注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:米PCEコアデフレータ、米FOMC議事要旨、マザーズIPO3社など
配信日時:2021/11/20 18:38
配信元:FISCO
■株式相場見通し
予想レンジ:上限30000-下限29400円
来週の日経平均は一進一退か。米国も含め注目企業の決算発表はほぼ一巡した。小売売上高などの発表も終え、ここからは一段と手掛かり材料が乏しくなる。こうしたなか、インフレを巡る思惑、米長期金利や為替の動向など外部環境の動きに影響を受けやすい展開となりそうだ。
国内では、19日に閣議決定された岸田政権による経済対策が従来よりも大規模になることが判明したが、相場の反応は限られた。給付金など分配政策が中心で、市場が求める成長戦略の色が薄いことや、一時は「当面触ることを考えていない」とした金融所得課税の引き上げについて、来年以降に本格的に議論する方向で調整に入ったとも伝わっており、こうした面が相場にネガティブに働いていると考えられる。成長に関する部分について、より具体的な話が出てこない限り、日経平均が明確に3万円を回復するには今しばらく時間がかかりそうだ。
来週は、国内で23日、米国で25日がそれぞれ祝日で休場となり、ともに立会いが4日に限られる。材料としては週半ばの24日に集中しており、米国で10月の耐久財受注、個人支出・個人所得、PCEコアデフレータ、新築住宅販売などの経済指標のほか、11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表が予定されている。
11月のFOMC後の記者会見で、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は従来通り早期利上げには慎重な見解を示した。しかし、その後に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアで前月比+0.6%と、9月の+0.2%から大きく加速。11月の政策決定会合で予想に反して利上げを見送った英国でも、10月のコアCPIの伸びが9月から加速。期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.7%台と歴史的な高値圏での推移が続いており、一時は後退した早期利上げ懸念も再び高まっている。
このため、FRBが政策判断として重要視するPCEコアデフレータや、11月FOMC議事録における将来の利上げに対する政策メンバーの見解などが注目される。材料難のなか注目度は高いとみられ、利上げ前向きな姿勢が窺われるようだとグロース(成長)株中心に利益確定売りの口実とされる可能性がある。
個別では、引き続き好決算や国策テーマに絡んだところで半導体関連株の相場けん引に期待したい。7-9月期は供給網混乱、電力不足、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大など様々な懸念事項があり、多くの産業が苦しんだなか、半導体関連企業の決算は世界的に特に好調で、相対的な強さが印象付けられた。今週は東京エレクトロン<8035>、レーザーテック<6920>、SCREENHD<7735>が上場来高値を更新した。材料難のなか、下がったところでの押し目買い意欲は旺盛とみられる
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測は後退したが、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策は長期化すると見られており、安全逃避的なドル買いが継続しそうだ。欧州中央銀行(ECB)が来年のインフレ上昇に懐疑的な見方を示しているほか、豪準備銀行も2024年まで利上げを見合わせるとの方針を崩していない。他の主要中央銀行が金融緩和策の縮小に慎重な姿勢を維持していることも、ドル買いを誘発する要因となっている。来週発表の米経済指標のうち、国内総生産(GDP)や個人消費支出コアPCEなどが良好な内容なら、FRBの早期利上げへの思惑が再び広がり、ドル高の基調は強まりそうだ。
ただ、1ドル=115円台は2017年3月以来の高値圏であることから、顧客筋などからのドル売りは継続する可能性がある。また、11月24日には今月2-3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の開始に踏み切ったが、その後の利上げに関するトーンが想定ほどタカ派寄りではなかった場合、リスク選好的なドル買いは縮小するとみられる。
なお、市場関係者の間では、来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長が再指名されるとの見方が多いようだが、その場合も2022年における利上げは2回にとどまるとの見方が増えている。また、可能性は低いものの、利上げに慎重とされるハト派のブレイナード理事がFRB議長に昇格した場合、利上げ先送りの思惑が強まり、リスク回避的なドル売り・円買いが活発となる可能性があるため、次期FRB議長人事にも注目が集まりそうだ。
■来週の注目スケジュール
11月22日(月):米・中古住宅販売件数(10月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)など
11月23日(火):株式市場は祝日のため休場(勤労感謝の日)、米・欧・英・独・製造業/サービス業PMI(11月)、決算発表:米アナログ・デバイセズなど
11月24日(水):製造業/サービス業PMI(11月)、サイエンスアーツ/ラストワンマイルが東証マザーズに新規上場、独・IFO企業景況感指数(11月)、米・GDP改定値(7-9月)、米・個人所得/個人支出(10月)、米・PCEコアデフレータ(10月)、米・新築住宅販売件数(10月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月会合分)など
11月25日(木):景気動向指数(9月)、全国百貨店売上高(10月)、月例経済報告(11月)、スローガンが東証マザーズに新規上場、欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨、英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁がイベントでモハメド・エラリアン氏と対談、米・株式市場は祝日のため休場(感謝祭)など
11月26日(金):米・株式市場は短縮取引(感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」)など
<YN>
予想レンジ:上限30000-下限29400円
来週の日経平均は一進一退か。米国も含め注目企業の決算発表はほぼ一巡した。小売売上高などの発表も終え、ここからは一段と手掛かり材料が乏しくなる。こうしたなか、インフレを巡る思惑、米長期金利や為替の動向など外部環境の動きに影響を受けやすい展開となりそうだ。
国内では、19日に閣議決定された岸田政権による経済対策が従来よりも大規模になることが判明したが、相場の反応は限られた。給付金など分配政策が中心で、市場が求める成長戦略の色が薄いことや、一時は「当面触ることを考えていない」とした金融所得課税の引き上げについて、来年以降に本格的に議論する方向で調整に入ったとも伝わっており、こうした面が相場にネガティブに働いていると考えられる。成長に関する部分について、より具体的な話が出てこない限り、日経平均が明確に3万円を回復するには今しばらく時間がかかりそうだ。
来週は、国内で23日、米国で25日がそれぞれ祝日で休場となり、ともに立会いが4日に限られる。材料としては週半ばの24日に集中しており、米国で10月の耐久財受注、個人支出・個人所得、PCEコアデフレータ、新築住宅販売などの経済指標のほか、11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表が予定されている。
11月のFOMC後の記者会見で、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は従来通り早期利上げには慎重な見解を示した。しかし、その後に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアで前月比+0.6%と、9月の+0.2%から大きく加速。11月の政策決定会合で予想に反して利上げを見送った英国でも、10月のコアCPIの伸びが9月から加速。期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.7%台と歴史的な高値圏での推移が続いており、一時は後退した早期利上げ懸念も再び高まっている。
このため、FRBが政策判断として重要視するPCEコアデフレータや、11月FOMC議事録における将来の利上げに対する政策メンバーの見解などが注目される。材料難のなか注目度は高いとみられ、利上げ前向きな姿勢が窺われるようだとグロース(成長)株中心に利益確定売りの口実とされる可能性がある。
個別では、引き続き好決算や国策テーマに絡んだところで半導体関連株の相場けん引に期待したい。7-9月期は供給網混乱、電力不足、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大など様々な懸念事項があり、多くの産業が苦しんだなか、半導体関連企業の決算は世界的に特に好調で、相対的な強さが印象付けられた。今週は東京エレクトロン<8035>、レーザーテック<6920>、SCREENHD<7735>が上場来高値を更新した。材料難のなか、下がったところでの押し目買い意欲は旺盛とみられる
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測は後退したが、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策は長期化すると見られており、安全逃避的なドル買いが継続しそうだ。欧州中央銀行(ECB)が来年のインフレ上昇に懐疑的な見方を示しているほか、豪準備銀行も2024年まで利上げを見合わせるとの方針を崩していない。他の主要中央銀行が金融緩和策の縮小に慎重な姿勢を維持していることも、ドル買いを誘発する要因となっている。来週発表の米経済指標のうち、国内総生産(GDP)や個人消費支出コアPCEなどが良好な内容なら、FRBの早期利上げへの思惑が再び広がり、ドル高の基調は強まりそうだ。
ただ、1ドル=115円台は2017年3月以来の高値圏であることから、顧客筋などからのドル売りは継続する可能性がある。また、11月24日には今月2-3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の開始に踏み切ったが、その後の利上げに関するトーンが想定ほどタカ派寄りではなかった場合、リスク選好的なドル買いは縮小するとみられる。
なお、市場関係者の間では、来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長が再指名されるとの見方が多いようだが、その場合も2022年における利上げは2回にとどまるとの見方が増えている。また、可能性は低いものの、利上げに慎重とされるハト派のブレイナード理事がFRB議長に昇格した場合、利上げ先送りの思惑が強まり、リスク回避的なドル売り・円買いが活発となる可能性があるため、次期FRB議長人事にも注目が集まりそうだ。
■来週の注目スケジュール
11月22日(月):米・中古住宅販売件数(10月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)など
11月23日(火):株式市場は祝日のため休場(勤労感謝の日)、米・欧・英・独・製造業/サービス業PMI(11月)、決算発表:米アナログ・デバイセズなど
11月24日(水):製造業/サービス業PMI(11月)、サイエンスアーツ/ラストワンマイルが東証マザーズに新規上場、独・IFO企業景況感指数(11月)、米・GDP改定値(7-9月)、米・個人所得/個人支出(10月)、米・PCEコアデフレータ(10月)、米・新築住宅販売件数(10月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月会合分)など
11月25日(木):景気動向指数(9月)、全国百貨店売上高(10月)、月例経済報告(11月)、スローガンが東証マザーズに新規上場、欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨、英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁がイベントでモハメド・エラリアン氏と対談、米・株式市場は祝日のため休場(感謝祭)など
11月26日(金):米・株式市場は短縮取引(感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」)など
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