グラブやバスフィードの株価低迷、SPAC投資人気急下降を裏付け
[20日 ロイター] - 東南アジアの配車サービス大手グラブ・ホールディングスや米新興インターネットメディアのバズフィードなど、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場を果たした幾つかの企業の株価が、その後急落の憂き目にあっている。SPACに対する投資家の熱狂がさめて、資金が引き揚げられたためだ。
SPACの890フィフスアベニュー・パートナーズと合併したバズフィードの株価は、今月6日の上場以来で40%も下がっている。890フィフスアベニュー・パートナーズが設けた信託口座から94%の投資家が資金を引き揚げたため、バズフィードが受け取った額はわずか1600万ドルにすぎなかった。
SPACと合併して2日にナスダックに上場したグラブ・ホールディングスも、それ以降に時価総額は半分になった。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「多くの投資家の目は今、実績があってこれまできちんと利益を計上してきた企業に向けられている。今年序盤に見られたSPACを勢い付かせるような熱狂がすっかりなくなったのは間違いない」と述べた。
SPACへの投資家は、新規株式公開(IPO)前にどの企業を買収の標的にするか知らされないため、信託口座にいったん資金を振り向けても、IPOに先立って引き揚げる権利が与えられている。そしてディールロジックのデータによると、多くの企業が非常に高まった投資家の期待値を達成することができなくなり、第4・四半期は資金の「引き揚げ率」が58%と2倍以上に切り上がった。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが出資するイベント管理ソフトウエア開発のシーベントの場合、上場2日前になって85%の近くの投資家が保有株を換金したことが判明している。
バケーションレンタル運営プラットフォームのバカサが8日の上場時に受け取ったのは約3億4000万ドル。やはり資金引き揚げの影響で、想定を1億4500万ドル下回った。
タトル・キャピタル・マネジメントのマシュー・タトル最高経営責任者(CEO)は「SPAC(株買い)は2月に活況を呈し、投資家はまるでミーム株(個人投資家が群がる銘柄)のようにみなし始めた。その後ルーシッドの急落があり、米証券取引委員会(SEC)が否定的なコメントを発して、SPACの人気が地に落ちた」と述べた。