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シナネンHD Research Memo(7):シェアサイクルと新型マイクロ風車が特に有望
配信日時:2021/09/02 15:07
配信元:FISCO
■業績動向
3. 中期経営計画の進捗
2021年3月期は、第二次中期経営計画の初年度だったが、定性目標の達成に向けて着実に施策を推進した。資本効率の改善においては、低効率資産の活用・売却、既存事業の選択と集中を進めた。投資基準をクリアした資本効率の高い事業を中心に投資する一方、低収益・低成長の事業で収益性や資本効率を向上できないと認められる事業については撤退・売却を検討した。この結果、東品川の固定資産を譲渡、シナネンが運営する一部事業の清算を行った。また、ミライフ西日本が運営する愛媛の営業拠点を営業権ごと譲渡したことで、飛び地になっている拠点の整理も進んでいる。前述したように、ブラジルで進めていたバイオマス事業は撤退を決定した。多年草植物「CAPIM」を原料にした民生用炭の製造を行っており、今後の循環型バイオマス燃料事業への発展を目指していたが、シナネンホールディングス<8132>の投資基準を上回る収益の確保が困難と判断し撤退を決定した。コロナ禍で、ブラジル国内が混乱していることも影響したと思われる。しかし、「CAPIM」を活用する知見は得られており、今後、日本または東南アジアでの展開の可能性がある。
持続的成長を実現する投資の実行では、新規事業への戦略投資や基幹システムの整備を進めた。そのなかでもシェアサイクルの事業化が急ピッチである。シェアサイクル事業は、前述したように、ソフトバンクグループ企業のシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を利用した、「ダイチャリ」ブランドで展開する電動アシスト自転車のシェアリングサービスである。現在、首都圏を中心にコンビニ3社や地方自治体、主要駅、地域小売店などを中心にサービスを展開している。シェアサイクルビジネスは、世界に先行した中国では乗り捨て問題と参入企業過多による苦戦が続いたが、ステーション密度を高くした欧米では普及が進んでいる模様である。このため同社も、首都圏で意図的に高密度にしたステーションの開発を進めている。現在、埼玉県志木市や新座市、ベルクやカインズ、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスなど地方自治体や地域企業などとの実証実験を推進、UR都市機構や整骨院チェーンOMGとの連携も進めた。また、小田急グループと世田谷エリアの駅周辺、京急電鉄とは逗子・葉山エリアなどと、電鉄グループ各社とMaaS※の実現に向けた実証実験を開始した。なお、効率を考えてスクラップ&ビルドも適宜行っているものの、2021年3月末現在、ステーション数は1,800ヶ所を超え、設置自転車数も8,200台超へ増加するなど、シェアサイクル事業者として国内有数の規模となっている。同社のシェアサイクル事業は、コロナ禍の3密回避のニーズもあって、ユーザー数や利用回数も着実に増加しており、実験地域では第3の交通インフラとして定着傾向にあるようだ。早期の収益化を期待したい。
※MaaS(Mobility As A Service):車や人の移動に関するデータを活用することで需要供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスのこと。
同社は、発電効率・静音性・安全性に優れた技術で注目される、新型マイクロ風車の開発・設計・製造・販売・保守・メンテナンスを行っており、その実証実験が2021年3月に始まった。マイクロ風車で500w(強化版も開発中)、太陽光パネルで435wを発電し、電源の確保が難しい場所でも小規模な工事で設置が可能で、防犯カメラやLED照明、Wi-Fi基地局など様々な機能を搭載できる上、独立型電源としてBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にも対応している。現在は、2022年3月期中の販売開始を目指しており、すでに地方自治体や病院、不動産会社、小売店などに提案しているが、非常に好評で、国内外からの引き合いも増えている状況である。グローバルな展開も可能な、非常に将来有望な事業と言うことができる。
ほかに、環境配慮型電力を全国に普及し地球温暖化防止を促進する取り組みである「あかりの森プロジェクト」を2020年11月から開始した。幅広い世代にクリーン電力に対する興味を持ってもらえるよう、サンリオキャラクターを活用し、SNSなどを通じて情報発信をし、2021年3月には、家庭向け環境配慮型電力プラン「シナネン あかりの森でんき」の販売を開始している。また、基幹システムの整備も進めている。次世代のIT基盤で、自社内サーバーからクラウドベースに移行してあらゆる作業をオンライン化、テレワーク環境を整備して多様な働き方改革に対応、繁忙期でも事務の効率化や業務負担の軽減が可能となる見込みである。AIやIOT、ビッグデータなどの活用により、他のクラウドサービスとの連携やさらなる業務改善につながると期待されている。社員の考え方・慣習・行動様式の変革では、2020年11月、従来の人事部ラインのプロジェクトから、社長の直下にグループ改革推進室を設けるなど、風土・体質の改善と働き方改革を強力に推進する体制を構築した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 中期経営計画の進捗
2021年3月期は、第二次中期経営計画の初年度だったが、定性目標の達成に向けて着実に施策を推進した。資本効率の改善においては、低効率資産の活用・売却、既存事業の選択と集中を進めた。投資基準をクリアした資本効率の高い事業を中心に投資する一方、低収益・低成長の事業で収益性や資本効率を向上できないと認められる事業については撤退・売却を検討した。この結果、東品川の固定資産を譲渡、シナネンが運営する一部事業の清算を行った。また、ミライフ西日本が運営する愛媛の営業拠点を営業権ごと譲渡したことで、飛び地になっている拠点の整理も進んでいる。前述したように、ブラジルで進めていたバイオマス事業は撤退を決定した。多年草植物「CAPIM」を原料にした民生用炭の製造を行っており、今後の循環型バイオマス燃料事業への発展を目指していたが、シナネンホールディングス<8132>の投資基準を上回る収益の確保が困難と判断し撤退を決定した。コロナ禍で、ブラジル国内が混乱していることも影響したと思われる。しかし、「CAPIM」を活用する知見は得られており、今後、日本または東南アジアでの展開の可能性がある。
持続的成長を実現する投資の実行では、新規事業への戦略投資や基幹システムの整備を進めた。そのなかでもシェアサイクルの事業化が急ピッチである。シェアサイクル事業は、前述したように、ソフトバンクグループ企業のシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を利用した、「ダイチャリ」ブランドで展開する電動アシスト自転車のシェアリングサービスである。現在、首都圏を中心にコンビニ3社や地方自治体、主要駅、地域小売店などを中心にサービスを展開している。シェアサイクルビジネスは、世界に先行した中国では乗り捨て問題と参入企業過多による苦戦が続いたが、ステーション密度を高くした欧米では普及が進んでいる模様である。このため同社も、首都圏で意図的に高密度にしたステーションの開発を進めている。現在、埼玉県志木市や新座市、ベルクやカインズ、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスなど地方自治体や地域企業などとの実証実験を推進、UR都市機構や整骨院チェーンOMGとの連携も進めた。また、小田急グループと世田谷エリアの駅周辺、京急電鉄とは逗子・葉山エリアなどと、電鉄グループ各社とMaaS※の実現に向けた実証実験を開始した。なお、効率を考えてスクラップ&ビルドも適宜行っているものの、2021年3月末現在、ステーション数は1,800ヶ所を超え、設置自転車数も8,200台超へ増加するなど、シェアサイクル事業者として国内有数の規模となっている。同社のシェアサイクル事業は、コロナ禍の3密回避のニーズもあって、ユーザー数や利用回数も着実に増加しており、実験地域では第3の交通インフラとして定着傾向にあるようだ。早期の収益化を期待したい。
※MaaS(Mobility As A Service):車や人の移動に関するデータを活用することで需要供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスのこと。
同社は、発電効率・静音性・安全性に優れた技術で注目される、新型マイクロ風車の開発・設計・製造・販売・保守・メンテナンスを行っており、その実証実験が2021年3月に始まった。マイクロ風車で500w(強化版も開発中)、太陽光パネルで435wを発電し、電源の確保が難しい場所でも小規模な工事で設置が可能で、防犯カメラやLED照明、Wi-Fi基地局など様々な機能を搭載できる上、独立型電源としてBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にも対応している。現在は、2022年3月期中の販売開始を目指しており、すでに地方自治体や病院、不動産会社、小売店などに提案しているが、非常に好評で、国内外からの引き合いも増えている状況である。グローバルな展開も可能な、非常に将来有望な事業と言うことができる。
ほかに、環境配慮型電力を全国に普及し地球温暖化防止を促進する取り組みである「あかりの森プロジェクト」を2020年11月から開始した。幅広い世代にクリーン電力に対する興味を持ってもらえるよう、サンリオキャラクターを活用し、SNSなどを通じて情報発信をし、2021年3月には、家庭向け環境配慮型電力プラン「シナネン あかりの森でんき」の販売を開始している。また、基幹システムの整備も進めている。次世代のIT基盤で、自社内サーバーからクラウドベースに移行してあらゆる作業をオンライン化、テレワーク環境を整備して多様な働き方改革に対応、繁忙期でも事務の効率化や業務負担の軽減が可能となる見込みである。AIやIOT、ビッグデータなどの活用により、他のクラウドサービスとの連携やさらなる業務改善につながると期待されている。社員の考え方・慣習・行動様式の変革では、2020年11月、従来の人事部ラインのプロジェクトから、社長の直下にグループ改革推進室を設けるなど、風土・体質の改善と働き方改革を強力に推進する体制を構築した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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