健康に不安がある人の保険加入 - 退職・年金ナビ
退職・年金ナビ [ 保険の買い方選び方 ]
【第21回】
健康に不安がある人の保険加入
- かつて保険は、どんなにお金があっても、健康でなければ購入が難しい金融商品でした。しかし最近は、いわゆる“誰でも入れる保険”や、既往症があっても保障してくれる保険が登場しています。今回は、健康に不安がある人の保険加入について、医療保険を中心に考えていきましょう。
抱えるリスクの大きさで変わる保険料
- 保険は、加入する人同士の助け合いによって成り立っています。加入者の公平性を維持するためには、それぞれの人が抱えるリスクに応分な負担が必要です。既往症がある人は、健康な人に比べて入院や手術をするリスクが高いため、保険会社側では割増の保険料を設定したり、一定の部位については保障しないといった条件付きで引受けるか、引受自体を拒絶して、全体の保険料が上がらないようにしています。
- しかし、利用者から見れば、健康に不安があるからこそ、また既に病気になっているからこそ、医療保険の必要性を感じるもの。こうしたニーズに応えるために、一般の保険に入れない人を対象とした新しいタイプが誕生したのです。
告知書の要らない無選択型
- 無選択型とは、保険の引受について、相手を選ばず誰でも入れるようにした保険です(年齢制限あり)。このタイプでは、健康状態などに関する告知書は提出不要。ただし、原則的に既往症については保障を受けられず、新たな病気であっても契約から90日間は保障されません。
- また、保険料が高いわりに1回の入院限度日数が少ない、保障期間が短く更新ごとに保険料がアップしていくなど、デメリットも目立ちます。“誰でも入れる”と謳われて期待の大きかった無選択型ですが、支払いをめぐってトラブルが発生するなどしたためか、最近ではあまり積極的な販売がされなくなっています。
引受基準緩和型の医療保険
- そこで新たに登場したのが、一般的な医療保険と無選択型の中間的な位置づけにある「引受基準緩和型」です。このタイプは告知書の提出は必要ですが、一般的な医療保険に比べて告知する項目が少なく、所定の項目すべてに該当しなければ加入することができます(年齢制限あり)。極端な話、難病で治療中であっても、所定の項目に該当さえしなければ、加入できるということです。ただし、告知項目は各社で異なりますので、注意深く比較しましょう。
- 契約から1年以内は保障額が半額になることには注意が必要ですが、既往症についても保障の対象となるなど、一般的な医療保険に比べて大きく見劣りする点はありません。
- ただし保険料は、商品や被保険者の年齢によって、一般的な医療保険の1.5~2倍程度となっています。
- このように、健康に不安がある人でも選択できる保険商品は増えています。そこで多少手間はかかりますが、まずは一般的なタイプに申し込み、引受けてもらえるかどうか結果を待ちましょう。場合によっては、期間限定の条件付きや割増保険料で加入できるかもしれません。断られるのは気分が良くないものですが、それを恐れるあまり、はなから割高なタイプを選ぶのは合理的とは言えないでしょう。
- 自分自身の健康に対する認識と保険会社の引受基準は必ずしも一致しません。正直かつ詳細に告知して、チャレンジしてみることが大切です。
- 保険料比較例
一般的な医療保険
新EVER(ベースプラン)引受方基準緩和型の医療保険
新やさしいEVER保険期間 終身 終身 加入年齢範囲 0歳~80歳 満30歳~80歳 支払開始 日帰り入院から 日帰り入院から 1入院限度日数 60日 60日 通算支払限度日数 1,095日 1,095日 手術給付金 入院あり1回につき5万円
入院なし1回につき2.5万円
重大手術1回につき20万円入院あり1回につき5万円
入院なし1回につき2.5万円保険料※ 40歳 男性 2,185円 女性 1,985円 男性 4,570円 女性 3,950円 50歳 男性 3,095円 女性 2,610円 男性 5,355円 女性 4,730円 60歳 男性 4,575円 女性 3,700円 男性 6,705円 女性 6,030円 - 執筆:ファイナンシャル・プランナー/プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役 和泉 昭子
所属:プラチナ・コンシェルジュ
掲載日:2011年10月03日