注目トピックス 日本株
USENNEX Research Memo(8):利益成長により投資やBS改善、株主還元に余力
配信日時:2021/11/18 16:08
配信元:FISCO
■業績動向
3. キャッシュフローの推移
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は従来、キャッシュの創出力を示すEBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費)という指標を重視してきた。これは、統合当初の利益規模が現状に比べて小さく、統合の際に発生したのれんでバランスシートが重くなったことから市場が同社の収益性や安全性を不安視したことに対応するためである。すなわち、非資金費用である償却費と音楽配信など安定収益事業を背景にキャッシュには不安がなく、また、そのキャッシュをコンテンツ配信など成長事業に対する投資に回すという戦略を理解してもらう必要があったからだと思われる。事実、キャッシュの創出力が安定していたため、統合によるシナジーはスムーズに効果をあげ、そのため統合間もなく利益成長を開始し、のれんや有利子負債は着実に減少してバランスシートも改善するという、好循環が発生した。この結果、成長性や収益性ばかりでなく、安全性指標である自己資本比率や資本効率性を示す総資産利益率も向上していった。
そうしたなかで、2020年8月期、2021年8月期の2期は利益が急増し、EBITDAは伸びを見せた。この要因は、これまで述べてきたようにコロナ禍における一時的なものでなく、統合シナジーや成長戦略の成果と言うことができる。このため、キャッシュの好循環は今後一層加速していくものと思われる。そうなると、キャッシュの使い方に幅も余裕もできてくる。キャッシュは一般に投資や株主還元、社内留保、借入返済に回る。このうち社内留保は流動性が高まっているため、慌てて積み上げる必要はなさそうだ。有利子負債の返済はスケジュールにのっとっているため、できれば早く返したいが、これも慌てて増額することはないと考える。投資は、成長事業のなかでも特にコロナ禍で市場が拡大したコンテンツ配信事業において、差別化を進めるコンテンツ投資を加速したいところである。また、統合後しばらく慎重だったM&Aも積極化できそうだ。株主還元ついては、配当性向を10%~30%に高めるとともに増配を継続したいという同社の方針に対し、キャッシュの余裕が大きな担保となることだろう。このような統合後のキャッシュのポジティブな動きによって、同社企業経営に対する市場の信頼と期待はますます大きくなっていくだろう。
2022年8月期も業績拡大/新中期経営計画を策定へ
4. 2022年8月期の業績見通し
2022年8月期の業績見通しは、売上高220,000百万円(前期比5.6%増)、営業利益17,000百万円(同8.9%増)、経常利益16,000百万円(同8.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,500百万円(同5.7%増)を見込んでいる。ただし、2022年8月期より同社が適用する「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等の影響により、店舗サービス事業における他社集客メディアの販売や通信事業におけるSaaSサービスの提供などにおいて、売上高で2,300百万円、営業利益で300百万円の減少を見込んでいる。つまり、実質的には売上高222,300百万円(前期比6.7%増)、営業利益17,300百万円(同10.8%増)と2ケタ増益予想となっている。なお、前期比に関して、同社は連結業績の会計的不連続性を考慮して公表していないが、弊社は分かりやすさから新旧数値の単純比較による参考数値を掲示した。
2022年8月期のグループ経営方針について、同社は、(1)ウィズコロナ/アフターコロナの環境変化への対応と成長トレンドの堅持、(2)前倒し達成した前中期経営計画に替わる新中期経営計画や統合報告書の策定、(3)人財や従来慎重だったM&Aの強化による非連続成長への挑戦、を掲げた。(1)は、適切な事業ポートフォリオマネジメントを通じてバランスの取れた攻守戦略を継続し、既存事業を環境変化に適応させることで成長トレンドを堅持する考えである。(2)は、策定中の新中期経営計画と統合報告書を策定して2022年2月に公表する予定で、サステナブル経営の推進につなげていく考えである。なお、旧中期経営計画の「NEXT for 2024」で目標とした2022年8月期の営業利益100億円は2年前倒し、2024年8月期営業利益130億円は3年前倒しで達成済みである。(3)は、これまでの成長はシェア拡大や生産性改善などにより既存事業を強化し、小規模事業者向け金融やクリニック向け事業など既存事業周辺領域において新規事業の創出を進めることで達成してきた。今後は、社長発掘プログラム「CEO’s GATE」や内部人材の強化によって一流の人財・多様な人財を登用して事業基盤を固めるほか、従来慎重だったM&Aも既存事業とのシナジーが見込めるものに関しては積極化することで成長に弾みをつけ、売上高1兆円に向けた非連続の成長に挑戦する考えである。
2022年8月期のセグメント業績は、店舗サービス事業が売上高56,000百万円(前期比0.2%減)、営業利益8,600百万円(同0.1%増)、通信事業が売上高50,000百万円(同3.8%増)、営業利益5,100百万円(同12.5%増)、業務用システム事業が売上高20,500百万円(同8.3%増)、営業利益3,100百万円(同7.0%増)、コンテンツ配信事業が売上高67,000百万円(同11.7%増)、営業利益6,900百万円(同20.4%増)、エネルギー事業が売上高30,000百万円(同7.4%増)、営業利益400百万円(同13.0%増)を見込んでいる。店舗サービス事業は、新収益認識基準などにより売上高・利益ともにマイナスの影響を受けるものの、業務店などのDX需要を捕捉しわずかながら増益を見込んでいる。通信事業とコンテンツ配信事業は、安定した利益成長によってグループ全体の成長をけん引する見込みである。業務用システム事業とエネルギー事業は、コロナ禍でやや歪になった市場の正常化を期待しており、増収増益の計画となっている。コロナ禍による市場への影響が落ち着きを見せ始めており、2022年8月期は、前期までにプラスやマイナスに作用していた反動が予想される。しかし、そのインパクトを想定するのは非常に難しく、そのため全般的にやや保守的な予想となっているという印象を弊社は持っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<EY>
3. キャッシュフローの推移
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は従来、キャッシュの創出力を示すEBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費)という指標を重視してきた。これは、統合当初の利益規模が現状に比べて小さく、統合の際に発生したのれんでバランスシートが重くなったことから市場が同社の収益性や安全性を不安視したことに対応するためである。すなわち、非資金費用である償却費と音楽配信など安定収益事業を背景にキャッシュには不安がなく、また、そのキャッシュをコンテンツ配信など成長事業に対する投資に回すという戦略を理解してもらう必要があったからだと思われる。事実、キャッシュの創出力が安定していたため、統合によるシナジーはスムーズに効果をあげ、そのため統合間もなく利益成長を開始し、のれんや有利子負債は着実に減少してバランスシートも改善するという、好循環が発生した。この結果、成長性や収益性ばかりでなく、安全性指標である自己資本比率や資本効率性を示す総資産利益率も向上していった。
そうしたなかで、2020年8月期、2021年8月期の2期は利益が急増し、EBITDAは伸びを見せた。この要因は、これまで述べてきたようにコロナ禍における一時的なものでなく、統合シナジーや成長戦略の成果と言うことができる。このため、キャッシュの好循環は今後一層加速していくものと思われる。そうなると、キャッシュの使い方に幅も余裕もできてくる。キャッシュは一般に投資や株主還元、社内留保、借入返済に回る。このうち社内留保は流動性が高まっているため、慌てて積み上げる必要はなさそうだ。有利子負債の返済はスケジュールにのっとっているため、できれば早く返したいが、これも慌てて増額することはないと考える。投資は、成長事業のなかでも特にコロナ禍で市場が拡大したコンテンツ配信事業において、差別化を進めるコンテンツ投資を加速したいところである。また、統合後しばらく慎重だったM&Aも積極化できそうだ。株主還元ついては、配当性向を10%~30%に高めるとともに増配を継続したいという同社の方針に対し、キャッシュの余裕が大きな担保となることだろう。このような統合後のキャッシュのポジティブな動きによって、同社企業経営に対する市場の信頼と期待はますます大きくなっていくだろう。
2022年8月期も業績拡大/新中期経営計画を策定へ
4. 2022年8月期の業績見通し
2022年8月期の業績見通しは、売上高220,000百万円(前期比5.6%増)、営業利益17,000百万円(同8.9%増)、経常利益16,000百万円(同8.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,500百万円(同5.7%増)を見込んでいる。ただし、2022年8月期より同社が適用する「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等の影響により、店舗サービス事業における他社集客メディアの販売や通信事業におけるSaaSサービスの提供などにおいて、売上高で2,300百万円、営業利益で300百万円の減少を見込んでいる。つまり、実質的には売上高222,300百万円(前期比6.7%増)、営業利益17,300百万円(同10.8%増)と2ケタ増益予想となっている。なお、前期比に関して、同社は連結業績の会計的不連続性を考慮して公表していないが、弊社は分かりやすさから新旧数値の単純比較による参考数値を掲示した。
2022年8月期のグループ経営方針について、同社は、(1)ウィズコロナ/アフターコロナの環境変化への対応と成長トレンドの堅持、(2)前倒し達成した前中期経営計画に替わる新中期経営計画や統合報告書の策定、(3)人財や従来慎重だったM&Aの強化による非連続成長への挑戦、を掲げた。(1)は、適切な事業ポートフォリオマネジメントを通じてバランスの取れた攻守戦略を継続し、既存事業を環境変化に適応させることで成長トレンドを堅持する考えである。(2)は、策定中の新中期経営計画と統合報告書を策定して2022年2月に公表する予定で、サステナブル経営の推進につなげていく考えである。なお、旧中期経営計画の「NEXT for 2024」で目標とした2022年8月期の営業利益100億円は2年前倒し、2024年8月期営業利益130億円は3年前倒しで達成済みである。(3)は、これまでの成長はシェア拡大や生産性改善などにより既存事業を強化し、小規模事業者向け金融やクリニック向け事業など既存事業周辺領域において新規事業の創出を進めることで達成してきた。今後は、社長発掘プログラム「CEO’s GATE」や内部人材の強化によって一流の人財・多様な人財を登用して事業基盤を固めるほか、従来慎重だったM&Aも既存事業とのシナジーが見込めるものに関しては積極化することで成長に弾みをつけ、売上高1兆円に向けた非連続の成長に挑戦する考えである。
2022年8月期のセグメント業績は、店舗サービス事業が売上高56,000百万円(前期比0.2%減)、営業利益8,600百万円(同0.1%増)、通信事業が売上高50,000百万円(同3.8%増)、営業利益5,100百万円(同12.5%増)、業務用システム事業が売上高20,500百万円(同8.3%増)、営業利益3,100百万円(同7.0%増)、コンテンツ配信事業が売上高67,000百万円(同11.7%増)、営業利益6,900百万円(同20.4%増)、エネルギー事業が売上高30,000百万円(同7.4%増)、営業利益400百万円(同13.0%増)を見込んでいる。店舗サービス事業は、新収益認識基準などにより売上高・利益ともにマイナスの影響を受けるものの、業務店などのDX需要を捕捉しわずかながら増益を見込んでいる。通信事業とコンテンツ配信事業は、安定した利益成長によってグループ全体の成長をけん引する見込みである。業務用システム事業とエネルギー事業は、コロナ禍でやや歪になった市場の正常化を期待しており、増収増益の計画となっている。コロナ禍による市場への影響が落ち着きを見せ始めており、2022年8月期は、前期までにプラスやマイナスに作用していた反動が予想される。しかし、そのインパクトを想定するのは非常に難しく、そのため全般的にやや保守的な予想となっているという印象を弊社は持っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<EY>
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