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生命保険と税金(1) 保険料控除で払った税金を取り戻そう - 退職・年金ナビ

 

退職・年金ナビ [ 保険の買い方選び方 ]

【第25回】生命保険と税金(1)

保険料控除で払った税金を取り戻そう

“もしも”に備えるために必要な保険ですが、このご時世、少しでも出費を抑えたいものです。そこで、支払った保険料に応じて税金が軽減される保険料控除を利用しましょう。知っているつもりが意外と内容を理解していなかったり、いつのまにか制度が変わっていたりするものです。平成24年以降は、介護医療保険料控除も新設されますので、ここで内容を確認しておきましょう。

保険料控除の種類

保険料控除は、大きく生命保険料控除と地震保険料控除(旧損害保険料控除)に分かれます。さらに、生命保険料控除には「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」があります。それぞれに控除を受けるための要件があります。特に注意が必要なのは個人年金保険料控除。定額型の個人年金で、以下の要件を満たした「個人年金保険料税制適格特約」が付帯されていていなければ控除が受けられません。これらの要件を満たしていない場合や特約保険料、変額個人年金は、一般の生命保険料控除の対象となります。
表1 保険料控除の要件
一般の生命保険料控除の要件 個人年金保険料控除の要件
保険金受取人が契約者かその配偶者
またはその他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)

※保険期間が5年未満の貯蓄性保険や財形保険などは含まない
年金受取人が契約者またはその配偶者
保険料払込期間が10年以上
(一時払いは不可)
受取開始が60歳以降かつ受取期間
10年以上の定期年金または終身年金

生命保険料控除の金額

それでは、実際にどのくらい控除が受けられるのでしょうか。控除額は、一般の生命保険料も個人年金保険料も同じで、以下のようになります。
表2 現在の保険料控除額
年間払込保険料(注) 控除額
所得税 25,000円以下 年間払込保険料全額
25,000円超~50,000円以下 年間払込保険料×1/2+12,500円
50,000円超~100,000円以下 年間払込保険料×1/4+25,000円
100,000円超 50,000円
個人住民税 15,000円以下 年間払込保険料全額
15,000円超~40,000円以下 年間払込保険料×1/2+7,500円
40,000円超~70,000円以下 年間払込保険料×1/4+17,500円
70,000円超 35,000円
※剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額

地震保険料の控除額は?

東日本大震災で注目を浴びている地震保険ですが、所得税は最高50,000円、住民税は25,000円を限度として保険料が控除されます。従来の損害保険料控除は平成19年度分から廃止されました。経過措置として、平成18年末までに契約した所定の長期損害保険契約であれば、所得税は最高15,000円、住民税は最高10,000円の保険料控除を受けることができます。

介護医療保険料控除がスタート

今まで一定の要件(表1参照)をみたした医療保険や介護保険は「一般の生命保険料控除」の対象でしたが、平成24年からは「介護医療保険料控除」として、別枠で控除されるようになります。
表3 平成24年からの保険料控除額
年間払込保険料(注) 控除額
所得税 20,000円以下 年間払込保険料全額
20,000円超~40,000円以下 年間払込保険料×1/2+10,000円
40,000円超~80,000円以下 年間払込保険料×1/4+20,000円
80,000円超 40,000円
個人住民税 12,000円以下 年間払込保険料全額
12,000円超~32,000円以下 年間払込保険料×1/2+6,000円
32,000円超~56,000円以下 年間払込保険料×1/4+14,000円
56,000円超 28,000円
※剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額
所得税について、現在の生命保険料控除額はそれぞれ最高5万円で合計10万円まで。それが、介護医療保険料控除が加わり、それぞれ最高4万円で合計12万円と増額される予定です。個人住民税の控除限度額は、合計7万円で変更ありません。
延長保険
医療保険や介護保険が別枠になることで、控除額が増える可能性があるのですが、平成24年以降に新たに契約した保険が対象です。それまでに入った保険に適用されるわけではありませんので注意が必要です。このような控除制度の改正には、民間の医療保険や介護保険への加入を促進させる国の意図がうかがえます。主に死亡リスクに備える一般の生命保険に対し、長生きリスクに備えるための年金保険や介護医療保険。これから保険に加入するときには、このような保険料控除制度を正しく理解し、コストを削減するのもよいでしょう。
執筆:ファイナンシャル・プランナー 福島佳奈美
所属:プラチナ・コンシェルジュ
掲載日:2011年11月14日

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