注目トピックス 日本株
MRO Research Memo(1):2021年12月期第3四半期は売上高・各利益ともに前年同期比20%を超える成長
配信日時:2021/12/22 15:41
配信元:FISCO
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は購買管理システム事業(大企業連携)も急成長している。6,464千口座(2021年9月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品61.0万点(うち自社保有在庫で48.9万点)を販売する。
1. 2021年12月期第3四半期の単体業績
2021年12月期第3四半期単体業績は、売上高は前年同期比20.3%増の133,306百万円、営業利益は同20.7%増の17,835百万円、経常利益は同21.0%増の17,919百万円、四半期純利益は同25.1%増の12,407百万円となり、売上高・各利益ともに20%を超える成長を維持した。売上高に関しては、主力の事業者向けネット通販事業、購買管理システム事業(大企業連携)ともに注文単価・購入頻度・顧客数が増加し、増収となった。売上総利益率は、前年同期比0.2ポイント増の 28.8%となった。大企業連携売上高比率の増加やPB/輸入商品売上比率の減少などによる商品粗利率の低下があったものの、ロイヤリティの受領額の増加や注文単価増による配送料率減が貢献した。結果として、営業利益率は前年同期比で0.1ポイント上昇となった。主力の製造業や大企業顧客からの売上が回復したほか、ロイヤリティ受領額も増加したことで売上原価及び販管費の適切なコントロールが奏功し、堅調な決算となった。
2. 2021年12月期の連結業績見通し
2021年12月期通期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高は前期比23.4%増の194,220百万円、営業利益は同25.9%増の24,678百万円、経常利益は同25.8%増の24,738百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.4%増の17,273百万円としている。2021年12月期の売上高計画に対する第3四半期進捗率は71.3%となっており、前年同期の73.0%よりもやや遅れた進捗となった。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)からの回復期であったことから、期待が上乗せされ、計画値が高めとなったことが要因と考えられる。同社は公表済の連結業績予想に対して、当期の連結通期業績が売上高・各利益のうちいずれかが同社の基準(売上高は±5%、各利益は±10%)を超過する場合、修正開示を行うこととしている。第3四半期については売上高・各利益とも期初予想を下回ったが、通期で売上高・各利益とも±5%・±10%の範囲内で着地する見込みであることから、期初予想を据え置いた。新規口座獲得においても、第3四半期においては963千口座(進捗率67.8%)となり計画をやや下回るものの、前期末から顧客数で1.18倍になっており着実に拡大している。購買管理システム事業に関しては、第3四半期段階で進捗率74.5%と順調に推移している。営業利益率は12.7%(前期比0.2ポイント上昇)、営業利益額は前期比25.9%増を予想する。ただし第4四半期においては、商品調達価格の上昇リスクなどの懸念もある。しかし弊社では、売上高・各利益において前期比20%増は可能であると見ている。
3. 2021年12月期第4四半期以降のリスクと対策
同社は1,800万点もの品目をグローバルに調達しているため、世界的なエネルギー価格の高騰や国際物流コンテナのひっ迫、半導体不足に起因する商品供給難などの影響が、一部で出始めている。2021年12月期第3四半期時点での影響は軽微ではあるが、代替品を含めた商品確保強化を対策として実施している。また、原材料価格・エネルギー価格・国際物流費などの高騰や円安についても、商品調達価格の上昇につながり、原価率を押し上げる可能性がある。同社は、仕入れ最適化の強化、積載効率化、価格の変更を適宜実施し、対策を講じている。弊社では、これらの外部環境変化はコロナ禍から脱する時期における一過性の事象と考えているが、同社事業へのインパクトは不透明であり、今後も注視していく必要があると考えている。
■Key Points
・2021年12月期第3四半期は売上高・各利益ともに前年同期比20%を超える成長。主力の事業者向けネット販売及び大企業連携顧客が好調
・2021年12月期通期は増収増益を予想。商品調達価格上昇等の懸念もあるが、売上高・各利益ともに20%成長が射程
・半導体不足による機会損失、商品調達価格高騰による粗利率低下リスクへの対策を進める
・新物流拠点となる猪名川ディストリビューションセンター(DC)の建物が竣工
・2021年12月期は配当金2.5円増配の11.5円予想(上期5.75円実施済)。高い利益成長性により、速いペースの増配に期待
・東京証券取引所(以下、東証)再編にあたりプライム市場を選択
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は購買管理システム事業(大企業連携)も急成長している。6,464千口座(2021年9月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品61.0万点(うち自社保有在庫で48.9万点)を販売する。
1. 2021年12月期第3四半期の単体業績
2021年12月期第3四半期単体業績は、売上高は前年同期比20.3%増の133,306百万円、営業利益は同20.7%増の17,835百万円、経常利益は同21.0%増の17,919百万円、四半期純利益は同25.1%増の12,407百万円となり、売上高・各利益ともに20%を超える成長を維持した。売上高に関しては、主力の事業者向けネット通販事業、購買管理システム事業(大企業連携)ともに注文単価・購入頻度・顧客数が増加し、増収となった。売上総利益率は、前年同期比0.2ポイント増の 28.8%となった。大企業連携売上高比率の増加やPB/輸入商品売上比率の減少などによる商品粗利率の低下があったものの、ロイヤリティの受領額の増加や注文単価増による配送料率減が貢献した。結果として、営業利益率は前年同期比で0.1ポイント上昇となった。主力の製造業や大企業顧客からの売上が回復したほか、ロイヤリティ受領額も増加したことで売上原価及び販管費の適切なコントロールが奏功し、堅調な決算となった。
2. 2021年12月期の連結業績見通し
2021年12月期通期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高は前期比23.4%増の194,220百万円、営業利益は同25.9%増の24,678百万円、経常利益は同25.8%増の24,738百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.4%増の17,273百万円としている。2021年12月期の売上高計画に対する第3四半期進捗率は71.3%となっており、前年同期の73.0%よりもやや遅れた進捗となった。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)からの回復期であったことから、期待が上乗せされ、計画値が高めとなったことが要因と考えられる。同社は公表済の連結業績予想に対して、当期の連結通期業績が売上高・各利益のうちいずれかが同社の基準(売上高は±5%、各利益は±10%)を超過する場合、修正開示を行うこととしている。第3四半期については売上高・各利益とも期初予想を下回ったが、通期で売上高・各利益とも±5%・±10%の範囲内で着地する見込みであることから、期初予想を据え置いた。新規口座獲得においても、第3四半期においては963千口座(進捗率67.8%)となり計画をやや下回るものの、前期末から顧客数で1.18倍になっており着実に拡大している。購買管理システム事業に関しては、第3四半期段階で進捗率74.5%と順調に推移している。営業利益率は12.7%(前期比0.2ポイント上昇)、営業利益額は前期比25.9%増を予想する。ただし第4四半期においては、商品調達価格の上昇リスクなどの懸念もある。しかし弊社では、売上高・各利益において前期比20%増は可能であると見ている。
3. 2021年12月期第4四半期以降のリスクと対策
同社は1,800万点もの品目をグローバルに調達しているため、世界的なエネルギー価格の高騰や国際物流コンテナのひっ迫、半導体不足に起因する商品供給難などの影響が、一部で出始めている。2021年12月期第3四半期時点での影響は軽微ではあるが、代替品を含めた商品確保強化を対策として実施している。また、原材料価格・エネルギー価格・国際物流費などの高騰や円安についても、商品調達価格の上昇につながり、原価率を押し上げる可能性がある。同社は、仕入れ最適化の強化、積載効率化、価格の変更を適宜実施し、対策を講じている。弊社では、これらの外部環境変化はコロナ禍から脱する時期における一過性の事象と考えているが、同社事業へのインパクトは不透明であり、今後も注視していく必要があると考えている。
■Key Points
・2021年12月期第3四半期は売上高・各利益ともに前年同期比20%を超える成長。主力の事業者向けネット販売及び大企業連携顧客が好調
・2021年12月期通期は増収増益を予想。商品調達価格上昇等の懸念もあるが、売上高・各利益ともに20%成長が射程
・半導体不足による機会損失、商品調達価格高騰による粗利率低下リスクへの対策を進める
・新物流拠点となる猪名川ディストリビューションセンター(DC)の建物が竣工
・2021年12月期は配当金2.5円増配の11.5円予想(上期5.75円実施済)。高い利益成長性により、速いペースの増配に期待
・東京証券取引所(以下、東証)再編にあたりプライム市場を選択
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
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