。同社を巡っては、著名投資家キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベスト・マネジメントの買い増しが伝わるとともに、コール(買う権利)オプションの買いが再び活発化しているとの指摘もある。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め姿勢に転じ、流動性相場の終えんが意識されつつあるなか、米個人投資家のこうした行動には危うさを感じざるを得ない。日本でも市場全体の信用買い残高がなお高水準であり、同様のことが言えるだろう。
米金融大手のストラテジストが米株の一段安リスクを指摘するなど、引き続き先行き警戒感は根強い。また、先週の株価急落局面で積極的に買い向かった日本の個人投資家だが、ここ2日のネット証券の取引状況を見ると、日経レバETF<1570>が早々に売り超に転じてきている。戻り売りの目線は日経平均で27000円近辺まで引き下がっているのだろう。決算発表シーズン中は堅調な企業業績が下支えとして機能しそうだが、それでも日経平均は目先26000~27000円台でもみ合う展開になるとみておきたい。
なお、本日は日本でキーエンス<6861>、村田製<6981>、HOYA<7741>、ANA<9202>などが、米国ではアルファベット、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、ゼネラル・モーターズ(GM)などが決算発表を予定している。また、1月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数や12月の米求人件数(JOLT)も発表される。
(小林大純)
<AK>
日経平均;27194.66;+192.68TOPIX;1908.05;+12.12
[後場の投資戦略]
引き続き米株の戻りや良好な企業決算が相場を押し上げ、本日の日経平均は一時400円あまり上昇したが、その後失速して前場を折り返した。日足チャートを見ると、前日の上昇で26800円台に位置する5日移動平均線を上抜けたが、本日は27000円台半ばに迫り上ひげを付けた格好。米ハイテク株高を受けて買いが先行した東エレクなどは寄り付き直後を高値に長めの陰線を引いており、上値の重い印象が拭えない。レーザーテックの失速は半導体関連企業の決算ハードルの高さを窺わせる。1月の下落局面で信用買い残を積み上げてきたこともネックだろう。
半面、前日はアルプスアル<6770>、本日はTDKが決算を受けて急伸しており、電子部品株に見直しの動きがある。Jパワーは前期、電力市場価格の高騰を受けて業績予想を取り下げた(価格高騰のマイナス影響がネガティブサプライズだった)経緯があるだけに、今回上方修正されたことは安心感につながるだろう。加えて、海運株も同様だが配当利回りの高さが注目されている面もありそうだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆8000億円あまりに膨らんでいる。
新興市場ではマザーズ指数が+3.83%と大幅に3日続伸。引き続き米ハイテク株高を追い風に主力IT株が買われ、戻りを試している。一時800pt台を回復する場面もあったが、そこからは日経平均と同様にやや上値が重い。3日に決算発表を控えるメルカリ<4385>の動向が目先の焦点となりそうだ。
さて、1月の騰落率は日経平均が-6.22%、NYダウが-3.32%などとなり、年金等のリバランス買いの規模はかなり大きいとの観測が伝わっている。実際、ここ2日ほど東証株価指数(TOPIX)先物に海外勢の買い戻しの動きが見られるものの、現物株の賑わいの方が目を引く。
また、米国ではアトランタ連銀のボスティック総裁が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%利上げする可能性を示唆しつつ、「自分の望む政策ではない」などと述べたことで金利が伸び悩み、ハイテク株買いを後押しした。金融大手の投資判断引き上げが観測された電気自動車(EV)のテスラは10%を超える上昇となった。同社を巡っては、著名投資家キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベスト・マネジメントの買い増しが伝わるとともに、コール(買う権利)オプションの買いが再び活発化しているとの指摘もある。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め姿勢に転じ、流動性相場の終えんが意識されつつあるなか、米個人投資家のこうした行動には危うさを感じざるを得ない。日本でも市場全体の信用買い残高がなお高水準であり、同様のことが言えるだろう。
米金融大手のストラテジストが米株の一段安リスクを指摘するなど、引き続き先行き警戒感は根強い。また、先週の株価急落局面で積極的に買い向かった日本の個人投資家だが、ここ2日のネット証券の取引状況を見ると、日経レバETF<1570>が早々に売り超に転じてきている。戻り売りの目線は日経平均で27000円近辺まで引き下がっているのだろう。決算発表シーズン中は堅調な企業業績が下支えとして機能しそうだが、それでも日経平均は目先26000~27000円台でもみ合う展開になるとみておきたい。
なお、本日は日本でキーエンス<6861>、村田製<6981>、HOYA<7741>、ANA<9202>などが、米国ではアルファベット、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、ゼネラル・モーターズ(GM)などが決算発表を予定している。また、1月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数や12月の米求人件数(JOLT)も発表される。
(小林大純)
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