後場の投資戦略
日経平均は続落、インフレ不満からFRB人事が重み増しそう
配信日時:2021/11/18 12:22
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;29451.41;-236.92TOPIX;2027.83;-10.51
[後場の投資戦略]
海外株安が重しとなり、本日の日経平均も3ケタの下落で前場を折り返した。日足チャートを見ると、29600円台に位置する5日移動平均線を寄り付きから下回り、29500円近辺でいったん下げ渋ったとはいえ、アジア株安が重しとなってここを割り込んできた格好。原油・海運市況の急落で関連セクターの下げが目を引くが、日経平均への寄与が大きいソフトバンクGやファーストリテの軟調ぶりもやや目立つあたり、日経平均先物にまとまった売りが出ている可能性がある。一方、決算発表後に売られていたリクルートHDを中心に、グロース(成長)株の一角がしっかり。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000円あまりで、29500円近辺での攻防が見られた割にやはり膨らんでいない。
新興市場ではマザーズ指数が-1.02%と続落。今週前半は新興株への物色シフトを背景に強い値動きだったが、本日は日経平均にやや先行する形で前場中ごろを過ぎると軟化してきた。相変わらず大幅高となっている銘柄も散見されるが、一昨日の当欄で取り上げたアスタリスク<6522>は信用取引規制の強化を受けて急落。アスタリスクに限らず回転売買による上値追いが強烈だった銘柄は少なくなく、反動に警戒しておく必要があるだろう。なお、本日マザーズ市場に新規上場したGRCS<9250>は公開価格の1.5倍ちょうどで初値を付けた。上場前株主の売却制限(ロックアップ)解除ラインがメドと受け止められたのだろうが、このところ初値伸び悩みが続いていただけに安心感のある結果。その後もおおむね初値を上回って推移しているが、引けにかけての値動きを注視したい。
さて、前日の米市場では期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)が2.70%(-0.03pt)と続落し、10年物国債利回りも1.58%(-0.05pt)と反落した。前述のとおりNY原油先物相場は急落。米国が中国に対して原油の戦略備蓄の放出を要請したと伝わったほか、欧州で新型コロナ感染状況が悪化するなどして需給緩和が意識されたようだ。もっとも、インフレ高進への懸念が払しょくされたとは言えない。
前日発表の米10月住宅着工件数は年率換算で前月比-0.7%となり、市場の増加予想に反し、減速を示すものとなった。供給制約や住宅価格高騰の影響が響いたとみられている。直近の米経済指標を振り返ると、11月のミシガン大学消費者マインド指数は住宅着工件数と同様に予想外の悪化。一方で10月小売売上高は予想を上回る増加となった。強弱まちまちの経済指標が示しているのは、まさに一昨日の当欄で指摘した
「経済的な分断」かもしれない。
10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)が約30年ぶりの大幅な伸びとなったことを受け、バイデン米大統領はすかさず「物価抑制は最優先課題」などとアピールした。来年の中間選挙を前に、インフレへの不満が政権の懸念材料となっていることが読み取れる。となると、週内にも決定するという米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事が一段と重みを増してきたと考えられる。現在、有力視されているのはパウエル議長の再任かブレイナード理事の昇格。ブレイナード氏はハト派的とみられているが、バイデン政権は次期トップにより踏み込んだインフレ対応を求める可能性がある。
日本でも前日あたりから再び金融所得課税の強化を巡る報道を目にするようになり、株価の重しになっているとみられる。政府・与党は来年度税制改正大綱で重要な
「検討事項」に明記する方針という。再三指摘しているとおり、やはり日経平均の3万円台回復は近くて遠そうだ。
(小林大純)
<NH>
日経平均;29451.41;-236.92TOPIX;2027.83;-10.51
[後場の投資戦略]
海外株安が重しとなり、本日の日経平均も3ケタの下落で前場を折り返した。日足チャートを見ると、29600円台に位置する5日移動平均線を寄り付きから下回り、29500円近辺でいったん下げ渋ったとはいえ、アジア株安が重しとなってここを割り込んできた格好。原油・海運市況の急落で関連セクターの下げが目を引くが、日経平均への寄与が大きいソフトバンクGやファーストリテの軟調ぶりもやや目立つあたり、日経平均先物にまとまった売りが出ている可能性がある。一方、決算発表後に売られていたリクルートHDを中心に、グロース(成長)株の一角がしっかり。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000円あまりで、29500円近辺での攻防が見られた割にやはり膨らんでいない。
新興市場ではマザーズ指数が-1.02%と続落。今週前半は新興株への物色シフトを背景に強い値動きだったが、本日は日経平均にやや先行する形で前場中ごろを過ぎると軟化してきた。相変わらず大幅高となっている銘柄も散見されるが、一昨日の当欄で取り上げたアスタリスク<6522>は信用取引規制の強化を受けて急落。アスタリスクに限らず回転売買による上値追いが強烈だった銘柄は少なくなく、反動に警戒しておく必要があるだろう。なお、本日マザーズ市場に新規上場したGRCS<9250>は公開価格の1.5倍ちょうどで初値を付けた。上場前株主の売却制限(ロックアップ)解除ラインがメドと受け止められたのだろうが、このところ初値伸び悩みが続いていただけに安心感のある結果。その後もおおむね初値を上回って推移しているが、引けにかけての値動きを注視したい。
さて、前日の米市場では期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)が2.70%(-0.03pt)と続落し、10年物国債利回りも1.58%(-0.05pt)と反落した。前述のとおりNY原油先物相場は急落。米国が中国に対して原油の戦略備蓄の放出を要請したと伝わったほか、欧州で新型コロナ感染状況が悪化するなどして需給緩和が意識されたようだ。もっとも、インフレ高進への懸念が払しょくされたとは言えない。
前日発表の米10月住宅着工件数は年率換算で前月比-0.7%となり、市場の増加予想に反し、減速を示すものとなった。供給制約や住宅価格高騰の影響が響いたとみられている。直近の米経済指標を振り返ると、11月のミシガン大学消費者マインド指数は住宅着工件数と同様に予想外の悪化。一方で10月小売売上高は予想を上回る増加となった。強弱まちまちの経済指標が示しているのは、まさに一昨日の当欄で指摘した
「経済的な分断」かもしれない。
10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)が約30年ぶりの大幅な伸びとなったことを受け、バイデン米大統領はすかさず「物価抑制は最優先課題」などとアピールした。来年の中間選挙を前に、インフレへの不満が政権の懸念材料となっていることが読み取れる。となると、週内にも決定するという米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事が一段と重みを増してきたと考えられる。現在、有力視されているのはパウエル議長の再任かブレイナード理事の昇格。ブレイナード氏はハト派的とみられているが、バイデン政権は次期トップにより踏み込んだインフレ対応を求める可能性がある。
日本でも前日あたりから再び金融所得課税の強化を巡る報道を目にするようになり、株価の重しになっているとみられる。政府・与党は来年度税制改正大綱で重要な
「検討事項」に明記する方針という。再三指摘しているとおり、やはり日経平均の3万円台回復は近くて遠そうだ。
(小林大純)
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