注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:米エヌビディア決算、米中小売売上高、マザーズIPO2社など
配信日時:2021/11/13 18:05
配信元:FISCO
■株式相場見通し
予想レンジ:上限30000-下限29300円
来週の日経平均はもみ合いか。決算発表が一巡し、足元の業績が完全に織り込み切れていない銘柄などへの断続的な物色が続きそうだ。
東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向によると、11月第1週(1~5日)、海外投資家は日本株を現物で3週ぶりに買い越した。しかし、買い越し金額は1300億円ほどと大きくない。また、今週は決算発表が終盤だったなか東証1部売買代金が減少傾向にあった。恐らく第2週も海外勢は大きくは買い越していないだろう。決算を受けても、海外勢の日本株への投資姿勢が積極的になっていないとなると、今後の日経平均のバブル崩壊後高値の更新は容易ではないと思われる。
米国株は好調で主要株価3指数は史上最高値付近での推移が継続中だが、米株高を受けた投資家のリスク選好の強まり以外に、独自要因ではバリュエーションの割安感くらいしか日本株が上昇する材料が見当たらないのは気懸かりだ。
今週末の大幅高についても、想定外という感想を抱く関係者が多く、はっきりとした要因は分かっていない。MSCIリバランス発表やオプションSQといった需給イベントが同時に解消されたことによる短期的なあく抜け感が主体だとすれば、持続性には疑念が残る。
また、根強く懸念の残る米インフレにも引き続き注意を払う必要がある。10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は総合だけでなく、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアでも前月比で市場予想を大幅に上回る伸びとなり、インフレ加速への警戒から改めて金融当局による早期利上げ懸念が強まった。この結果を受けて幅広い年限の米国債利回りが急上昇し、米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も2.70%と10月高値を上抜き、歴史的な高値更新となった。金融当局がいつ政策スタンスの変更を迫られるかという懸念が今後もつきまとう。名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は足元マイナス1.1~1.2%と、昨年2月以降のコロナ相場におけるレンジボトム付近まで下がっている。実質金利の一段の低下は想定しにくく、今後は実質金利の上昇による相場調整も考えられよう。
そのほか、来週は経済指標が相次ぐ。中国や米国の10月鉱工業生産や小売売上高といった注目度の高いものから、米国では11月のニューヨーク連銀景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数などの景況感を示す指標も発表される。企業業績を受けて強気ムードが漂う米株市場が一段と上値を試す展開となるのか注目される。
個別では、週末に発表された東京エレクトロン<8035>の7-9月期決算は引き続き好調で、通期計画は市場予想を超える水準にまで上方修正された。会社側からは顧客の設備投資計画が拡大傾向にあることや、需要鈍化が懸念されていたメモリーについても引き続き堅調に推移する見込みとの言及があった。さらに、週後半には米国でエヌビディアやアプライド・マテリアルズといった半導体関連企業の決算が予定されている。指数寄与度の大きい半導体関連株が勢いづけば、相場全体の支援要因にもなろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。今週発表された米国の10月生産者物価指数と10月消費者物価指数はいずれも市場予想を上回った。米国のインフレ高進を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測は後退していないが、直近発表の消費者信頼感は高インフレの影響で悪化している。米国景気の持続的な回復への期待は低下しつつあることから、リスク選好的なドル買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。
FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手することを表明したものの、複数の地区連銀総裁は早い時期の利上げに関しては慎重な姿勢を保っている。そのため、パウエルFRB議長など金融当局者が早期利上げについて改めて慎重な見解を示した場合、一段のドル買いを抑制する可能性がある。なお、来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長は現時点で再選が有力視されるが、金融緩和に前向きであるハト派のブレイナード理事の議長昇格の可能性があることも、リスク選好的なドル買い・円売りを弱める可能性がある。
■来週の注目スケジュール
11月15日(月):GDP速報値(7-9月)、鉱工業生産(9月)、中・新築住宅価格(10月)、中・鉱工業生産指数(10月)、中・小売売上高(10月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(11月)、など
11月16日(火):米・輸入物価指数(10月)、米・小売売上高(10月)、米・鉱工業生産指数(10月)、米・NAHB住宅市場指数(11月)、米・フィラデルフィア連銀が年次フィンテック会議(17日まで)、国際エネルギー機関(IEA)月報など
11月17日(水):貿易収支(10月)、コア機械受注(9月)、英・消費者物価コア指数(10月)、欧・ユーロ圏CPI(10月)、米・住宅着工件数(10月)、決算発表:米エヌビディアなど
11月18日(木):首都圏新築分譲マンション(10月)、GRCSが東証マザーズに新規上場、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月)、決算発表:米アプライド・マテリアルズなど
11月19日(金):消費者物価コア指数(10月)、AB&Companyが東証マザーズに新規上場など
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予想レンジ:上限30000-下限29300円
来週の日経平均はもみ合いか。決算発表が一巡し、足元の業績が完全に織り込み切れていない銘柄などへの断続的な物色が続きそうだ。
東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向によると、11月第1週(1~5日)、海外投資家は日本株を現物で3週ぶりに買い越した。しかし、買い越し金額は1300億円ほどと大きくない。また、今週は決算発表が終盤だったなか東証1部売買代金が減少傾向にあった。恐らく第2週も海外勢は大きくは買い越していないだろう。決算を受けても、海外勢の日本株への投資姿勢が積極的になっていないとなると、今後の日経平均のバブル崩壊後高値の更新は容易ではないと思われる。
米国株は好調で主要株価3指数は史上最高値付近での推移が継続中だが、米株高を受けた投資家のリスク選好の強まり以外に、独自要因ではバリュエーションの割安感くらいしか日本株が上昇する材料が見当たらないのは気懸かりだ。
今週末の大幅高についても、想定外という感想を抱く関係者が多く、はっきりとした要因は分かっていない。MSCIリバランス発表やオプションSQといった需給イベントが同時に解消されたことによる短期的なあく抜け感が主体だとすれば、持続性には疑念が残る。
また、根強く懸念の残る米インフレにも引き続き注意を払う必要がある。10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は総合だけでなく、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアでも前月比で市場予想を大幅に上回る伸びとなり、インフレ加速への警戒から改めて金融当局による早期利上げ懸念が強まった。この結果を受けて幅広い年限の米国債利回りが急上昇し、米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も2.70%と10月高値を上抜き、歴史的な高値更新となった。金融当局がいつ政策スタンスの変更を迫られるかという懸念が今後もつきまとう。名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は足元マイナス1.1~1.2%と、昨年2月以降のコロナ相場におけるレンジボトム付近まで下がっている。実質金利の一段の低下は想定しにくく、今後は実質金利の上昇による相場調整も考えられよう。
そのほか、来週は経済指標が相次ぐ。中国や米国の10月鉱工業生産や小売売上高といった注目度の高いものから、米国では11月のニューヨーク連銀景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数などの景況感を示す指標も発表される。企業業績を受けて強気ムードが漂う米株市場が一段と上値を試す展開となるのか注目される。
個別では、週末に発表された東京エレクトロン<8035>の7-9月期決算は引き続き好調で、通期計画は市場予想を超える水準にまで上方修正された。会社側からは顧客の設備投資計画が拡大傾向にあることや、需要鈍化が懸念されていたメモリーについても引き続き堅調に推移する見込みとの言及があった。さらに、週後半には米国でエヌビディアやアプライド・マテリアルズといった半導体関連企業の決算が予定されている。指数寄与度の大きい半導体関連株が勢いづけば、相場全体の支援要因にもなろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。今週発表された米国の10月生産者物価指数と10月消費者物価指数はいずれも市場予想を上回った。米国のインフレ高進を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測は後退していないが、直近発表の消費者信頼感は高インフレの影響で悪化している。米国景気の持続的な回復への期待は低下しつつあることから、リスク選好的なドル買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。
FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手することを表明したものの、複数の地区連銀総裁は早い時期の利上げに関しては慎重な姿勢を保っている。そのため、パウエルFRB議長など金融当局者が早期利上げについて改めて慎重な見解を示した場合、一段のドル買いを抑制する可能性がある。なお、来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長は現時点で再選が有力視されるが、金融緩和に前向きであるハト派のブレイナード理事の議長昇格の可能性があることも、リスク選好的なドル買い・円売りを弱める可能性がある。
■来週の注目スケジュール
11月15日(月):GDP速報値(7-9月)、鉱工業生産(9月)、中・新築住宅価格(10月)、中・鉱工業生産指数(10月)、中・小売売上高(10月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(11月)、など
11月16日(火):米・輸入物価指数(10月)、米・小売売上高(10月)、米・鉱工業生産指数(10月)、米・NAHB住宅市場指数(11月)、米・フィラデルフィア連銀が年次フィンテック会議(17日まで)、国際エネルギー機関(IEA)月報など
11月17日(水):貿易収支(10月)、コア機械受注(9月)、英・消費者物価コア指数(10月)、欧・ユーロ圏CPI(10月)、米・住宅着工件数(10月)、決算発表:米エヌビディアなど
11月18日(木):首都圏新築分譲マンション(10月)、GRCSが東証マザーズに新規上場、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月)、決算発表:米アプライド・マテリアルズなど
11月19日(金):消費者物価コア指数(10月)、AB&Companyが東証マザーズに新規上場など
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